今日は2008/11/22に角川書店から出版された「地球の静止する日」に関する余談。
今回角川文庫からリリースされた「地球の静止する日」とは、これまで映像化された原作作品を集めたSFスリラー傑作選なのだが、表紙には「地球の静止する日」の表記しかないので、本書は、リメイクされ2008/12/19に日本公開される映画「地球の静止する日」の原作本かノベライズ本のような印象を受けるのだが、実際は前述のように映画やテレビ・ムービー等に映像化された傑作短篇を集めたアンソロジーである。
収録作品は次の通り。
「地球の静止する日」ハリー・ベイツ
「デス・レース」イブ・メルキオー
「廃墟」リン・A・ヴェナブル
「幻の砂丘」ロッド・サーリング&ウォルター・B・ギブスン
「アンテオン遊星への道」ジェリィ・ソール
「異星獣を追え!」クリフォード・D・シマック
「見えざる敵」ジェリィ・ソール
「38 世紀から来た兵士」ハーラン・エリスン
「闘技場(アリーナ)」フレドリック・ブラウン
フレドリック・ブラウンの傑作「闘技場」が(「スター・トレック」以外で)映像化されていた、と言うのは知らなかったのだが、あとがきによると、ノン・クレジットで「アウター・リミッツ」の原作に借用されていた模様。
さて、今日のお話はイブ・メルキオーの「デス・レース」に関する余談。
メルキオーの「デス・レース」はロジャー・コーマンの下「デスレース2000年」(1975)の原作となり、今回リメイク版である「デス・レース」が2008/11/29に日本公開されるのでご存知の方も多いと思う。
因みに、リメイク版の「デス・レース」は残念ながら原作やオリジナル版の毒を抜いたダメ映画になってしまっている。
原作「デス・レース」は、ニューヨーク〜ロサンゼルス間を時間と犠牲点で競うレースを描いた作品であり、その犠牲点とはレース中にその車が直接死傷させた人間の数をポイント化したもの。
原作では1人殺すと1点、1人負傷させると1点、と言う具合にポイントが加算されるが、オリジナル版の「デスレース2000年」では、弱者つまり、女性やこども、老人を殺すと高いポイントが加算される、と言うシステムに改訂されている。
レースの概要はともかく、印象的なのは原作の「デス・レース」にはトピーカと言う地名が登場するのだ。キングファンにとってはトピーカと言う地名はブレインの終着駅として知られていると思うのだが、もしかしたら、キングはメルキオーの「デスレース」の影響を受けて、「デス・レース」の主人公が走破した街をもとに、ブレインの路線を考えたのではないだろうか、と思えてしまう。
ついでに「死のロングウォーク」だとか「バトルランナー」とか、キングの作品には管理された死のゲームが登場する事があるのだが、もしかしたら管理された死のゲームと言う観点からはキングは「デス・レース」の影響を受けているのかも知れない。
余談だが、わたしの知り合いとリメイク版「デス・レース」がロジャー・コーマンが製作総指揮をしているのにも関わらず毒がないダメ映画になってしまった話をした際に、「バトルランナー」を真面目にリメイクしたら良い映画になるんじゃねーの、と言う話が出た。
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