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2010/01/23

「American Vampire」をめぐる冒険

今日はスティーヴン・キング原作のグラフィック・ノベル(コミック・ブック/マンガ)「American Vampire」に関する余談。

「American Vampire #1」
「American Vampire #1」
原作:スティーヴン・キング、スコット・スナイダー
作画:Rafael Albuquerque/限定版:ジム・リー
出版:VERTIGO
発売日:2010/03/17

「American Vampire #2」
「American Vampire #2」
原作:スティーヴン・キング、スコット・スナイダー
作画:Rafael Albuquerque/限定版:バーニ・ライトソン
出版:VERTIGO
発売日:2010/04/21

物語は、二つのパートにわかれているらしく、吸血鬼と戦ってしまったためにアメリカ最初の吸血鬼になってしまったスキナー・スウィートと、1920年代のハリウッドで女優を目指すパール・ジョーンズの物語が交差する模様。

どうやら、スキナー・スウィートは一旦死んで埋葬されるが、盗掘者によって墓が暴かれ、吸血鬼として復活してしまう模様。

ところで、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」では、ドラキュラ伯爵が、トランシルヴァニアからイギリスに海をわたって移住するところが描かれている。

一方、「American Vampire」では、スキナー・スウィートがアメリカ最初の吸血鬼と設定されているようだが、おそらく、ヨーロッパからアメリカに移住した吸血鬼との戦いにおいて、スキナーが吸血鬼になってしまう、と言うプロットだと思われる。

因みに、ヨーロッパからアメリカへの移民は、次のような状況だった模様。

入植・植民地時代(17世紀〜18世紀):イギリス・北アイルランド・オランダ中心のヨーロッパ
旧移民時代(〜1880年頃):ドイツ・イギリス・スカンジナビア・南アイルランド
新移民時代(1880年頃〜1940年頃):イタリア・ユダヤ・スラブ
新々移民時代(1940年頃〜):アジア・ラテンアメリカ・難民

おそらく、本作の冒頭、ヨーロッパから海を越えてアメリカに移民して来た吸血鬼グループとの戦いの結果、スキナー・スウィートがアメリカ最初の吸血鬼になってしまい、一旦は埋葬されるが、その後、盗掘者によって、スキナーの墓が暴かれ、スキナーは復活、時代を超えたスキナーの冒険が始まる、と言ったところだろうか。

時代を超える吸血鬼の冒険と言えば、何といってもアン・ライスの「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズが決定打だと思う。
吸血鬼と言う存在は、不死の存在だ、と言うことは一般的に知られているのだが、吸血鬼を描いたほとんどの作品は、ひとつの時代しか描いていない。
しかしながら、「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズは、クロニクルズ(年代記)と銘打っている位だから、過去から現在までの長期にわたる吸血鬼たちの冒険が描かれているのが白眉である。
いかにして、経済的地位を継続させるか、と言う設定と手段も素晴らしい。

「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズは、全体としてあまり長くはない(文庫本で9冊)ので、是非読んでいただきたいと思う。
「夜明けのヴァンバイア(インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア)」「ヴァンパイア・レスタト」「呪われし者の女王」「肉体泥棒の罠」「悪魔メムノック」
なお、翻訳は、第1巻のみハヤカワ文庫、他は扶桑社文庫から出版されている。

一方、スティーヴン・キングの「呪われた町」では、やはり吸血鬼はヨーロッパから船旅でアメリカにやってくる。まぁ、「呪われた町」「ドラキュラ」の文学的イミテーションである所以だろうか。小野不由美の「屍鬼」は、日本国内発の移住だったかと・・・・。

さて、「American Vampire」だが、ハリウッドに舞台を移してからは暗黒街と吸血鬼(ダークファンタジー)との融合だと思うのだが、スキナーの時代はおそらく西部劇と吸血鬼(ダークファンタジー)との融合だと思う。

そこで思い出すのは、以前紹介した水無神知宏の「此よりは荒野」
こちらも合わせて読んでいただければ幸いである。

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