「真・女立喰師列伝」はキングの影響を受けているのか?
2007/11/10から公開される映画「真・女立喰師列伝」に、キングの作品に影響を受けたのではないか、と勘ぐってしまうようなエピソードがある。
「真・女立喰師列伝」
「GHOST IN THE SHELL ‐攻殻機動隊‐」「Avalon」「イノセンス」等で知られる世界的クリエイター・押井守監督が創り出した、立喰いによる無銭飲食を生業とする架空の仕事師=≪立喰師≫。
「うる星やつら」ほか数々の自作に登場させた同監督のライフワークとも言えるモチーフで、06年には歴代の立喰師をめぐる虚実入り混じった昭和史を描く映画「立喰師列伝」が完成。そして07年、ついに、美しき女立喰師たちを主役にしたユニークな映画が誕生しました。
押井監督自身が6作品中2作品のメガホンをとったのに加え、特撮やアニメの分野ですでに活躍中の監督や、押井監督がその実力を認める若手たち総勢4人の監督が、≪立喰師≫というフィールドに初めて挑戦。気鋭のクリエイターと魅惑の女優陣が贈る、鮮烈なイマジネーションと娯楽性に満ちた秀作揃いのオムニバス映画──それが、この「真・女立喰師列伝」です。
主演は、ひし美ゆり子、佐伯日菜子、小倉優子、安藤麻吹、水野美紀、藤田陽子という豪華な顔ぶれ。
また、主題歌&エンディングテーマを期待のアーティスト《樹海》が歌うのも話題です。
押井監督演出、兵藤まこ出演によるクールでスタイリッシュなオープニングに始まり、ラブストーリー、文芸ドラマ、ブラックコメディ、西部劇、SF等々、さまざまなジャンルの作品が<特盛り>になった、極上エンタテインメントをたっぷりお楽しみ下さい。
なお、本作品は、本年10月に開催される第20回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門に公式出品が決定しました。(オフィシャル・サイトより引用)
さて本題だが、本作「真・女立喰師列伝」においてキングの作品の影響を受けたりではないか、と個人的に思うエピソードは、「草間のささやき 氷苺の玖実」のエピソード。
「草間のささやき 氷苺の玖実」
監督・脚本・撮影・編集:湯浅弘章
玖実:藤田陽子
由起夫:和田聰宏
光男:若松武史
風に揺れる一面の唐黍畑……時が止まったような自然の中、妖しい美しさで通りすがりの男たちを惑わせる玖実。立喰師史上、ほとんど語らずして色香を武器に食べものをゴトするヒロインが初登場。アンニュイなムードと摩訶不思議な魅力あふれる美的映像詩。
大人の背丈も超えるほどに伸び、波のように静かに揺れる広大な唐黍畑の中に、その女──玖実はいた。通りかかる菓子業者の男たちを妖しい美しさで惑わせては畑へと導き、なぜか金銭ではなくその商品ばかり奪う玖実。彼女は、畑の主人である光男という初老の男に雇われ、畑に建つ小さな堂の中で彼の身の回りの世話をしていた。
ある日、かき氷屋の精悍な青年・由起夫が畑を通りかかる。かき氷は、幼い頃から玖実にとって特別な食べ物だった。玖実に気づいた由起夫が氷苺を差し出すと、玖実はそれを受け取ることなく、恥じらいながら、いつもとは違う眼差しを彼に注いで畑の奥へと消える。彼女を追って畑へと足を踏み入れる由起夫。それは、甘くて不思議な"ひととき"と悲劇の始まりだった……。 (オフィシャル・サイトより引用)
トウモロコシ畑と言えば、キングファンにとってキングを語る上で外せない舞台背景だと思う。
キングの様々な作品で様々なトウモロコシ畑が描かれ、重要な舞台背景として機能している。
特に、この「草間のささやき 氷苺の玖実」におけるトウモロコシ畑は、ある種の異界として描かれ、異界に巣くい男たちを惑わせる玖実(藤田陽子)の姿は圧倒的に妖しくそして美しい。
物語の摩訶不思議な余韻とそして恐怖とを感じさせる圧倒的なキャラクターとして描かれている。
そして、トウモロコシ畑を闊歩し、男を惑わす玖実の姿は、キングファンとしては、「図書館警察」のアーデリア・ローツにしか思えない。
わたしは、「第20回東京国際映画祭」で本作「真・女立喰師列伝」を観たのだが、当日は監督・キャストを迎えたワールド・プレミアであり、上映前に舞台挨拶、上映後にはティーチ・インが行われ、監督との質疑応答が行われたのだが、押井守が喋りすぎてしまい、湯浅弘章に対し、キングの影響についての質問をする時間がなかった。
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