「ミスト」と「首都消失」をめぐる冒険
今日は「ミスト(「霧」)」と「首都消失」に関する余談。
先ずは「首都消失」とは何ぞや、と言う話だが、フリー百科事典Wikipediaによると「首都消失」の概要とあらすじは次の通り。(ほぼ引用)
■「首都消失」の概要
「首都消失」は、SF作家小松左京によって書かれた小説、並びにそれを原作とする映画である。小説はブロック紙3社連合に該当する北海道新聞、中日新聞(東京新聞)、西日本新聞にて連載された。
■「首都消失」のあらすじ
日本の首都・東京を中心とする半径約30km圏が正体不明の「雲」に覆われ、「雲」の外部との連絡が途絶してしまった(電波は元より有線通信も遮断、人間や物体の出入りさえ出来ない)。
なぞの「雲」による被災当時、国会が開会中だったため、主だった政治家・本省庁局長級以上の幹部職員はほとんど全員「雲」の中に取り込まれてしまった。そのため、日本の統治機構はたちまち機能不全となる。そこで、その政治・行政の空白を埋めるべく緊急避難の法理によって、全国知事会を基礎とした暫定統治機構が樹立されるが、財政・外交を中心に問題は山積する。一方で「雲」の軍事的利用を巡って、アメリカとソ連の激しいつばぜり合いが演じられる。
その後、最終的に「雲」は国際的な研究コンソーシアムにより調査が進められ、地球外生命体によって送り込まれた一種の観測機器である可能性が高いという結論に達し、継続的なモニターを行うこととなったのだが、ある日・・・・。
この「首都消失」のプロットやコンセプト、なんだか聞いたことがあるなと思ったらスティーヴン・キングの「ミスト(「霧」)」のそれらに似ていますよね。
「ミスト(「霧」)」については、既にご承知のことだと思うので、詳細は割愛しますが、両作は、「ミスト(「霧」)」は、霧や雲による怪異を内側から描き、「首都消失」は、霧や雲による怪異を外側から描いている、と言う点が気になりますね。
つまり、「ミスト(「霧」)」と言う作品と「首都消失」と言う作品は、表裏をなす作品だと言えると思う訳ですね。
両作の関連性はわかりませんが、「ミスト(「霧」)」の出来事の外では、「首都消失」的な事が起きていたと考えると非常に楽しいですよね。
キングファンのみなさんも、機会があったら「首都消失」も読んでみてはいかがかと思います。
あと、更に興味深いのは、「首都消失」は、雲に包まれた首都・東京とのコミュニケーションが完全に途絶してしまったことにより、首都機能が壊滅した国家を舞台にしたシミュレーション・ノベル的性格を持っているのですが、そのコンセプトが、スティーヴン・キングの「ザ・スタンド」等に見られる文明や政府の再構築を描いている点に類似点が感じられます。
最近翻訳された「セル」についても、一般的には「ザ・スタンド」に似ていると言われていますが、「セル」で描かれた物語以降に、文明や政府の再構築が存在するとも思えますね。
「ミスト(「霧」)」と「首都消失」について、どちらの作品が先に書かれたとか言う無粋な話はさておき、アメリカと日本の作家が同じようなコンセプトで表裏をなす作品を書いていた、と言う興味深いお話でした。
余談ですけど、わたしは「首都消失」の新聞連載時に北海道に住んでいた関係で、「首都消失」を毎日毎日切り取っていたのを覚えています。
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