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2008/03/22

キング絶賛「ノーカントリー」にキングの惹句が!

「ノーカントリー」のプロモーションのため来日したハビエル・バルデム 2008/03/15に日本公開された映画「ノーカントリー」のプロモーションに、スティーヴン・キングの言葉が引用されている。

映画「ノーカントリー」は、言わずと知れたコーエン兄弟の最新作で、米アカデミー賞を4部門受賞(作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞)しただけではなく、世界中の映画賞を114部門も受賞した作品で、キングは「ノーカントリー」を2007年のベストムービーに選んでいる。

気になるキングの言葉は次の通り。

「ノーカントリー」「ゲッタウェイ」以来最高の現代西部劇で、またかつてないほど素晴らしい小説の完璧な脚色だ。最大の驚きは、サイコパスの殺し屋アントン・シガー役として、映画を盗みかねない、かつてない怪演を披露しているハビエル・バルデムだ。
                   -------スティーブン・キング

因みに原文は次の通り。

"No Country" is the best modern-day Western since "The Getaway", and one of the best adaptations of a major novel ever. Perhaps the biggest surprise is that Javier Bardem doesn't steal the movie as psychopath Anton Chigurh.

本作「ノーカントリー」は、近年稀に見るほどの、悪い点が全く無い、と言う位のすばらしい作品に仕上がっている。

先ずは脚本がすばらしい。

たまたま主人公が犯罪絡みの大金を見つけてしまう事に端を発する物語は、残念ながらスコット・スミスの「シンプル・プラン」のような印象を与えてしまうきらいは否定できないが、その大金を持って逃げる男と追う男の、そして観客の視点とも言える一人の保安官との対比が非常に見事である。

また原題の「No Country for Old Men」が意味するところが、物語の中で言うところ、Old Menとなってしまったわたし自身にも突き刺さっている。

キャストは、先ず、エド・トム・ベル保安官を演じたトミー・リー・ジョーンズだが、このキャラクターは「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(2005)のピートを髣髴とさせるキャラクターであり、若者の行動が理解(共感)できない、われわれOld Menの視点を代弁するキャラクターを見事に演じている。

「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」と言う作品は、トミー・リー・ジョーンズにとっての「許されざる者」(1992)であり、クリント・イースドウッドが「許されざる者」以降にたどった道を、今後トミー・リー・ジョーンズにも通って欲しいと思っているわたしにとっては、本作のキャラクターは出番や見せ場に乏しい印象を受けた。

と言うのも、わたしはトミー・リー・ジョーンズのキャラクターは「ファーゴ」(1996)におけるマージ・ガンダーソン役(フランシス・マクドーマンド)のようなキャラクターだと想像していたからのだ。

また、各方面から絶賛のアントン・シガー役のハビエル・バルデムも大変すばらしかった。
俳優としても十二分に良い仕事をしたと思うのだが、彼の場合、コーエン兄弟の冷徹な演出のおかげだと言っても良いのではないかと思った。

冒頭、作品で描かれる最初の殺人のシークエンスで、画面の右端でピンボケの状態で動いている姿や、その殺人後のリノリウムに残った靴の跡、中盤移行の自分で手当をする様、そして何度も描かれる他人の血を嫌う演出等々、俳優の力はもとより、数々のすばらしい演出が、アントン・シガーを非常に恐ろしくも悲しい映画史に残るキャラクターとして描ききっている。

ハビエル・バルデム演じるアントン・シガーと言うキャラクターは、すばらしいキャラクターなだけに、安易なスピン・オフ企画なんかが出てこないことを真剣に祈る。

逃げる男ルウェリン・モスを好演したジョシュ・ブローリンは、ルックスが若い頃のニック・ノルティのような感じで、想像以上にタフなモスの姿に「ダブルボーダー」(1987)のニック・ノルティを思い出した。

モスの逃亡劇としてこの作品をとらえると、前述の惹句でスティーヴン・キングは、本作を「ゲッタウェイ」(1972)になぞらえているが、わたし的にはサム・ペキンパーつながりで言うと、「ガルシアの首」(1974)あたりのテイストに近い印象を受けた。

そう考えてみると、コーエン兄弟は、サム・ペキンパーや、ウォルター・ヒルを継ぐ者としての方向性も高いのではないか、と思えてならない。

とにかく、本作「ノーカントリー」は、バイオレンス描写が苦手な方以外の映画ファン必見のすばらしい作品である。

この春、是非劇場に足を運んで欲しいと思う。

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