「虎よ、虎よ!」をめぐる冒険
先日、実家に帰る所用があった。
折角なので、実家に置いてある「虎よ、虎よ!」を持ってきて読んでみることにした。
今日のエントリーは、「虎よ、虎よ!」をめぐる冒険。
物語の内容には極力触れない予定。
ところで、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」は、先日のエントリー『「ジョウント」をめぐる冒険』でご紹介した通り、キングの「ジョウント」(「神々のワード・プロセッサ」に収録)に影響を与えた、と言うか元ネタとなっている作品であり、それ以上にSF界に燦然と輝く大傑作である。
「虎よ、虎よ!」がアルフレッド・ベスターによって執筆されたのは1956年である。
つまり、「虎よ、虎よ!」は、驚くべきことに、もう50年以上も前の作品であり、50年以上前のSF作品が持つ圧倒的なイマジネーションの奔流に翻弄されてしまう21世紀の人類の発想の貧困さにも失望してしまう。
さて、「虎よ、虎よ!」についてだが、今回の再読は、おそらく20年以上の間をあけての再読だと思う。
余談だけど、わたしの「虎よ、虎よ!」は昭和59年7月15日付の第十刷。
表紙の挿画は生瀬範義、中田耕治の訳者あとがきと、浅倉久志の解説(「十年に一度の傑作」)がついている。帯の情報から見るとわたしは本書を昭和59年(1984年)の夏頃に購入している模様。
今回読み返して思ったのは、本作「虎よ、虎よ!」は舞台や題材は当然ながらSFなのだが、物語はガリヴァー・フォイルを主人公とした見事なピカレスク・ロマンになっている、と言うこと。
あと、浅倉久志の解説(「十年に一度の傑作」)で引用されているように、「ベスターは、この小説の中に、普通の小説六冊分ものすばらしいアイデアを持ち込んだ。それでも満足せずに、彼はさらにもう六冊分の悪趣味と、矛盾と、誤謬を持ちこんだ・・・・。にもかかわらず、結末までくると、すべての要素が渾然一体となり、神秘的な変貌をとげて、奇怪な感動が呼びおこされる。ベスターは、ガラクタを寄せ集めて芸術品を創り上げたのだ・・・・。」(デーモン・ナイトの書評より引用)勿体ない程のアイデアを本書に注ぎ込んでいる。
そう考えると、設定自体が一人歩きしてしまっているSF界の共有財産とも言える「ジョウント」と言う設定も、わざわざ本作に導入しなくても物語が成立してしまう、と言う贅沢な設定だったような気がする。
つまり、「ジョウント」と言う設定がなかったとしても、本書の物語は成立してしまうのではないか、と言うことである。
また、気になったのは、本書「虎よ、虎よ!」は、フィリップ・K・ディックの「流れよ我が涙、と警官は言った」(1974)にも影響を与えているのではないか、と思った。
余談だけど、「NOMAD」とは原義で「遊牧民」とか「放浪者」と言う意味なので、「VAGABOND」と同義なのだと思った。
更に余談だけど、赤塚不二夫の「天才バカボン」の当初のタイトル案は「天才バガボンド」。
「天才バガボンド」なんて、なんて格好良いタイトルなんだろう、と思った。
なんだか、訳がわからなくなってきたので、今日はこの辺でおしまい。
とにかく、「虎よ、虎よ!」未読の方は一読を是非お勧めします。
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コメント
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