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2008/04/20

「ルインズ 廃墟の奥へ」その2

先日、スコット・スミスの新作「ルインズ 廃墟の奥へ」について、物語の内容に触れない程度に、簡単なレビューを書いたのだが、ちょっと気になる点があるので補足したいと思う。

先ずは、こちらのエントリーをご参照いただきたい。
「ルインズ 廃墟の奥へ」

本作「ルインズ 廃墟の奥へ」は、「シンプル・プラン」で世界中を驚愕させたスコット・スミスの13年振りの新作で、ご存知のように映画化もされており、2008年4月から北米を中心に公開が始まっています。(予告編はココ

「ルインズ 廃墟の奥へ」
アメリカからメキシコのカンクンへやって来た若い2組のカップル、ジェフ、エイミー、エリック、ステイシー。当地で彼らはドイツ人旅行者マティアスと能天気なギリシャ人3人組の観光客と知り合う。そのマティアスが出かけたまま戻らない弟を捜しに行くと言い出し、アメリカ人4人とパブロというギリシャ人が同行することになった。行先は弟が残した手書き地図に描かれた発掘現場。軽い冒険旅行のつもりだったが、一行がマヤ人の集落に着くと・・・・。(「BOOK」データベースよりほぼ引用)

今日は「ルインズ 廃墟の奥へ」の舞台のお話なのですが、本書「ルインズ 廃墟の奥へ」を読む限り、わたしは主人公たちが訪れる「丘」についての明確なビジョンが得られませんでした。個人的には読解力にいささか自信があるわたしだったのですが、本書を読み進めていく上で、「丘」の形状や舞台背景がいまいちピンとこない印象が続いていました。

しかし、先ほど紹介した映画「ルインズ(原題)」の予告編を見ると、「丘」の形状が明確に描写されていました。
「丘」は、どうやら古代マヤ文明のピラミッドのような建造物に植物が生い茂っているような形状を持っている、と思われます。

また、「穴」の位置や「キャンプ」の場所についても本書からは明確な位置関係が読み取れなかったのですが、予告編を見ると「穴」はどうやらマヤのピラミッドのような建造物の頂上にあるようです。

ここで考えなければならないのは、登場人物の国籍(と言うか問題は言語)とマヤのピラミッドのような建造物、そして彼らの降りかかる災難です。

アメリカ人観光客(ジェフ、エイミー、エリック、ステイシー)
ドイツ人観光客(マティアス)
ギリシャ人観光客(パブロ)
マヤ人

物語に登場するアメリカ人とドイツ人は言語で意思の疎通が出来ているのですが、ギリシャ人とアメリカ人・ドイツ人とは、身振り手振りや片言の言語で意思の疎通を図り、マヤ人とアメリカ人・ドイツ人・ギリシャ人とは一切の意思の疎通が出来ない状況(コミュニケーションの欠如)が描かれています。

そして舞台はマヤのピラミッドなのです。

このマヤのピラミッドはもちろんバベルの塔のメタファーと言うことになりますし、物語の肝でもある怪異は、人類に自然が、ひいては地球全体が牙をむいている、と言う事にほかなりません。

登場人物は当然ながら人類全体のメタファーと言えますから、本書の物語の解釈としては、バベルの塔以来、人類は、人類全体が協力して様々な物事に対処するのではなく、喧嘩ばかりしていて、最後には滅んでしまうかもよ、と言うことなのでしょう。

スコット・スミスの小説でこんな解釈が出てくるとは驚きと言えば驚きでしたね。

余談ですけど、映画「バベル」も同様のテーマをモチーフにしていますね。
両作品を比較して見るとおもしろいかも知れませんね。

「バベルの塔」
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

バベルの塔の記事は旧約聖書の「創世記」11章にあらわれる。位置的にはノアの物語のあとでアブラハムの物語の前に置かれている。そこで語られるのは以下のような物語である。

もともと人々は同じ1つの言葉を話していた。シンアルの野に集まった人々は、煉瓦とアスファルトを用いて天まで届く塔をつくってシェム(ヘブライ語、慣習で「名」と訳されている。名誉・名声の意味も有る)を高く上げ、全地のおもてに散るのを免れようと考えた(偽典の「ヨベル書」によれば、神はノアの息子たちに世界の各地を与え、そこに住むよう命じていた)。神はこの塔を見て、言葉が同じことが原因であると考え、人々に違う言葉を話させるようにした。このため、彼らは混乱し、世界各地へ散っていった(『創世記』の記述には「塔が崩された」などとはまったく書かれていないことに注意)。「創世記」の著者は、バベルの塔の名前を「混乱」を意味する「バラル」と関係付けて話を締めくくっている。

原初史といわれ、史実とは考えられないアブラハム以前の創世記の物語の中で、バベルの塔の物語は世界にさまざまな言語が存在する理由を説明するための物語であると考えられている。と、同時に人々が「石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを」用いたという記述から、古代における技術革新について触れながらも、人間の技術の限界について語る意味があると考えられる。

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