「丘の上の屋敷に魅了された人々のゴーストストーリー・ショーケース」恩田陸ホラーを語る
スティーヴン・キングファンだと言われている恩田陸が、2010年1月にメディアファクトリーから出版された「わたしの家では何も起こらない」を中心に、スティーヴン・キング(ちょっとだけ)、そしてホラーについて、Book Japanのインタビューに答えている。インタビュアーは杉江松恋。
「丘の上の屋敷に魅了された人々のゴーストストーリー・ショーケース」『私の家では何も起こらない』 【恩田陸】
非常に興味深いインタビューです。ちょっと長いですが、是非読んでいただきたいと思います。
キング関連のところだけ、記録のため、ちよっとだけ引用する。
――(以下、杉江松恋)ゴーストストーリーは第一義として恐いものということですか。
恩田 なんていうんでしょうねえ。でもゴーストストーリーはゴーストストーリーとしか言いようがないもので、モダンホラーはゴーストストーリーではないなっていう。ピーター・ストラウブの『ゴースト・ストーリー』なんかは好きでしたけど。ゴーストストーリーとしか呼びようがないものはやっぱりそれ以前に書かれた作品なんじゃないかなあと思います。
――境目は、やはりスティーヴン・キングの『シャイニング』くらいですか。
恩田 ですよね。あの作品が本当に分かれ目だったんじゃないかと思います。モダンホラーになってからホラーは本当に細分化しちゃって、サイコものというような分類もできました。でも『シャイニング』までの作品は未分化で、大括りのゴーストストーリーで通じるジャンルがあると思うんです。
――もっと未分化で、得体の知れないようなものを扱った小説が、恩田さんの言われるゴーストストーリーなんですね。ちなみに今からゴーストストーリーを読む方にお薦めするとしたら、どんな作品がいいでしょう。少し題名を挙げていただけますか。
恩田 デュ=モーリア『レベッカ』とアガサ・クリスティー『スリーピング・マーダー』は絶対ですね。あとは、今は『丘の屋敷』という題名になってしまっているシャーリイ・ジャクスン『山荘綺談』ですね。もう一作いれるとしたら、今題名が出たスティーヴン・キング『シャイニング』でどうでしょう。
と言うことなので、ちょっと考えてみる。
キングの作品を出版順に並べてみると、次の通りである。
「キャリー」(1974)
「呪われた町」(1975)
「シャイニング」(1977)
「ザ・スタンド」(1978)
「デッド・ゾーン」(1979)
「ファイアスターター」(1980)
「クージョ」(1981)
「ガンスリンガー」(1982)
「クリスティーン」(1983)
「ペット・セメタリー」(1984)
「タリスマン」(1984)
「人狼の四季」(1984)
「イット」(1986)
・・・・・・・
「キャリー」は恩田陸の言うところのゴーストストーリーかどうか、と言うと多分違うと思うのだが、「呪われた町」、「シャイニング」はゴーストストーリーに見事に当てはまると思う。
以降キング作品のほとんどは、恩田陸が言うところのゴーストストーリーではなく、所謂モダンホラーと言う分類に当てはまるようであるが、例外もあるようだ。
例えば、「シャイニング」以後のキング作品でゴーストストーリーに分類されそうなのは、賛否はあると思うが、「トミー・ノッカーズ」、「ニードフル・シングス」、「ローズ・マダー」、「骨の袋」、「回想のビュイック8」、「悪霊の島」等があげられる。
ところで、ゴーストストーリーとして成立する作品の重要なファクターは、ホラーやテラーやチラーの対象が不明確であり、定義出来ない、と言うことだろう。
ホラーやテラーやチラーの対象が明確になってしまうと、そこからはその物語はただの勢力争いの物語になってしまうのだ。
そこには既に恐怖はない。
例えば、吸血鬼やゾンビに科学的な解釈を入れる事により、格調高いホラー作品はただの戦いの物語に成り下がってしまうのだ。
そんなことを考える毎日である。
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コメント
ノーミスで完璧な浅田真央に無くて、キムヨナにはあるもの・・・それは"色気"ではないでしょうか。
もちろん天性的な才能もありますが、大きな違いとして見えるのが"大人の女性としての色気"でしょう。
動画を見ても、確かに女性的な色気を感じますね。
http://kmynasdmo.blogspot.com/
投稿: 八百長?浅田真央がキムヨナに勝てない理由 | 2010/02/25 16:54