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2011年12月の14件の投稿

2011/12/31

「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」で「アンダー・ザ・ドーム」が!?

「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」
2011年12月29日、AXNミステリーで、スティーヴン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」がノミネート30作品に選出されている「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」が放送された。(再放送は2012年1月4日 10:00〜)

「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」

番組の概要は、オフィシャル・サイトによると次の通り。

イントロダクション
年末恒例のオリジナル番組「闘うベストテン」が今年も放送決定!
4名の"本の達人"が昨年11月から今年10月に刊行された、ミステリー書籍の年間ベスト10を決定すべく熱いバトルを繰り広げる!
投票や多数決ではなく出演者それぞれの熱い想いが順位を決める、まさに乱闘寸前の「闘うベストテン」お見逃しなく!

今年度ノミネートのベスト30作品はこちら!
『アンダー・ザ・ドーム』スティーヴン・キング
『アンダーワールドUSA』ジェイムズ・エルロイ
『11 eleven 』津原泰水
『エージェント6』トム・ロブ・スミス
『オーダーメイド殺人クラブ』辻村深月
『折れた竜骨』米澤穂信
『絆回廊 新宿鮫Ⅹ』大沢在昌
『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』奥泉光
『ジェノサイド』高野和明
『謝罪代行社』ゾラン・ドヴェンカー
『醜聞の作法』佐藤亜紀
『消失グラデーション』長沢樹
『装飾庭園殺人事件』ジェフ・ニコルスン
『ダークゾーン』貴志祐介
『探偵術マニュアル』ジェデダイア・ベリー
『月と陽炎』三咲光郎
『特捜部Q―檻の中の女―』ユッシ・エーズラ・オールスン
『なまづま』堀井拓馬
『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン
『ねじまき少女』パオロ・パチガルピ
『ねじれた文字、ねじれた路』トム・フランクリン
『背後の足音』ヘニング・マンケル
『はいつくばって慈悲を乞え』ロジャー・スミス
『犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ
『開かせていただき光栄です 』皆川博子
『ミステリウム』エリック・マコーマック
『水の柩』道尾秀介
『ユリゴコロ』沼田まほかる
『ローラ・フェイとの最後の会話』トマス・H・クック
『忘れられた花園』ケイト・モートン

キャスト&スタッフ
司会 豊﨑由美(フリーライター)
出演者 香山二三郎(コラムニスト)、大森望(翻訳家)、杉江松恋(書評家)、石井千湖(ライター)

スティーヴン・キングファンとしては、筆頭にノミネートされている「アンダー・ザ・ドーム」がどの辺にランクインするのか、に関心を置きながら2011年のミステリー業界の流れを思いつつ視聴したのだが、キングの名前すらほとんど出てこない結果になってしまった。ショック!

しかし、大森望が推す堀井拓馬の「なまづま」は、もしかしたらキングの「ペット・セマタリー」の影響を受けているのではないかな、と言う妄想的な印象を受けた。


激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって…。選考委員絶賛、若き鬼才の誕生!第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。

読んでみようかしら。

ところで、本編中、ちょっと印象に残ったセリフをいくつか紹介する。

10作品が出そろうも、トマス・H・クックの「ローラ・フェイとの最後の会話」をなんとかベストテンに入れたい場面。

香山二三郎イチオシの「月と陽炎」(三咲光郎)を落とそうとする豊﨑由美のセリフ

『じゃあさあ、じゃあさあ、香山さんさあ三咲さんの(「月と陽炎」)はずしてみたら』

大森望イチオシの「なまづま」(堀井拓馬)を落とそうとする豊﨑由美のセリフ

『新人作家(堀井拓馬)がさあ、もう大森望にあれだけ絶賛されたら、もうそれだけで一年食べていけるもの』

ベストテンの枠に対し候補作が多く、5位以下の作品の中から補欠にするべき作品があるのかどうか、と言う場面。

視聴者が支持した高野和明の「ジェノサイド」を補欠にしようとする豊﨑由美のセリフ

『そうだ、補欠じゃないの、別格。今年から別格枠というのを(つくって)ね、視聴者が一番支持した別格の小説が「ジェノサイド」


いやあ、豊﨑さん、大変面白いです。

さて、気になる「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」だが、結果は次の通り。

1.『忘れられた花園』ケイト・モートン
2.『11 eleven 』津原泰水
3.『ミステリウム』エリック・マコーマック
4.『ローラ・フェイとの最後の会話』トマス・H・クック
5.『なまづま』堀井拓馬
6.『ねじれた文字、ねじれた路』トム・フランクリン
7.『月と陽炎』三咲光郎
8.『謝罪代行社』ゾラン・ドヴェンカー
9.『装飾庭園殺人事件』ジェフ・ニコルスン
10.『はいつくばって慈悲を乞え』ロジャー・スミス

ともかく、どんなベストテンにしろ、その選出の過程を公にする、と言う趣向は大変面白い。
これからもどどんやっていただきたい。
と言うか、様々な文学賞の選考委員会にカメラを入れるとめちゃくちゃ面白い、と言うかカメラを意識して、文学賞自体がより良いものになるのではないか、と思えます。

ところで、前述のように「第3回 AXNミステリー 闘うベストテン」は、2012年1月4日 10:00から再放送されるので、関心がある方は是非。

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2011/12/28

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」普及版のアートワーク公開!

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」普及版ハードカバー 2011年12月22日 スティーヴン・キングのオフィシャル・サイト「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」の普及版ハードカバーのアートワークが公開された。

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」

以前のエントリー『「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」の表紙公開か!?』で紹介した「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」のアートワークは、ドナルド・M・グラント社から出版される予定の限定版のアートワークで、イラストレイターJae Leeの手によるものである。

Jae Leeはご承知のように、スティーヴン・キング原作の「ダーク・タワー」シリーズのグラフィック・ノベルのアートワークを担当するイラストレイターであり、「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」限定版のイラストのテイストは、やはりグラフィック・ノベル(コミックブック)のような印象を受ける。

しかしながら、今回公開された「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」普及版ハードカバーのアートワークは、限定版のそれとは全く異なる印象を受ける。

それでは、そのアートワークをみてみよう。

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」普及版ハードカバーのアートワーク
クリックすると大きな画像が表示されます。

いかがだろうか。

これはきれい。素晴らしい。
私見だが、限定版より普及版の方が良いですね。

しかし、やはり虎がいるね。

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」普及版ハードカバーは2012年4月24日の出版予定

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」ドナルド・M・グラント社限定版ハードカバーは2012年2月の出版予定。

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2011/12/27

「ウォーキング・デッド」の原作コミックの売れ行きが絶好調だそうです

2011年12月26日に映画.comが伝えるところによると、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」の原作コミックの売れ行きが絶好調である模様。

「ウォーキング・デッド」の原作コミック売れ行きが絶好調

記録のため全文を引用する。

 [映画.com ニュース] 米人気ドラマ「ウォーキング・デッド」の原作コミックが、ニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックノベル部門のベストセラーリストを独占する状態になっていると、ハリウッド・レポーター紙が報じた。

 「ウォーキング・デッド」とは、ロバート・カークマンの人気コミックを「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督が映像化したドラマで、アメリカではシーズン2の前半の放送が終わったばかり。番組人気に伴い、原作コミックの売上げが好調で、ニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックノベルのベストセラーリストにおいて、ペーパーバック部門のトップ4のなかに3冊、ハードカバー部門ではトップ9のなかに3冊がランクインしている。

 特定のグラフィックノベルシリーズが、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストをここまで占拠したのは初めてだという。なお、シーズン2の後半は、2月12日に全米放送開始。
(映画.com速報)

まあ皆さんご承知だと思いますが、「ウォーキング・デッド」国内版の翻訳は、かの風間賢二氏です。

因みに、「ウォーキング・デッド」シーズン2の国内放送は、北米での放送から2週間遅れでFOXチャンネルで放送されています。

この北米の2週間遅れでの国内放送と言うのも異例だと思いますが、シーズン2の後半も同様に2週間遅れ、2012年3月より後半の第8話以降が放送される予定です。



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2011/12/25

ジョーカーの口元からも笑みが消え

ヒース・レジャーのポートレイトにサインをねだられ困惑するジャック・ニコルソン

今日はネットからの拾い物を紹介します。

先ずは写真をご覧下さい。

おそらく、解説は不要だと思いますし、ギャグやネタの解説をしているようで野暮で恥ずかしいのですが、念の為。

これは、ジャック・ニコルソンにファンがサインをねだっている写真なのですが、差し出されている写真はなんと「ダークナイト」(2008)でジョーカーを演じたヒース・レジャーのポートレイトなのです。

ジャック・ニコルソンはご承知のように「バットマン」(1989)でジョーカーを演じていますね。

この写真の背景は、おそらくパパラッチ的な人がセレブリティが困惑したり、激怒したりする写真を撮ろうとして、ジャック・ニコルソンに嫌がらせの意味を込め、ヒース・レジャーのポートレイトを差し出したのだと思います。

ポートレイトを差し出している人と、撮影している人がおそらくペアで撮影をしていますよね。

まさか単なる勘違いではないはずですよね。
セレブリティのサインをもらうためにポートレイトを常に持ち歩いている位の人であれば、ジャック・ニコルソンとヒース・レジャーの違いには気付くでしょうしね。

因みに2枚目は「シャイニング」のポートレイトですね。

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2011/12/22

第三回翻訳ミステリー大賞最終候補作にキングの作品が!?

2011年12月21日に「翻訳ミステリー大賞シンジケート」の公式ブログが伝えるところによると、第三回翻訳ミステリー大賞最終候補作にスティーヴン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」が選出された模様。

第三回翻訳ミステリー大賞最終候補作決定

記録のため、全文を引用する。

 2011年12月20日に都内にて予選委員会が開かれ、最終候補作が決定しました。  

 候補作は以下の5作です(作品名50音順)

『アンダー・ザ・ドーム』スティーヴン・キング/白石朗訳(文藝春秋)
『二流小説家』デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴訳(早川書房)
『犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一訳(東京創元社)
『夜の真義を』マイケル・コックス/越前敏弥訳(文藝春秋)
『忘れられた花園』ケイト・モートン/青木純子訳(東京創元社)

 予選委員会の議事内容、および今後のスケジュール等については近日中に予選委員から報告があります。  

 予選委員会立会人代表・杉江松恋

翻訳ミステリー大賞シンジケートについては、当ブログでも何度か紹介しているので、詳細は翻訳ミステリー大賞シンジケートの「巻頭言」を参照願います。

個人的にはキングの「アンダー・ザ・ドーム」が大賞を受賞し、その表彰盾がキングのところに行って欲しいな、と。

極東の島国でも、キングの作品がこんなに愛されているのだよ、と言う事がキングのところに伝わって欲しいな、と思うところである。





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2011/12/19

「THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」の表紙公開か!?

「THE DARK TOWER: THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」 2012年2月に限定版がドナルド・M・グラント社から出版されるスティーヴン・キングの「ダーク・タワー」シリーズ「THE DARK TOWER: THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」の表紙画像がドナルド・M・グラント社のサイトで公開された。

なんともでかい虎がいるよ。

ついでに、「THE DARK TOWER: THE WIND THROUGH THE KEYHOLE」まえがきと冒頭5ページがここで公開されている。

PREVIEW STEPHEN KING'S FOREWORD AND FIRST 5 PAGES!

因みに、Amazon.co.jpでも普及版の予約が始まってますね。

なお、普及版は2012年4月出版予定の模様。

US版(左) UK版オーディオブック(右)

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2011/12/18

「ザ・シンプソンズ」に登場した著名な作家たち

26
2011年12月14日にAccredited Online Colleges「10 Famous Authors Featured on the Simpsons」と言うエントリーを公開した。

これはアニメーション作品「ザ・シンプソンズ」に登場した著名な作家を紹介したもので、その2人目にスティーヴン・キングが紹介されている。

因みに、Accredited Online Collegesは、2009年創立のオンライン大学である模様。

10 Famous Authors Featured on the Simpsons

キングの部分を引用する。

2 Stephen King
Stephenking Stephen King is one of the most prolific and popular authors today, publishing numerous best-selling novels during his long career, so it only makes sense that'd he show up in an episode of The Simpsons. King appears comes into an episode when the family decides to take in a book festival, repayment to Lisa for the destruction of her room in a VCR repair gone wrong. When they meet the iconic author, Marge tells him to, "Call me when you start writing horror again," a jab at the author for getting away from his core audience, perhaps. King dutifully notes her request, however, with no hard feelings.

因みに紹介されている作家は次の通り。

1 ニール・ゲイマン
2 スティーヴン・キング
3 エィミ・タン
4 ジョン・アップダイク
5 トマス・ピンチョン
6 ミッチ・アルボム
7 トム・クランシー
8 スティーブン・ジェイ・グールド
9 J.K.ローリング
10 マイケル・シェイボン

まあ、それだけです。

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2011/12/14

「Horns」翻訳決定!?

白石朗さんのジョー・ヒルの「Horns」に関するツイート
2011年12月13日の白石朗さんのツイートによると、ジョー・ヒルの長編第2作目「Horns」の翻訳が進んでいる模様。

これが世に言う「朗報」である。
文字通りね。

白石朗(@R_SRIS)さん曰く

厚い本が続いたあおりで遅れ気味でしたが、小学館文庫より来年4月刊の“予定”で作業が進行中です。 RT @tkr2000 @coco_n //「Horns」の翻訳はどうなっているのかな// RT @yama_gat //ジョー・ヒルの長編第2作って邦訳どうなってんのかな…?

ジョー・ヒルの「Horns」の翻訳について、公になっている情報は次の通り。

「Horns(原題)」
著者:ジョー・ヒル
訳者:白石朗
出版社:小学館(小学館文庫)
出版時期:2012年4月(予定)

あらすじ:ニューハンプシャー州の小さな街に住む26歳の若者イグ(Ig)は、泥酔した翌朝目を覚ますと、自分の頭に二本の角が生えているのを発見する。イグは慌てて病院に駆け込むものの、医師はイグの話をろくに聞こうともせず、妄想をつぶやき始める。

どうやらイグの角に近づいた者は、自らの欲望を告白せずにはいられなくなってしまうようなのだ。

そんなイグはかつて、恋人がレイプされ殺害された上に、その容疑者として拘束された経験を持っている。

恋人を殺害した真犯人を探すべく、悪魔の力を手に入れたイグの冒険がはじまる。

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2011/12/12

アレクサンドル・アジャ、S・キング父子の小説を相次いで映画化へ

2011年12月12日に映画.comが伝えるところによると、アレクサンドル・アジャがジョー・ヒルの長編2作目の「Horns」の映画化を手がける事になった模様。

アレクサンドル・アジャ、S・キング父子の小説を相次いで映画化へ

記録のため、全文を引用する。

 [映画.com ニュース] 「ピラニア3D」「ミラーズ」のアレクサンドル・アジャ監督が、スティーブン・キングの長男で小説家のジョー・ヒルの長編小説「Horns」の映画化企画でメガホンをとることになった。

 2010年に発表された「Horns」は、主人公の26歳の男がある日、ひどい二日酔いとともに目覚めると、額に2本の角が生えていたという設定のダークファンタジー小説。やがて男は、その角が、恋人が殺害された事件に関係していると考えるようになる。

 映画版はマンダレイ・ピクチャーズの製作で、テレビシリーズ「In Treatment」のキース・ブーニンが脚色にあたる。また、原作者ヒルも製作総指揮で参加する。

 ちなみにアジャ監督は、キング原作の映画「ペット・セメタリー」リメイク版の監督候補にも挙がっており、父子両方の小説の映画化に携わることになりそうだ。

因みにこの「Horns」の映画化については、allcinemaが12月9日に伝えている。

アレクサンドル・アジャ監督、ジョー・ヒルの最新ホラーを映画化へ

 巨匠スティーヴン・キングを父に持つジョー・ヒルの長編2作目となるホラー小説「Horns」が、「ヒルズ・ハブ・アイズ」「ピラニア3D」のアレクサンドル・アジャ監督によって映画化されることが明らかとなった模様。当初は主演にシャイア・ラブーフの名前が挙がっていたが、現在も引き続き関わっているかは不明。来年の春から夏の完成を目指す。

allcinemaの記事の方は、アレクサンドル・アジャの作品として、「ヒルズ・ハブ・アイズ」を挙げているのね。

しかも主演はシャイア・ラブーフ!?

まだ噂レベルの話だと思いますが、期待しつつ注目して行きたいところです。
ところで「Horns」の翻訳はどうなっているのかな。


余談だけど、アレクサンドル・アジャの企画として、寺沢武一の「コブラ」の実写企画も噂されている。

噂と言っても、企画としては、随分進んでいるみたいですが。

「コブラ」実写イメージ「Variety」より

「Variety」の表紙を飾った、アレクサンドル・アジャの実写版「コブラ("COBRA THE SPACE PIRATE")」のキービジュアル。「2013年夏」の文字が確認できる。

アレクサンドル・アジャ、寺沢武一、グレゴリー・ルヴァスール

写真は左からアレクサンドル・アジャ、寺沢武一、グレゴリー・ルヴァスール。
なお、この写真は寺沢武一のオフィシャル・ブログで公開されもの。

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2011/12/09

キングが選ぶ2011年トップ20

「Stephen King: My Top 20 of 2011」
2011年12月8日 スティーヴン・キングはEW.com「Stephen King: My Top 20 of 2011」を発表した。

スティーヴン・キングは例年、映画トップ10、テレビムービートップ10等、ジャンル毎のトップ10を発表しているのだが、今年は映画、テレビムービー、音楽、小説を全て合わせたトップ20を発表している。

Stephen King: My Top 20 of 2011

それでは、気になる順位を紹介しよう。

先ずは原題を・・・・

1.Breaking Bad, AMC
2.Margin Call
3.How Do You Do, Mayer Hawthorne
4.Sons of Anarchy, FX
5.Skippy Dies, Paul Murray
6.Sky Full of Holes, Fountains of Wayne
7.The Debt
8.Ready for Confetti, Robert Earl Keen
9.Talk Talk, T.C. Boyle
10.Crossers, Philip Caputo
11.Revenge, ABC
12.The ­Accident, Linwood Barclay
13.The Tree of Life
14.The Lincoln Lawyer
15.''Get that snitch,'' Mikis Michaelides
16.The White Devil, Justin Evans
17.Final Destination 5
18.The Hour, BBC America
19.The Walking Dead, AMC
20.''Rumour Has It,'' Adele

ついでに、邦題があるものは邦題を・・・・

1.「ブレイキング・バッド」, テレビシリーズ
2.「マージン・コール」, 映画
3.「ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ」, メイヤー・ホーソーン , 音楽
4.Sons of Anarchy, テレビシリーズ
5.Skippy Dies, Paul Murray , 小説
6.「スカイ・フル・オブ・ホールズ」, ファウンテインズ・オブ・ウェイン , 音楽
7.The Debt , 映画
8.Ready for Confetti, ロバート・アール・キーン , 音楽
9.Talk Talk, T.C. Boyle , 小説
10.Crossers, Philip Caputo , 小説
11.Revenge, テレビシリーズ
12.The ­Accident, リンウッド・バークレイ , 小説
13.「ツリー・オブ・ライフ」 , 映画
14.The Lincoln Lawyer , 映画
15.''Get that snitch,'' Mikis Michaelides , 音楽
16.The White Devil, Justin Evans , 小説
17.「ファイナル・デッドブリッジ」 , 映画
18.The Hour, テレビシリーズ
19.「ウォーキング・デッド」, テレビシリーズ
20.「ルーモア・ハズ・イット」 , アデル , 音楽

いかがだろう。
関心がある作品があったかな。

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2011/12/07

「未体験ゾーンの映画たち 2012」にキング原作作品が!?

「未体験ゾーンの映画たち 2012」 シネマトゥデイが2011年12月5日に伝えるところによると、2012年1月から5ケ月にわたって開催される特集上映「未体験ゾーンの映画たち 2012」で、スティーヴン・キング原案の「ザ・チャイルド:悪魔の起源」が上映される模様。

“未体験”の映画に出会える特集上映「未体験ゾーンの映画たち 2012」開催決定!

記録のために全文を引用する。

 [シネマトゥデイ映画ニュース] 日本で劇場公開されにくい映画を集めて特集上映する「未体験ゾーンの映画たち 2012」が、来年1月より約5か月にわたってヒューマントラストシネマ渋谷で開催されることがわかった。

 単館系の映画館が減り、シネコンの勢いが勝る一方で、小粒ながらも良質な作品や映画ファンに愛されるB級作品が劇場で日の目を見ることがなくなってきたのも事実。国際的な映画祭に出品され話題を集めた作品ですら、公開されにくい作品になってしまう場合もある。そんな中、ヒューマントラストシネマ渋谷では、「映画は映画館で」をモットーに、海外で評価が高くても日本では劇場公開されにくい作品などを集めた特集上映の開催を決定。多ジャンルからお宝作品を選び出し、日本人「未体験」となる映画を渾身(こんしん)のラインナップでお届けする。  

 上映期間は2012年1月14日から6月15日までの5か月間。珠玉の17作品をスクリーンで観ることができる。中でも注目なのは、ライアン・ゴズリングとキルステン・ダンストというスター俳優が顔をそろえた「幸せの行方…」。実際の未解決事件を題材にしたサスペンスで、キルステンは本作でヌードも披露している。また、タイヤが殺人鬼となって襲い掛かる「ラバー」や、スティーヴン・キング原案で「ミミック2」の脚本を手掛けたジョエル・ソワソンがメガホンを取った「ザ・チャイルド:悪魔の起源」など背筋がゾクッとするもの。そのほか、「処女」「ロマンスX」の鬼才・カトリーヌ・ブレイヤ監督の官能メルヘン「禁断メルヘン 眠れる森の美女」など粒ぞろい。

 製作国もオランダ、フランス、カナダなどさまざまで、ロシアからはミラ・ジョヴォヴィッチ出演のラブ・コメディー「エターナル」も。巨匠が名を連ねる作品も目立ち、マイケル・マンがプロデューサーを務め、「アバター」のサム・ワーシントン、「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツが共演する「キリング・フィールズ 失踪地帯」や、シドニー・ルメット監督&脚本、ヴィン・ディーゼル出演の「コネクション マフィアたちの法廷」なども上映される。映画ファンにはたまらない企画だ。(編集部・小松芙未)

 「未体験ゾーンの映画たち 2012」は2012年1月14日から6月15日までヒューマントラストシネマ渋谷にて連日上映。

なお、上映予定作品は次の通り。

・1/14(土) ~ 「幸せの行方...」
・1/21(土) ~ 「ラバー」
・2/4  (土) ~ 「ザ・フィールド」
・2/11(土) ~ 「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」
・2/18(土) ~ 「禁断メルヘン 眠れる森の美女」
・3/3  (土) ~ 「ヘルレイザー:レベレーション」
・3/3  (土) ~ 「カウボーイ&ゾンビ」
・3/10(土) ~ 「バンバン・クラブ-真実の戦場-」
・3/17(土) ~ 「ザ・チャイルド:悪魔の起源」
・3/17(土) ~ 「ブラッドレイン 血塗られた第三帝国」
・3/24(土) ~ 「HIDDEN ヒドゥン」
・4/7  (土) ~ 「HUNTERS ハンターズ」
・4/14(土) ~ 「キリング・フィールズ 失踪地帯」
・4/21(土) ~ 「LOFT(原題)」
・5/5  (土) ~ 「エターナル」
・5/19(土) ~ 「コネクション マフィアたちの法廷」
・6/2 (土) ~ 「ある娼館の記憶(仮)」

驚いちゃうのは、話題の「ラバー」が劇場公開されちゃうところでしょうか。
て言うか、「HIDDEN ヒドゥン」ってなんだよ!「HIDDEN ヒドゥン」って!

まあ、記事ではいろいろと立派な事言ってるけど、ラインナップをみると、これある意味「東京ファンタ」じゃん、って感じ。

取りあえず、「ザ・チャイルド:悪魔の起源」の詳細を紹介する。

●3/17(土)公開「ザ・チャイルド:悪魔の起源」
・監督・脚本:ジョエル・ソワソン
・原案:スティーブン・キング
・出演:ビリー・ドラゴ/バーバラ・ネデルヤコーヴァ/ケレン・コールマン
・2010年/アメリカ/81分/原題:CHILDREN OF THE CORN

【何かに操られ、常軌逸した子供たちが・・】 キング作品と言えば「キャリー」「シャイニング」「ミザリー」等、ホラー作品の巨匠と言っても 過言ではない!本作のベースとなっている「Children of the Corn」は映像化された回数も多く、 キングファンの間でも広く知られた存在である。現代風のアレンジを加え、新たに生まれ変わった。 深い歴史と呪われた真実が、今、明かされる。

とのこと。

企画としては、おそらく「午前十時の映画祭」の流れなんだろうと思うけど、非常に有意義な企画だと思うので、是非劇場でお会いしましょう。

繰り返しになるけど、「ラバー」なんて劇場じゃ観られないよ、多分。

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2011/12/06

「文春図書館 2011ミステリーベスト10」にキングの作品が!?

「週刊文春2011年12月8日号」の中吊り広告
2011年12月1日に発売された「週刊文春12月8日号」に掲載された「文春図書館拡大版 2011ミステリーベスト10」の海外部門の第10位にスティーヴン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」が選出された模様。

なお、この「2011ミステリーベスト10」は、日本推理作家協会会員及びミステリー作家、文芸評論家、書店員、各大学ミステリー研究会へのアンケート調査の結果によるものである。

「文春図書館拡大版 2011ミステリーベスト10」

中吊り広告でこの「2011ミステリーベスト10」の事を知ったわたしは、どうせ4ページ位の記事だろう、と高を括っていたのだが、見てびっくり、なんと全13ベージにも及ぶ長大な記事であった。

とは言うものの、キングファンとしては、国内部門に8ページ、海外部門に5ページと国内部門に偏重しているのが残念であった。

記事の構成としては、第1位の著者のインタビュー記事、ベスト10に選出された作品の概要と、その作品に対するひとくち書評、今年のミステリーに関するコラムと盛り沢山の内容である。

さて、気になる「2011ミステリーベスト10」については、タイトルと著者(海外部門については訳者)を紹介する。

国内部門
1.「ジェノサイド」高野和明
2.「折れた竜骨」米澤穂信
3.「開かせていただき光栄です」皆川博子
4.「マスカレード・ホテル」東野圭吾
5.「絆回廊 新宿鮫X」大沢在昌
6.「ユリゴコロ」沼田まほかる
7.「麒麟の翼」東野圭吾
8.「メルカトルかく語りき」真耶雄嵩
9.「真夏の方程式」東野圭吾
10.「転迷 隠蔽捜査4」今野敏

海外部門
1.「二流小説家」デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴
2.「犯罪」フェルディナント・V・シーラッハ/酒寄進一
3.「エージェント6」トム・ロブ・スミス/田口俊樹
4.「007 白紙委任状」ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子
5.「ブラッド・ブラザー」ジャック・カーリィ/三角和代
6.「背後の足音」ヘニング・マンケル/柳沢由実子
7.「サトリ」ドン・ウィンズロウ/黒原敏行
8.「忘れられた花園」ケイト・モートン/青木純子
9.「探偵術マニュアル」ジェデダイア・ベリー/黒原敏行
10.「アンダー・ザ・ドーム」スティーヴン・キング/白石朗

折角なので、「アンダー・ザ・ドーム」に関するひとくち書評も紹介しようと思う。

村山実
クライマックス・シーンの迫力はなんとも言えず素晴らしい。キングの健在が確認できて嬉しい。

尾之上浩司
閉鎖空間内での先が読めない展開と人間ドラマに圧倒されること確実。

河内郁夫(大垣書店フォレスト)
この作家より先に死にたくない。長編三冊分のアイディアがつまっている。

ワセダミステリクラブ
要約を躊躇わせる膨大な物語の積み重ね。この大ボリュームは、これほどに細密な群像を描くために必要だったのだ。

宇田川拓也(ときわ書房本店)
人間の恐怖と狂乱が爆発する阿鼻叫喚の図は、まさに圧巻のひと言!

なるほど!
未読の方は是非読んでみよう。
近年稀に見る圧倒的な作品だよ。



Shukanbunshun111208 余談だけど、「週刊文春12月8日号」の表紙はマンホールの蓋なんですよね。
キング的には、「IT」的な世界への入り口ですよね。

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2011/12/02

「UN-GO」もキングの影響を!?

「UN-GO(アンゴ)」
さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、アニメーション作品「UN-GO(アンゴ)」第8話「楽園の王」

「UN-GO」

ところで「UN-GO」とはなんぞや、と言う話だが、驚いた事にアニメーション作品「UN-GO」は、坂口安吾が明治を舞台に描いた「明治開花 安吾捕物帖」を原案にしつつ、設定を近未来に翻案した作品。

で、今回紹介する第8話「楽園の王」は、第7話「ハクチュウム」と前編・後編の関係になっており、舞台は民間刑務所「東関東社会復帰促進センター」。

「UN-GO」の主人公である結城新十郎は、以前の事件に関係していた《小説家》を名乗る犯罪者と面会するため「東関東社会復帰促進センター」を訪ね、そこで消息を絶ってしまった。

そして、その《小説家》は、現実を舞台に事件を生み出し、その事件を名探偵役である結城新十郎に、全ての殺人事件が終わった後で、解けない謎に挑戦させることを目的としていた。

つまり、殺人事件を未然に防止するのではなく、殺人事件をわざわざ起こし、その後、後の祭りになってから、探偵役が殺人事件の謎を解こうとする、と言う小説を現実世界で描こうとしているのである。

そして、その《小説家》の小説を実現するのは、高度な催眠技術を持つ別天王の催眠術。

別天王の催眠術により「東関東社会復帰促進センター」に収監されている看守や囚人たちは、映画「白痴たち」の撮影現場でそれぞれの役を演じており、その撮影現場において、「白痴たち」の監督である三高吉太郎の殺人事件に巻き込まれているように感じているのだ。
しかも新十郎は三高の撮影カメラマンの役をふられている。

「UN-GO(アンゴ)」第7話「ハクチュウム」より
別天王の催眠術により、民間刑務所「東関東社会復帰促進センター」は、映画「白痴たち」の撮影現場になってしまう。写真中央が監督の三高吉太郎。おそらく根岸吉太郎への言及だろう。

実は、殺されてしまう三高吉太郎は看守であり、主演女優のひとり、これも実は囚人である伊沢紗代を、自らの秘密を守るために脱獄させようと画策していたのだが、伊沢は別天王の催眠術の効果により、脱獄させられそうになっているのではなく、主演女優を下ろされるのではないかと思い込んでいるのだ。

新十郎を救出しようとする因果や佐々風守らのスタンガン的なものにより、催眠が解けた新十郎は、三高の殺人事件の謎を解くことになる。

「UN-GO(アンゴ)」第7話「ハクチュウム」より
結城新十郎は《小説家》の小説では、映画カメラマンの役をふられている。

その謎解きの途中、新十郎はこんなセリフをはいている。

「殺された三高監督は図書館で映画を探していた。スチュアート・ローゼンバーグ、フランクリン・J・シャフナー、フランク・ダラボン。さてこの3人の監督の共通点は?」
「いずれも有名な脱獄映画を撮っている」

つまり、三高は殺される前、図書館で様々な脱獄映画を調べていたのだ、伊沢の脱獄のヒントになるのではないか、と。

で、どの辺がキングの影響を受けているのか、と言う今日の本題だが、もう既におわかりのように、前述の3人の映画監督の1人フランク・ダラボンが撮った脱獄映画がご想像の通り「ショーシャンクの空に」なのである。そして「ショーシャンクの空に」はスティーヴン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワーズ」を原作としている。

つまり、三高はフランク・ダラボンの「ショーシャンクの空に」を元に脱獄計画を練った、つまり、キングの間接的な影響下にある、と言う事なのです。

まあ、それだけなんだけどね。

因みに、スチュアート・ローゼンバーグは「暴力脱獄」「ブルベイカー」の監督であり、フランクリン・J・シャフナーは「パピヨン」の監督である。




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2011/12/01

『海外ミステリー応援隊【番外編】2011年総括座談会』と『2011年慶應三田祭「ゼロ年代のおすすめ翻訳ミステリー」トーク』

2011年11月28日の読売新聞夕刊に掲載された『堂場瞬一の海外ミステリー応援隊「2011年総括座談会」』が11月29日、YOMIURI ONLINEで公開された。

海外ミステリー応援隊【番外編】2011年総括座談会

スティーヴン・キング的には、文芸春秋の永嶋氏は「アンダー・ザ・ドーム」の編集者の方です。

折角なので、記録のため、全文を引用します。

 2011年は、海外ミステリーの“当たり年”。今回は、本よみうり堂トレンド館で連載中の、「堂場瞬一の海外ミステリー応援隊」番外編として、私、堂場が、編集の現場で活躍する東京創元社の井垣真理さん、文芸春秋の永嶋俊一郎さんとともに、この1年を振り返りました。  

“ミステリー愛”にあふれた座談会では、傑作を紹介しつつ、話題は「若者に海外ミステリーを読んでもらうには?」にまで及びました。    

世界の長・短編大豊作…やはり新作「007」「犯罪」不思議な味、北欧モノ健在

■今年のオススメ  

堂場「まず、自社のオススメ、年末年始に読みたい1冊をご紹介下さい」  
永嶋「やはりジェフリー・ディーヴァーの『007 白紙委任状』ですね」  
堂場「スパイ小説の名作・007シリーズを、巨匠ディーヴァーが新作として書き下ろした1冊です」  
永嶋「翻訳小説に距離を感じる人は多いですが、これはそんな方にも楽しめる作品です。007映画ファンの人ももちろん、ディーヴァーならではのどんでん返しもありますから」  
堂場「ただ、“どんでん返しのディーヴァー”としては、少し原作に遠慮した感じもあります」  
永嶋「代わりに、アクションシーンが満載です。これと、スティーブン・キングの『アンダー・ザ・ドーム』と、ジェイムズ・エルロイの『アンダーワールドUSA』がオススメですね」  
井垣「ドイツ発のフェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』です。現職の弁護士が書いた短編集で、これがミステリーと言えるかどうか、という問題もありますが、ミステリー的な読み方はできます」  
堂場「犯罪実話的な感じもありますが、不思議な味わいの1冊ですよね。僕は、今年のベストに推します。ちなみに今年は、ドイツのミステリーの傑作が何冊か紹介されました。ゾラン・ドヴェンカーの『謝罪代行社』(ハヤカワ・ミステリ、ハヤカワ文庫)や、ラルフ・イーザウの『緋色の楽譜』(東京創元社)。少し理屈っぽい感じもしますが、どれも面白い」  
井垣「いい紹介者の方(『犯罪』『緋色の楽譜』を訳した酒寄進一氏)に出会えたのが大きかったですね。今までドイツの物は発掘できなかったのですが、まだまだ隠れている傑作があるに違いない、と思うのです。英米仏の作品は、社内の人間で探せるんですが」

■欧米以外も発掘
 
堂場「ドイツ以外にも、世界各地には面白いミステリーがまだ埋もれていると思いますが、どうやって見つけているんですか? 今だと、ネットの評判なども参考になるのでは?」  
永嶋「そういう情報は拾えますが、現地で売れている小説が、日本の読者に合うかどうかは別問題。だいたい、検討した本のうち、実際に日本で出版できるのは5%を切ってるんじゃないかと思います」  
堂場「そんなに厳選しているんですか……。スペイン語圏はどうでしょう。中南米とか、面白いミステリーがありそうですけど」  
永嶋「純文学の傑作がたくさん出ていますからね」  
井垣「いくつか気になる物はあるんですが、日本で受け入れられるかどうか、まだ手探り状態です」  
堂場「北欧モノは相変わらず人気ですが、へニング・マンケルの「ヴァランダー・シリーズ」(創元推理文庫)が気になります。最新作『背後の足音』で主人公が糖尿病になってしまいましたが、これからどうなるんですか?」  
井垣「それが……意外な展開があるんです(笑)。このシリーズは、初めはなかなか火がつかなくて、そろそろ打ち切ろうか、という状況から盛り返したんですよ」  
堂場「ほかにも、南アフリカが舞台、なんていうのもありましたね。ロジャー・スミスの『はいつくばって慈悲を乞え』(ハヤカワ文庫)は強烈でした」  
永嶋「あれはすごかったですね」  堂場やっぱり南アフリカは、まだ社会状況が悪いんだと実感しました」  
永嶋「平和な社会では破天荒な物語を展開するのは難しい。社会の成熟度と物語のカラフルさは反比例するところがあるような気がします。でも南アにはまだ法の手の及びにくい場所がある。つまり新たな物語の可能性があるということですから、これは非常な発見だと思います」  
堂場「あとは、やはり中南米が気になりますね」

「大人の文化」復権を

■若い読者獲得したい
 
堂場「翻訳モノのミステリーは不振が続いていると言われていますが、打開策について考えていきたいと思います」  
永嶋「個人的な印象では、不振といっても、3年前に底を打った、と思っています。2009年からは豊作が続いていますよ。質がすごく高くなっている。必要なのは、我々の側の情報発信でしょうね」  
井垣「ツイッターを利用したり、簡単なチラシを作って書評家の皆さんにお送りしたり、そういう努力は続けています。家内制手工業のようなものですけどね」  堂場「創元さんは、新装版や、復刊をだいぶやられましたよね」  
井垣「翻訳の宿命で、どうしても文章が古くなってしまう、ということがありますから。古い訳のままだと、若い読者に、『古くさい、読めない』と敬遠されることにもなるので、徐々に新訳に切り替え始めています」  
堂場「それだけ長く出し続けている、ということでもありますよね。今の話の関連で言えば、新しい読者、若い読者をどうつかむかが、今後の課題ではないでしょうか。今の若い人は、あまり海外ミステリーを好まない、という話もあります」  
井垣「創元推理文庫が、2009年に創刊50周年を迎えた時に、歴代の売り上げを調べてみました。エラリー・クイーンの『Yの悲劇』などは、50年前からあるんですが、それよりも、刊行して20年くらいの宮部みゆきさんの作品の方がずっと売れているんです。わざわざ翻訳ものを読まなくても日本人によるハイレベルな作品が読める、ということなのかもしれませんね」  
堂場「創元推理文庫といえば海外ミステリーのイメージが強いんですが、実際には国内作家の方が売れているという……」  
永嶋「小説に限らないんですけど、1990年代から2000年代にかけては、音楽も映画も、日本人好みにカスタマイズされたものに、世の中の興味が集中してしまったと思います。異文化よりも、共感しやすい物に流れたのかな、という感じです」  
堂場「我々海外ミステリーファンとしては、読んでいない人にこそ読んでほしい、と強く願うんですけどね」  
永嶋「異文化に触れると楽しいよ、というのを伝えていきたいですね。海外から学ぶ事は何もない、という感覚は危険です。海外ミステリーは“大人カルチャー”だと思いますけど、“大人だからこそ楽しめる文化”の復権が、鍵を握るのではないでしょうか」  
堂場「逆に、YA(ヤング・アダルト=児童文学と一般文学の間の層を対象にした小説)的なミステリーを発掘して、若い人に紹介することはできないんでしょうか」  
井垣「うーん、それは難しいですね。そういう作品もあるんですけど、そこまでいくと、読者層がまるで見えなくなってしまうと思います」  
堂場「読者層がない?」  
井垣「今のところ、そういうことになると思います」  
堂場「僕たちが若い頃は、海外ミステリーを読んで、少し背伸びした気分になるのが楽しみだったんですけどね」

来年も力作期待

■個人的オススメ  

堂場「自分の読書遍歴の中で、これは絶対にオススメだ、という本を教えてもらえますか?」  
永嶋「僕は、ディック・フランシスの競馬シリーズですね。80年代の冒険小説ブームの頃、中学生でしたが、読んでいました。『興奮』『度胸』(ハヤカワ文庫)――全て傑作です」  
井垣「自社もので申し訳ないのですが、S・J・ローザンのビルとリディアのシリーズですね。非常に面白いのに、期待ほど売れていないんですが……。これはぜひ読んでほしいと思います」  
堂場「このシリーズは、主人公が2人。1冊ごとに交互に語り手になって、飽きさせません。現代ハードボイルドの良心ですよね。それでは最後に、来年はこれが一押し、という1冊を紹介して下さい」  
井垣「アイスランドの警察小説があります。これが目玉で、夏頃には出版予定です」  
堂場「アイスランドを舞台にしたのは、珍しいですね」  
井垣「あとはドイツの作品ですが、ヒトラーが台頭する頃の時代を背景にした警察小説ですね」  
永嶋「『CRASHERS』です。アメリカの航空機事故調査チームの物語で、登場人物一人一人のキャラクターが立っている。ディーヴァー型のサスペンスと言っていいでしょう。日本初訳の作家になります」  
堂場「どうやら来年も力作ぞろいになりそうですね。今から楽しみです」
 

永嶋俊一郎氏(ながしま・しゅんいちろう)  文芸春秋出版局。1971年生まれ。『神は銃弾』『ウォッチメイカー』『P・G・ウッドハウス選集』などを担当。  

井垣真理氏(いがき・まり)  東京創元社取締役編集部長。1952年生まれ。担当作品に『薔薇の名前』『北壁の死闘』『ジョン・ランプリエールの辞書』『忘れられた花園』などがある。  

堂場瞬一氏(どうば・しゅんいち)  作家。1963年生まれ。代表作に「警視庁失踪課・高城賢吾」シリーズ(中央公論新社)など。最新作は『ヒート』(実業之日本社)。

『堂場瞬一の海外ミステリー応援隊「2011年総括座談会」』
写真は白石朗さんがWEBで公開したもの

今回、YOMIURI ONLINEで公開された記事が、読売新聞に掲載されたものと、同一の内容かどうかは確認できないが、非常に興味深い内容になっている。

余談ですが、YouTubeで公開されている【2011年慶應三田祭「ゼロ年代のおすすめ翻訳ミステリー」トーク】も興味深いので紹介しておきます。

出演は、永嶋俊一郎氏(文藝春秋編集者)、川出正樹氏(書評家)、杉江松恋氏(書評家)。

1時間40分にわたる力作です。

余談ですが、杉江松恋さんは、2011年のベスト2にスティーヴン・キングの「アンダー・ザ・ドーム」をあげてます。
因みに、永嶋俊一郎さんはベスト3に「アンダー・ザ・ドーム」をあげています。

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