「セル」をめぐる冒険 その2
新潮社(新潮文庫)から「セル」が出版されてから約1ケ月が経過した。
既に読了されている方も多々いらっしゃると思うので、「セル」の副読本と言うか、並べて読んだり、観たりすると面白いと個人的に思う小説や映画を紹介して見たいと思う。
■映画
「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ゾンビの誕生」(1968)
「ゾンビ」(1978)
「死霊のえじき」(1985)
「セル」が捧げられている映像作家ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作。取りあえずこれらの作品は観ておいた方が良いと思う。
2005年に「ランド・オブ・ザ・デッド」、2007年に「ダイアリー・オブ・ザ・デッド(原題)」がある。
作品を重ねていく度に、ゾンビの知能があがっていき、ゾンビの中にもリーダー的な存在が生まれていく。
なお、「死霊のえじき」の中ではゾンビが人間だった頃の漠然とした記憶を取り戻したのか、髭を剃ったり、本を読んだりする行動を取る。その際にゾンビが読んでいるのはキングの「呪われた町」。
「28日後...」(2002)
2002年のイギリスのゾンビ映画。監督はダニー・ボイル。
続編の「28週後...」(2007)は、キングの2007年映画ベストテンの第9位にランクインしている。
「007/死ぬのは奴らだ」(1973)
ゾンビ映画ではないが、ラゲディ・マンのようなキャラクターが登場する。
ただそれだけ。
「マーズ・アタック!」(1996)
地球を侵略する火星人に影響を与える地球のある種の音楽が興味深い。
「宇宙戦争」(2005)
「セル」同様完全な一人称で物語が描写される。
その頃、他の場所では・・・・、と言う描写が全くないのが興味深い。
一方、「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」を基に製作された、M・ナイト・シャマランの「サイン」では、テレビ等の情報インフラにより、他の地域(他国)での状況がリアルタイムでわかる構造になっているのが興味深い。
■小説
「地球最後の男」リチャード・マシスン著
映画「アイ・アム・レジェンド」の公開に合わせて新訳の「アイ・アム・レジェンド」が出版された模様。
ロメロ同様に、「セル」が捧げられた小説家の代表作。
どう考えても「セル」は、「地球最後の男」の影響を受けている、と言わざるを得ない。
「エンダーのゲーム」シリーズ オーン・スコット・カード著
集合意識を持つ異星人バガーが登場する。
もしかしたら、キングの「呪われた町」に影響を受けた小野不由美の「屍鬼」が「エンダーのゲーム」の影響を受けている、と考えられる。
「トリポッド」シリーズ ジョン・クリストファー著
ジョン・クリストファーのジュブナイルSF小説。全4巻。
異星人からの侵略を受けた地球。
地球人は、異星人が開発したキャップを被されると、異星人の言うがままで、かつ集団意識を持った存在、「セル」で言うところの携帯人のような存在になる。
キャップを被っていない地球人と、キャップを被った地球人との対比が、「セル」でも描かれている。
「トリフィド時代/食人植物の恐怖」ジョン・ウィンダム著
一夜にして文明が崩壊する様が「セル」同様に興味深い。
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