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2013/03/10

「ナイトライダーズ」

ジョージ・A・ロメロ脚本・監督の「ナイトライダーズ」をDVDで観た。

「ナイトライダーズ」予告編

「ナイトライダーズ」
監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ
製作:リチャード・P・ルビンスタイン
撮影:マイケル・ゴーニック
音楽:ドナルド・ルビンスタイン

出演:エド・ハリス(ビリー)、ゲイリー・ラーチ(アラン)、トム・サヴィーニ(モーガン)、エイミー・インガーソル(リネット)、パトリシア・トールマン (ジュリー)、クリスティーン・フォレスト(アンジー)、ケン・フォリー(リトル・ジョン)、スコット・H・ライニガー(マーハルト)、ジョン・アンプラス(ホワイトフェイス)、マーティン・フェレロ(ボンテンピ)、アントン・ディレオ(コーンクック)、ワーナー・シューク(ピピン)、ブラザー・ブルー (マーリン)、シンシア・アドラー(ロッキー)、ドン・ベリー(バッグマン)、アマンダ・デイヴィス(シーラ)、ケン・ヒクソン(スティーヴ)、ジョン・ ホステッター(タック)、ハロルド・ウェイン・ジョーンズ(ボース)、スティーヴン・キング(ホーギー・マン)、タビサ・キング(ホーギー・マンの妻)

あらすじ:中世の騎士よろしく鎧を身に付け、馬の代わりに跨ったバイクで立ち回りを演じる一座。金と名声より名誉と礼節を重んじるリーダーを中心に彼らの旅は続くが、彼らを商売にしようとするプロモーターの出現によって仲間の団結は少しずつ崩れ始める……。

紹介:アーサー王伝説を下敷に、現代に生きようとする騎士たちの苦悩と挫折を描いた辛口の青春映画で、バイクに乗った騎士というアイディアは視覚的なインパクトだけでなく、“騎士道精神”と“ヒッピー”、もしくは“伝説”と“現実”の融合というこの作品のテーマを如実に意味している。マスター・オブ・ホラー、ジョージ・A・ロメロによる神々しいまでに切ない“旅芸人の記録”だが、この傑作は配給元だったユナイト映画の日本支社閉鎖に伴いオクラ入りとなり、10年後に日本衛星放送から放映されたのが我が国での初公開となった。(allcinema

先ずは、「ナイトライダーズ」の国内盤DVDをリリースしてくれたスティングレイ社に感謝したい。

当ブログ「スティーヴン・キング研究序説ココログ分室」は、ご承知の通り、スティーヴン・キングに関するエントリーをポストするブログであるから、キング関連作品として、つまりスティーヴン・キングとタビサ・キングが出演している作品として「ナイトライダーズ」(1981)を紹介するのだが、ジョージ・A・ロメロファンとしては本作はロメロのフィルモグラフィーの中で初期の傑作であり、またその作品としてはロメロの普段の作風とは異なる言わば異色作として高い評価を得ている。

ロメロはこの後「クリープショー」(1982)を撮ることになるのだが、前述のように日本国内では「ナイトライダーズ」は幻の作品と位置付けられ、日本国内の多くのロメロファンがこのスティングレイ社の英断に歓喜していることだと思う。

さて、本作「ナイトライダーズ」についてだが、前述のあらすじを読むと、何だかふざけた内容のように思えるかも知れないが、本作はスティーヴ・マックィーンの「ジュニア・ボナー/華麗なる挑戦」(1972)、ロバート・レッドフォードの「出逢い」(1979)、クリント・イーストウッドの「ブロンコビリー」(1980)、そして藤岡弘、の「SF/ソードキル」(1984)と同様に、時代に取り残された男の悲哀を描く普遍的な物語に仕上がっている。

物語の題材となっているのは、本編で触れられている通り、T・H・ホワイトの「永遠の王/アーサー王の書」。明確には描写がないが、アラン(ゲイリー・ラーチ)がランスロットに振り当てられているのも興味深い。従って王妃グィネヴィアに役を振り当てられたエイミー・インガーソル(リネット)との関係も明確ではないが興味深い。

そう考えた場合、本作「ナイトライダーズ」は、中世から現代に迷い込んだアーサー王その人が、新たな王に王位を譲り、最終的に過去へ戻っていく物語だと解釈することが出来る。

まるでセルバンテスの「ドン・キホーテ」のように、病的に妄想じみたことに固執していくウィリアム王(エド・ハリス)が哀しい。

そして、老いたウィリアム王の王位を狙うモーガン(トム・サヴィーニ)。

このトム・サヴィーニが素晴しい。俳優としてのサヴィーニのフィルモグラフィの中で最も素晴しい仕事をしているのではないだろうか。

キャストはマーリンを演じたブラザー・ブルーや、タックを演じたジョン・ ホステッター、アンジーを演じたロメロの妻クリスティーン・フォレスト、弁護士役のケン・ヒクソン等印象的なキャストが多い。見せ場が必ずあるのが何とも楽しいですよね。

また「ゾンビ」のピーター役のケン・フォリーや、ロジャー役のスコット・H・ライニガー等、ロメロ組とも言えるキャストの生き生きとした姿が楽しめる。何しろ、死にかけたロジャーじゃないのよ。

と言うのも、本作は明るく生命力に溢れたコミカルな作品のような側面を持っているからである。「ゾンビ」のような暗い映画じゃないんですよね。

エド・ハリス的には本作「ナイトライダーズ」は、ルトガー・ハウアーにおける「グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」(1985)のような作品なのかも知れない。

ポール・ヴァーホーヴェンはもしかして「ナイトライダーズ」を観て「グレート・ウォリアーズ/欲望の剣」を撮ったんじゃないのかな、とも思える次第。

ところで本作のロメロやスタッフのオーディオ・コメンタリーを聞くと異口同音に《最高の夏だった》と語っている。

ロメロらスタッフにとっても、本作「ナイトライダーズ」は、思い出の愛すべき作品なのだと思う。DVDになって本当に良かったよね。

そして、本作に格調を付与しているドナルド・ルビンスタインのスコアが素晴しい。

まるで、「シェークスピア劇場」のような作品のスコアのような、小編成の室内楽をベースに、若干近代的にアレンジしたようなスコアが泣かせまくる。

これロックじゃなくて良かったよ。
別にヒース・レジャー主演の「ロック・ユー!」(2001)の話じゃないですけどね。
「ロック・ユー!」「ナイトライダーズ」は描いているのが馬上槍試合なので、同じなんですけどね。

世の中には、全てのキャストやスタッフが100%以上の力を出し、それをフィルムに定着させることに成功した奇跡のような作品がままあるが、本作「ナイトライダーズ」はそんな奇跡のような作品の一本だと思う。

本作「ナイトライダーズ」のDVDはレンタル市場に出てくるのかどうかわからないが、ロメロファンではなくとも、前述した、時代に取り残された男の悲哀を描く作品群の中に引っ掛かる作品がある方は是非機会を見つけて観ていただきたい作品だと思う。

因みに、スティーヴン・キングとタビサ・キングは、エド・ハリスらのショーを観る客として登場し、「あんなの痛そうに見えるけど全部やらせだよ」とうそぶくキャラクターに設定されている。

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「永遠の王」高くなってますね。
わたしは1992年の初版で買いましたが、1冊1,000円はしなかったんじゃないかな。

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