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2010/11/17

「ヘイヴン -謎の潜む町-」と「コロラド・キッド」をめぐる冒険

ペイパーバック版「コロラド・キッド」のカバーアート 皆さん、ユニバーサル・チャンネルで絶賛放送中のテレビシリーズ「ヘイヴン -謎の潜む町-」を見てますか。

「ヘイヴン ー謎の潜む町ー」

鋭い洞察力と度胸を兼ね揃えた優秀なFBI捜査官オードリー・パーカー(エミリー・ローズ)は、ある事件の調査でメイン州の小さな町ヘイヴンを訪れる。

一見どこにでもありそうな小さな町に見えたが、実は度重なる超自然現象によって長年影響を受け続けた人々の避難場所であることにオードリーは気付く。

やがて町の人々の潜在能力が露になり、オードリーが状況の悪化を防ぐため人々を助ける中、ヘイヴンに隠された多くの秘密が解き明かされていく。
さらには、オードリー自身とこの奇妙な町が深く結びついている事実も明かされていく。

まるで「ツイン・ピークス」ミート「Xファイル」じゃないか。
「ヘイヴン」の最初の3話を見たわたしの感想である。

しかも、なんだか知らないが、わたしの知っている「コロラド・キッド」の物語と内容が全く違うぞ。

と言うのも、皆さんご承知のように、テレビシリーズ「ヘイヴン」は、スティーヴン・キングの「コロラド・キッド」を原作
とするテレビシリーズなのだ。

ところで、件の「コロラド・キッド」はどんな物語だったかと言うと、スティーヴィーおじさんも顔負けのお話好きの老新聞記者の2人組ヴィンスとデイヴが、インターンシップで新聞社ウィークリー・アイランダー社にやって来たオハイオ州立大学の女子大学院生ステファニーに、かつてこの町で起きた摩訶不思議な事件(コロラド・キッド事件)の調査結果を語る、と言う物語である。

そして、彼ら老新聞記者達にとっては、このコロラド・キッド事件は非常にプライベートの事件で、彼らの人生に非常に大きな足跡を印した事件なのだ。

そう、コロラド・キッド事件は本土からやってきたような新聞記者には決して教えられない種類の秘密の事件なのだ。

そんな「コロラド・キッド」の読後感としてはハリイ・ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」とか、ロバート・グレイスミスの「ゾディアック」のような印象を受けるし、映画「瞳の奥の秘密」の登場人物が過去のある事件の影響を受ける設定とも似たような印象も受ける。

おそらく「コロラド・キッド」については、結末の付け方から賛否両論なのだと思うし、キング自身のあとがきにも、『本書「コロラド・キッド」がお気に召したか、あるいは腹立たしくてならなかったかにも左右されるが、(この作品に限っては、中間領域はないのではないかと作者は思っているし、それはそれでかまわない)、(後略)』と記されている。

余談だか、わたしは「コロラド・キッド」について肯定的な印象を持っている。
だって、面白いから。

なお「コロラド・キッド」の解釈については、巻末の吉野仁の解説がキングファンとして切歯扼腕する程素晴らしい。

同書「コロラド・キッド」はご存知のように、新潮文庫版「ダーク・タワー」シリーズの刊行を記念してプレゼントされた非売品なので、今から入手するのは困難だが、入手できる機会があれば、それを逃さずゲットして欲しいと思う。

「コロラド・キッド」本編は勿論、キング自身のあとがき、そして吉野仁の解説も必読の書籍に仕上がっている。

そんな中、わたしはテレビシリーズ「ヘイヴン」を見ている訳である。

そのうちレビューするよ。多分。

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