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2011/08/20

「モールス」をめぐる冒険

「モールス」 2011年8月14日 TOHOシネマズ六本木ヒルズで「モールス」を観た。

「モールス」
監督・脚本:マット・リーヴス
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 「モールス」(ハヤカワ文庫NV)
出演:クロエ・グレース・モレッツ(アビー)、コディ・スミット=マクフィー(オーウェン)、リチャード・ジェンキンス(父親)、イライアス・コティーズ(警官)

映画「モールス」は皆さんご存知のように、スティーヴン・キング絶賛の作品で、キングは「モーリス」について『この20年のアメリカでNo.1のスリラー とにかく劇場に駆け込め。観終わった後にお礼を言ってもらえればいい。』と語っており、そのコメントが「モールス」の国内プロモーションにも利用されている。

冒頭に紹介した画像(「モールス」のポスター)、にもキングのコメント("THE BEST AMERICAN HORROR FILM IN THE LAST 20 YEARS")が読める。

参考エントリー『スティーヴン・キング選定2010年映画ベストテン発表』。キングは2010年の映画ベスト1に「モーリス」をあげている。

そもそも「モールス」("LET ME IN")と言う作品は、スウェーデンのスティーヴン・キングの異名をとるホラー作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの「モールス」("MORSE")を原作にして映画化されてスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」("LET THE RIGHT ONE IN")のハリウッドリメイクである。

スウェーデンのスティーヴン・キングの異名をとる原作のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストだが、実は異名をとるだけではなくスティーヴン・キングの影響を受けている。
原作の「モールス」にもキングの影響を受けたと思われる描写やキングの作品名が顔を出す。

そして、その「モールス」を原作にする「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008)もキングの影響を受けている。ここでは明示はしないが、特に顕著なのは「デッド・ゾーン」の影響ではないだろうか。

さて、「モールス」だが、キングは絶賛しているが、わたしから見ると「ぼくのエリ 200歳の少女」の劣化コピーに見えて仕方がない。

あの北欧の素晴らしい作品がハリウッドに来て普通のサスペンスホラーになってしまった印象。

もちろん「モールス」のひとつの売りであるクロエ・グレース・モレッツは素晴らしいのだが、あまりにも忠実なリメイクにある意味失望である。

アートワークまで似てるよね。

スピード写真の使い方は良かったですけどね。
多分オリジナルにはなかったよね。

但し、スピード写真を使う事により、今後のアビーとオーウェンの展開が明示されてしまう、と言う問題が派生してしまっている。

忠実なリメイクは良いのだが、果たしてそれだったら最初からリメイクする必要があるのか、と言う疑問が持ち上がってくる。

まあそれだけ、「ぼくのエリ 200歳の少女」が素晴らしかった、と言う事だろうか。

最初に「モールス」を観てから「ぼくのエリ 200歳の少女」を観たらどう感じるのか関心あるね。


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