荒木飛呂彦個人所有の「ミザリー」が!?
先日のエントリー『荒木飛呂彦「ミザリー」を語る』で「ダ・ヴィンチ」2012年8月号(メディアファクトリー)の表紙を飾った漫画家の荒木飛呂彦が表紙撮影時に持参した書籍は、ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」とスティーヴン・キングの「ミザリー」だったことはお伝えしたが、「ダ・ヴィンチ」にキングファンとして興味深い点がいくつかあったので紹介する。
なお、「ダ・ヴィンチ」2012年8月号は、JOJO=JAPANと位置付け、「ジョジョの奇妙な冒険」連載25周年を記念した、「ジョジョの奇妙な冒険」と荒木飛呂彦の特集号。
表紙はロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」を抱えた荒木飛呂彦と、「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する岸辺露伴の等身大フィギュア。
先ずは、「ダ・ヴィンチ」p56に掲載されている荒木飛呂彦個人所有の「ミザリー」の写真。
"本にはブックカバーをつける派"の荒木さん。この習慣は荒木家の伝統だそう。「ミザリー」のブックカバーは、書店でもらったブックカバーに自作でタイトルを書いたという荒木オリジナル!
この「ミザリー」は、1990年に文藝春秋社から刊行されたハードカバー。
装画はもちろん、藤田新策氏の手によるものだが、それが見事に隠されてしまっているのはご愛嬌。
お手すきの方は是非写真を拡大して見て欲しいんですが、白で書かれたMISERYとSTEPHEN KINGのフォントが特に良いですよね。
また、「ミザリー」にかけられたカバーから、荒木飛呂彦氏が「ミザリー」を購入した書店は小田急ブックメイツだと言う事がわかる。
さて、次は荒木飛呂彦が「ミザリー」について語っている部分。
「僕が思うサスペンスの、完璧な形ですね。好きだからというより、勉強のために今でも読み返しています。作家が熱狂的なファンに監禁され、小説を書かされるという話なんですけど、主人公がどんどんどんどん追いつめられていく過程が本当に面白い。こういうパターンの場合、〝逃げればいいじゃん〟って読者に思わせちゃダメなんですよね。そう思わせないための演出というか手続きが、絶妙なんですよ。しかも作家というのは、追いつめられてこそ傑作を書くものなのだってストーリーがねぇ、勇気が湧いてきます(笑)。不思議と、癒される感覚もあるんですよ。人間の真実はここにある、この残酷さこそ人間なんだって思うと、どこか救われるんです」
「いったい何が起きているんだ?」「次は何が起きるんだ!?」と、JOJOは25年間、読者にスリルとサスペンスを提供し続けてきた。そのルーツは海外文学であり、それらを楽しみながら勉強し研究してきたマンガ家の向学心が、JOJOの原動力でもあったのだ。
荒木飛呂彦が「ミザリー」について語っている部分はもちろん、地の文、JOJOのルーツは海外文学であり、それらを研究してきたマンガ家の向学心の賜物である、と言う部分も興味深い。
荒木飛呂彦の作品は、「バオー来訪者」にしろ「ジョジョの奇妙な冒険」にしろ、様々な海外作品の影響を見ることができます。
特にスティーヴン・キング作品からの影響が多いと言われていますし。
当「スティーヴン・キング研究序説 ココログ分室」でも、今後、本腰を入れて荒木飛呂彦作品に取組む必要があるかも知れませんね。
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