カテゴリー「「神々のワードプロセッサ」」の5件の投稿

2011/05/28

吾妻ひでおの「虚空のモナー」に「ドリームキャッチャー」が!?

「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」 2011年4月に河出書房新社から刊行された「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」に収録されているマンガ「虚空のモナー」にスティーヴン・キングの「ドリームキャッチャー」に関する言及がある。

「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」

現代日本的美意識「かわいいエロ」の創造者、漫画家・吾妻ひでおを大特集。諸星大二郎、萩尾望都、髙橋留美子ほか、貴重なマンガ9本を一挙掲載。カリスマ的人気を誇るその魅力を徹底解剖!
(河出書房新社のサイトの紹介文より引用)

さて、吾妻ひでおと言えば、ご承知の方に取っては当然の事なのだが、大変な読書家としても有名で、特にSF作品に関する造詣が深い。
従って、自信のマンガにSF作品のネタが登場する事もしばしば。

例えば、以前キングの「ジョウント」(「神々のワード・プロセッサ」に収録)に影響を与えているアルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」が復刊された際のエントリー『「ジョウント」をめぐる冒険』でも紹介したように、吾妻ひでおは自身の作品「不条理日記」において、青ジョウントで青色申告に行ったりもしている。

そんな訳で、吾妻ひでお作品にSF作品が登場するのは日常茶飯事なのだが、キングの作品も時々ネタとして登場している。

ところで、今回紹介する「虚空のモナー」は、コアマガジンのムック「2ちゃんねるぷらす」に掲載されていたマンガである。

同書「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」によると「虚空のモナー」は、

2ちゃんねるの公式ガイドムックに、10回にわたって連載された作品。モナーとは、2ちゃんねるなどでよく用いられるアスキーアートキャラクターであり、ななこがパートナーを務める。サブカル系のネタは、かなりディープである。

とのこと。

それでは、その「虚空のモナー」に登場するキングの「ドリームキャッチャー」に関する言及を見てみよう。

「虚空のモナー」に登場するキングの「ドリームキャッチャー」
いかがだろうか。

つまり、吾妻ひでおによると「キングは陳腐だけど面白い」と言う評価らしい。
まあ、このマンガで描かれているシーンは、「ドリームキャッチャー」においても非常に印象的なシーンですよね。

ところで、余談だが、わたしは大昔からの吾妻ひでおファンで、実家の広大なアーカイブには吾妻ひでおに関する貴重なコレクションを沢山収蔵している訳だが、先日たまたま池袋のリブロ池袋本店で吾妻ひでお氏のサイン会があったので勇んで行ってきた。

そのサイン会とは、今回紹介した「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」の発売記念のサイン会で、当初は限定100名を対象としたサイン会だったのだが、50名の追加が行われ、合計150名に対してサイン会が行われた。

対象人数が150名と多いので、サインだけで画は描いてはもらえないのではないか、と思っていたのだが、サイン会冒頭の吾妻ひでお氏の挨拶によると「女の子の画1点と自画像1点とサインをしますが、人数が多いので画の指定はできません」と言う事だった。

で、もらったサインがこれ。(為書きの部分、わたしの実名の部分は消してあります)
「文藝別冊 総特集 吾妻ひでお 美少女・SF・不条理ギャグ、そして失踪」の発売記念のサイン会でもらったサイン
と言う訳で、また家宝が増えました。
嬉しいでございます。

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2009/10/05

「Poe's Children」がペーパーバックに!

「Poe's Children」ペーパーバック 2009/10/06 ピーター・ストラウブが編纂したホラー・アンソロジー「Poe's Children」が発売される。本書は2008年に出版されたハードカバーのペーパーバック版。

本書にはスティーヴン・キングの「しなやかな銃弾のバラード」(「神々のワードプロセッサ」に収録)が収録されている。

余談だが、本書には同時にジョー・ヒルの「20世紀の幽霊たち」も収録されている。

なお、収録作品は次の通り。

「Poe's Children: The New Horror: An Anthology」
Dan Chaon “The Bees”
Elizabeth Hand “Cleopatra Brimstone”
Steve Rasnic Tem and Melanie Tem “The Man on the Ceiling”
M. John Harrison “The Great God Plan”
Ramsey Campbell “The Voice of the Beach”
Brian Evenson “Body”
Kelly Link “Louise’s Ghost”
Jonathan Carroll “The Sadness of Detail”
M. Rickert “Leda”
Thomas Tessier “In Praise of Folly”
Glen Hirshberg “The Two Sams”
Thomas Ligotti “Notes on the Writing of Horror: A Story”
Benjamin Percy “Unearthed”
Bradford Morrow "Gardener of Heart”
Peter Straub “Little Red’s Tango”
Stephen King “The Ballad of a Flexible Bullet”
Joe Hill “20th Century Ghost”
Ellen Klages “The Green Glass Sea”
Tia V. Travis “The Kiss”
Graham Joyce “Black Dust”
Neil Gaiman “October in the Chair”
John Crowley “Missolonghi 1824”
Rosalind Palermo Stevenson “Insect Dreams”

因みにハードカバーの表紙はこれ。
「Poe's Children」ハードカバー
こっちの方がキテるよね。

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2009/08/24

浦沢直樹の本棚にキングの小説が!?

「浦沢直樹読本/Casa BRUTUS特別編集」 2009/08/21にマガジンハウス社から出版された「浦沢直樹読本/Casa BRUTUS特別編集」に浦沢直樹の工房〈スタジオナッツ〉の本棚の写真が掲載されているのだが、その本棚にスティーヴン・キング作品が並んでいる。

「浦沢直樹読本」

コミックスの売上累計1億部以上、巧みなストーリーテリングで幅広い読者から熱い支持を集める、現代日本を代表する巨匠漫画家・浦沢直樹。8月29日から 全国東宝系で公開予定の映画「20世紀少年<最終章>僕らの旗」に合わせて、彼のこれまでの作品群(「BILLY BAT」「PLUTO」「20世紀少年/21世紀少年」「MONSTER」・・・)を振り返りつつ、本人ロングインタビューや仕事場密着、著名人との対談 まで、あらゆる角度から「浦沢直樹とその作品世界」に迫る、ファン待望の完全保存版ムック。

浦沢直樹とキングとの関係を考えた場合、避けて通れないのは「20世紀少年」「イット/IT」の関係である。

「20世紀少年」連載当時から、同作はキングの「イット/IT」の影響を色濃く受けているのではないか、と言われていた。
個人的な印象としては、両作の類似点は偶然の産物の域を遥かに超えていると思えてならない。

そんな中、「浦沢直樹読本」に浦沢直樹の〈スタジオナッツ〉の全本棚の写真がなんと見開き4ページにわたり掲載された訳である。

わたしが確認できた限りだが、〈スタジオナッツ〉の本棚にあるキング作品は次の通りである。

■ハードカバー
「イット/IT(上)」
「イット/IT(下)」
「ローズ・マダー」
「ドロレス・クレイボーン」

■文庫本
「イット/IT(I)」
「ペット・セマタリー(上)」
「ペット・セマタリー(下)」
「ファイアスターター(上)」
「ファイアスターター(下)」
「呪われた町」
「神々のワードプロセッサ」
「深夜勤務」
「トウモロコシ畑の子供たち」
「ナイト・フライヤー」
「ゴールデンボーイ」
「クージョ」

■関連書籍
「ユリイカ/特集スティーヴン・キング ホラー時代の教祖」
「モダンホラー特集/恐怖へのご招待」

ここで興味深いのは、本棚のほとんどはマンガと資料で占められており、小説はほとんどないのである。
小説がほとんどない中、キング作品がこんなに並んでいるのは驚きである。
と言うか、浦沢直樹はキングファンに違いないし、「20世紀少年」「イット/IT」の影響を受けていると確信してしまう。

因みに余談だが、右利きの浦沢直樹が自分の机から右手を伸ばした位置に「イット/IT」が置いてあるのが興味深い。

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2009/02/17

「The Secretary of Dreams (Volume 2)」のアートワーク

3
2009/02/08 2009年にリリースされるスティーヴン・キングの「The Secretary of Dreams (Volume 2)」のアートワークが公開された。

「The Secretary of Dreams (Volume 2)」
Author: Stephen King
Artist: Glenn Chadbourne
Pub. Date: 2009
ISBN: 978-1-58767-185-2

収録予定の作品は、
"The Monkey" 「猿とシンバル」(「神々のワード・プロセッサ」に収録)
"Gray Matter" 「灰色のかたまり」
(「深夜勤務」に収録)
"Nona" 「ノーナ」(「ミルクマン」に収録)
"One for the Road" 「<ジェルサレムズ・ロット>の怪」(「トウモロコシ畑の子供たち」に収録)
"In the Death Room"
"Strawberry Spring"
 「バネ足ジャック」(トウモロコシ畑の子供たちに収録)

因みにリリース予定は次の3種類。

1.Slipcased Gift Edition of only 5,000 copies ($75)
2.Signed and traycased Limited Edition of only 750 copies ($300)
3.Deluxe signed Lettered Edition of only 52 copies, each protected in a deluxe traycase

因みに、2.3.は、既に予約で完売しており、現在キャンセル待ちの列が出来ている。

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2008/02/23

「ジョウント」をめぐる冒険

「虎よ、虎よ!」 先ずは、HARADAさんの「スティーヴン・キングの話」のエントリー『「ジョウント」のネタ本、復刊!』をご覧いただきたい。

どうやらアルフレッド・ベスターの名著「虎よ、虎よ!」が、2008/02/22に復刊した模様である。

ご承知のように、「虎よ、虎よ!」は、キングの「ジョウント」(「神々のワード・プロセッサ」に収録)に影響を与えた、と言うか元ネタとなっている作品である。

と言うのも、「虎よ、虎よ!」で登場する「ジョウント」と言う技術設定をそのまま利用したのがキングの「ジョウント」なのだ。

折角なので、以前「ジョウント」について他ブログで書いたコラムを再掲載したいと思う。
お断りだが、2005年11月のコラム発表当時は、映画「この胸いっぱいの愛を」が公開され、また吾妻ひでおの「失踪日記」がバカ売れしていた頃である。

「ジョウント」をめぐる冒険
2005/11/25

例えばSFの世界には、世界中の作家たちの共有財産として使われる設定や技術がある。

例えば「タイム・マシン」がそうであったり、「トラクター・ビーム」がそうであったり、「ワープ航法」がそうであったり、「転送」がそうであったり、「パワード・スーツ」がそうであったり・・・・。

その中で多くのSFファンを魅了してきた技術設定がある。

「ジョウント」である。

原典は、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」("Tiger! Tiger!") と言う小説である。

この「虎よ、虎よ!」と言う小説は、寡作で知られるアルフレッド・ベスターの手によるもので、多方面からの評価が高く、現在でもSF小説のベストテンに顔を出すことも多い傑作SF小説である。

その作品に登場する技術設定(?)のひとつに「ジョウント」と言うものが登場する。

「ジョウント」とは、一種のテレポート(テレポーテーション)能力で、緯度・経度・高度等、行き先の明確なイメージがあれば、誰もが望む場所へ「ジョウント」できるのだ。
この能力は特殊能力ではなく、巧拙はともかく誰もが訓練次第で習得できる技術なのだ。

「ジョウント」のおかげであらゆる交通機関は消滅し、人類は渋滞や排気ガス等から永久に開放された。
またランドマークとなる建物や場所の、緯度・経度・高度等の情報は一般に公開されている。
一方、明確なイメージさえあれば、銀行の金庫の中や、美女の寝室にさえ「ジョウント」できる事から、様々な問題や対処策が考案されている訳だ。

 

その後、SF界の共有財産となった「ジョウント」を利用した作品がいくつか発表されているのだが、多分一番有名なのは文字通り「ジョウント」と言うタイトルの作品。
かのスティーヴン・キングの短編である。

この作品は、タイトルから設定から比較的ほとんどが「虎よ、虎よ!」の世界を踏襲し、そのなかから、言いようのない恐怖を見事に描いた傑作である。

そして、先日紹介した吾妻ひでおの、「不条理日記」に登場する主人公(吾妻ひでお本人)は、なんと、青色申告をするために「青ジョウント」するのだ。

前述のように安全な「ジョウント」は、行き先の明確なイメージが必要なのだが、例えば、その場にそのままいると死んでしまいそうな場面で、必要に迫られ、行き先のイメージを固める前に「ジョウント」してしまうことを「青ジョウント」と言うのであるが、これは非常に危険なことなのだ。

ちょっと間違うと、「石の中」に入ってしまったり、上空5キロ位の地点に出てしまうかも知れないのだ。

吾妻ひでおは、そんな思いを込めて青色申告に向かった訳である。

で、驚いたのが、現在公開されている「この胸いっぱいの愛を」の原作である。

その原作のタイトルはなんと「クロノス・ジョウンターの伝説」(梶尾真治)。

おい!ふざけてんのか!!
「クロノス・ジョウンター」ってなんだよ!

直訳すると「時間跳躍者」、昔からの言葉では「タイム・トラベラー」とか「タイム・リーパー」だぞ。

いくら「ジョウント」がSF界の共有財産になっているからと言って、「クロノス・ジョウンター」はまずいだろう。

なんだか悲しくなってしまう。

※「クロノス・ジョウンター」
物質過去射出機(タイムマシン)
過去に戻った分未来にとばされてしまう機械。

いかがでしょう。
少しは楽しんでいただけたでしょうか。

ところで余談ですが、HARADAさんが紹介していた「虎よ、虎よ!」(ハヤカワ・オンライン)をクリックした後に表示される「同じ著者・訳者の作品」の「ドノヴァンの脳髄」は、「IT」のとあるシークエンスの元ネタとなっていますので、ご関心のある方はご一読をオススメします。

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