カテゴリー「レビュー/映画」の31件の投稿

2016/01/25

「クリムゾン・ピーク」もキングの影響を!?

さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、映画「クリムゾン・ピーク」

映画『クリムゾン・ピーク』予告編 90秒

「クリムゾン・ピーク」
監督:ギレルモ・デル・トロ
脚本:ギレルモ・デル・トロ、マシュー・ロビンス
出演:ミア・ワシコウスカ(イーディス・カッシング)、ジェシカ・チャステイン(ルシール・シャープ)、トム・ヒドルストン(トーマス・シャープ)、チャーリー・ハナム(アラン・マクマイケル)、ジム・ビーヴァー(カーター・カッシング)

さて、「クリムゾン・ピーク」のどの辺りがキングの影響を受けているのか、と言うところなのだが、本作はまだ公開中の作品なので簡単に説明する。

・雪に屋敷が閉ざされる。

・誰もいないところから転がってくるボール。

・バスタブと赤色の幽霊。

・血まみれのイメージ。

・雪に閉ざされた屋敷に救出に向かう登場人物がいきなり刃物で。

と言う訳で物語は「シャイニング」ミート「ずっとお城で暮らしてる」のような印象。

本作「クリムゾン・ピーク」は、若干過激なショックシーンはあるものの、非常に面白いホラー映画に仕上がっている。

基本的なプロットは丘の上にそびえる幽霊屋敷が雪に閉ざされる物語。

しかしながら、物語自体はなんとスーパーナチュラルな部分を除いても物語として成立すると言う、ある意味普遍的なプロットが楽しくも美しい。

関心がある方は是非劇場へ。

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2013/08/11

「スティーヴン・キングは殺せない!?」

「スティーヴン・キングは殺せない!?」 2013年7月27日 東京渋谷ヒューマントラストシネマ渋谷「スティーヴン・キングは殺せない!?」を観た。

「スティーヴン・キングは殺せない!?」
監督:モンロー・マン、ロニー・カリル、ホルヘ・バルデス=イガ
脚本:モンロー・マン、ロニー・カリル、ボブ・マディア
撮影:ホルヘ・バルデス=イガ
音楽:ブルース・キアネイジ
出演:モンロー・マン、ロニー・カリル、クリスタル・アーネット、カイル・ブログナ、ケイト・コステロ、ジャスティン・ブラウン

あらすじ:メイン州の小さな田舎町フライバーグに、一台の車がヒップホップを爆音で轟かせながら現れる。避暑のため訪れた六人の若者が目指す先は、湖畔に建つ静かな別荘。

同じ湖畔には、世界的に有名なホラー作家のスティーヴン・キングの邸宅があるという。だが土地の人にキングのことを聞いても、返ってくる答えは「そんな人は住んでいない。騒ぐなら帰れ」というものだった。

やがて仲間の一人のバラバラ死体が発見され、一行の前に正体不明の殺人鬼が登場。若者たちは殺し の手口がキングの小説そっくりであることに気づくのだが…。

本作「スティーヴン・キングは殺せない!?」は基本的に間違ったところに行った若者が、命に関わる酷い目に遭う、と言うプロットを持つ作品である。

そして、その若者の中に、スティーヴン・キングマニアが含まれており、そのキングマニアは、スティーヴン・キングが住んでいると言う邸宅を見に行きたい、キングに会いたい、と言う目的を持っている訳。

因みに本作のテイストは、皆さんのご想像通り自主制作映画のそれだが、作品としてのクオリティは決して低い訳ではなく、物語はともかく、一般の観客が楽しめる演出やクオリティを持った作品だと言える。

残念ながら物語は前述のように比較的安易でお約束の展開が続く。
そのバランス感覚は残念な印象が強く、ホラーやコメディ、パロディについて物足りない印象を受ける。

もう少しは頑張れたはずだ、と思う。

しかし、作品としては面白くない作品ではなく、その辺のつまらない作品よりは全然面白い作品に仕上がっている。

とは言うものの、やはり作品としては、ビデオストレート(DVDストレート)レベルだと言わざるを得ない。

そして、好意的に言うと物語は複数の解釈を許す寛容さを持っており、ある種の含みのある物語が楽しめるし、私的な解釈も楽しい。

また、前述のように個人的には足りないと思うのだが、本作はキング作品のパロディにも満ちており、キングファンには楽しめる構造を持っている。

何故か、本作で言及されている作品は、長編より短編の方が多いような印象を受ける。

何か権利的な大人の事情があるのだろうか。

まぁ、キングファンとしては本作「スティーヴン・キングは殺せない!?」の作品としての評価がどうこうよりは、劇場で公開されたことを喜びたい。

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2012/06/05

【訃報】リチャード・ドーソン

「Family Feud」のホストを勤めるリチャード・ドーソン
「クイズ100人に聞きました」の元ネタの米ABCの「Family Feud」のホストを勤めるリチャード・ドーソン。

2012年6月2日 映画「バトルランナー」に登場する殺人ゲームTVショー「ランニング・マン」のホスト役デイモン・キリアンを演じたリチャード・ドーソンが79歳で亡くなった。死因は食道がんによる合併症だった模様。

つつしんでご冥福をお祈りします。

「バトルランナー」と言えば一部のファンからはカルトムービー化した作品として絶大な人気を誇る作品だが、一般的にはダメ映画と言うか筋肉バカ映画と言うレッテルを貼られている作品だと思う。

しかしながら「バトルランナー」には観るべき点がいくつもある、良質の娯楽作品に仕上がっているとわたしは考えている。

特にこのリチャード・ドーソンである。

リチャード・ドーソンとアーノルド・シュワルツェネッガー/「バトルランナー」より。
リチャード・ドーソンとアーノルド・シュワルツェネッガー/「バトルランナー」より。

「バトルランナー」は、1985年までの10年間、「クイズ100人に聞きました」の元ネタである米ABCの「Family Feud」のホストを勤めた、リチャード・ドーソンをその愛すべき司会者のイメージのまま、あろうことか「バトルランナー」(1987)における悪役にキャスティングしてしまっているのである。

このキャスティングは正に天才的だったと思う。

そう、この「バトルランナー」の成功のひとつの大きな要因は、リチャード・ドーソンをデイモン・キリアン役にキャスティング出来たことによるところが大きいと思う。

しかも、大人気クイズショー「Family Feud」のホスト役として全米に愛されたリチャード・ドーソンは、この「バトルランナー」において、「Family Feud」のホスト役を彷彿とさせるアクションやセリフ、またそれ以上に「Family Feud」のお約束になっていた、一般人の女性ゲストにキスをするところまで、「バトルランナー」で再現してしまっているのだ。

これは素晴らしすぎる。

日本で言うと、関口宏が「クイズ100人に聞きました」そのままの感じで憎々しく悪役を演じているようなものなのだ。

「バトルランナー」において、10年間培ってきた、自らの愛すべきキャラクターを破壊する、凄まじいセルフ・パロディをフィルムに焼き付けたリチャード・ドーソン。

この「バトルランナー」におけるリチャード・ドーソン演じるデイモン・キリアンと言うキャラクターは映画史上に残る素晴らしい悪役の一人だと言える。

「バトルランナー」の中で永遠に生き続けて欲しいものである。

最後に「Family Feud」で笑いが止まらなくなったリチャード・ドーソンの映像を紹介する。

Richard Dawson Laugh Attack - 1985 Family Feud

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2011/08/22

「SUPER 8/スーパーエイト」をめぐる冒険

「SUPER 8/スーパーエイト」 2011年6月25日 TOHOシネマズ日劇で「SUPER 8/スーパーエイト」を観た。

「SUPER 8/スーパーエイト」
監督・製作・脚本:J・J・エイブラムス
製作:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ジョエル・コートニー(ジョー・ラム)、エル・ファニング(アリス)、カイル・チャンドラー(ジャクソン・ラム)、ライリー・グリフィス(チャールズ)、ライアン・リー(ケイリー)、ガブリエル・バッソ(マーティン)、ザック・ミルズ(プレストン)、ロン・エルダード(ルイス)、ノア・エメリッヒ(ネレク大佐)

1979年夏、保安官の父と暮らす14歳の少年ジョーは、突然の事故で母親を亡くし、心に深い悲しみを抱えていた。

ある夜、親友チャールズの8ミリ映画を手伝うために、夜中にこっそり家を抜け出して仲間たちの所へ向かうジョー。仲間の中には密かに想いを寄せるアリスの姿もあった。

アリスが親に内緒で運転してきた車に乗り込み、駅に到着した6人の少年たち。列車の通過に合わせて撮影を始めると、突然、車が突っ込み大事故が発生してしまう。あたり一面が炎に包まれ、轟音が鳴り響く中、取り残された8ミリカメラが写したものは貨物コンテナの中から強大な力で外へと出ようとする“何か”だった。
(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

以前のエントリー『「Super 8」がキングの影響を!?』で、わたしの妄想をお話ししたが、実際に観てみても、J・J・エイブラムスの「SUPER 8/スーパーエイト」は、スティーヴン・キングの影響を受けている、と思える。

また、日本公開後のメディアも「SUPER 8/スーパーエイト」「スタンド・バイ・ミー」ミート「E.T.」である、と言うようなプロモーションを展開しているのはご存知の通りである。

ところで、スティーヴン・キングとJ・J・エイブラムスの交友関係を考えると、エイブラムスがキング作品の影響を受けていてもおかしくないし、エイブラムスが自身が書いた脚本にキングへのオマージュを紛れ込ませている、と言ってもおかしくはないだろう。

そんな中で、キングファンとして気になった部分を紹介してみたいと思います。
勿論キングファンの妄想ですけどね。
但し、2ケ月前位に観た記憶で書いているので、誤っている部分があるかも知れないことをお断りしておく。

1.スリムジムとM80

キングの作品、特に少年たちを描いた作品に時々出てくるスリムジムとM80ですが、なんと「SUPER 8/スーパーエイト」にもスリムジムとM80が出てきます。

これはキング作品へのオマージュでしょうか。

アリスにスリムジムをすすめるジョー
先ずはスリムジム。
アリスが運転する自動車の中で、ジョーがアリスにすすめるのはスリムジムですよね。多分。
残念ながら画面にはパッケージが映らないので確認出来ませんが多分スリムジムでしょう。

そしてM80ですが、ジョーの列車模型を爆破する際に使用するのはM80でしたよね。確か。

ケイリーとM80
もしかしたら、冒頭の駅の撮影シーンでケイリーがいじっていたのもM80だったかな。

2.マーク・ペトリとジョー・ラム

ジョーの部屋に窓から入ろうとするアリス
ジョーのキャラクターは、列車の模型以外にもホラー系の模型、--多分オーロラ社のものだと思うけど--、が好きなキャラクターとして描かれています。

そして、物語中盤のある夜、アリスがジョーの部屋にやって来て、窓をたたき部屋に入る許可を得てから部屋に入るシーンがあります。
部屋に入る許可を得る、と言うのは勿論、吸血鬼の事を念頭に置いている訳です。

このシーンをみる限りですが、ジョーはキングの「呪われた町」のマーク・ペトリ少年のキャラクターを踏襲していると考えられます。

また、このシーンは、「呪われた町」における、マークの部屋を訪ねた吸血鬼のシーンそのものだと言えるでしょう。

尤も、アリスは吸血鬼ではなくゾンビだったんですけどね。

3.給水塔

「IT/イット」でおなじみの給水塔が印象的に登場します。

本作「SUPER 8/スーパーエイト」のティーザーにおけるキャッチコピーは、"IT ARRIVES" ですからね、「IT/イット」は当然意識しているでしょう。

4.地下迷宮

「IT/イット」のクライマックスを彷彿とさせる地下迷宮みたいな場所が登場します。シュロブ的な・・・・。

5.宇宙船

「トミーノッカーズ」もびっくりの宇宙船が登場します。また、その宇宙船を建造する為に、自動車のエンジンとか電子部品とかが盗まれたりもします。
で、軍は「ドリームキャッチャー」もびっくりの手腕で街を封鎖してしまいます。

余談ですが、ジョーとチャールズが列車事故のフィルムを見た後のシーンでジョー達とすれ違うジープから降りてくる眼鏡の兵士はエイブラムスじゃないですかね。

6.「ドラえもん」かよ

ジャイアン(チャールズ)、スネ夫(ケイリー)、のび太(ジョー)
キングと関係ないけど、少年たちのキャラクターは、ジャイアン(チャールズ)、スネ夫(ケイリー)、のび太(ジョー)、しずちゃん(アリス)、出木杉くん(プレストン)になってますよね。

7.「ミスト」かよ

ドラッグストアで襲われる店員

ドラッグストアで襲われる店員。「ミスト」もびっくり。

まあ、こんな感じで行くと、いつまでたっても終わらないのでこの辺までにしたいと思います。

さて、本作「SUPER 8/スーパーエイト」についてですが、大変良く出来た面白い作品だとは思うのですが、残念ながら映画好きの少年たちが描かれていないと思います。

本作に登場する少年たちは、見かけは勿論少年たちなのですが、どう見ても大人が映画を撮っているような印象を受けるのです。

映画が好きな少年たちには見えないのです。

例えば、本作と比較されている「スタンド・バイ・ミー」では脚本上、少年たちの素の部分がたくさん描かれていました。

少年たちが好きなテレビ番組や好きなキャラクター、グーフィーは何の動物なのか、くだらない議論や意地の張り合い、そして好きな音楽。

そう言った少年たちの背景が描かれていないのです。
特に映画に関する背景が。

そこがとても残念です。

少年たちを描くのが抜群に巧いスティーヴン・スピルバーグが製作に名を連ねているのに。
これは残念で仕方がありません。

東京では「SUPER 8/スーパーエイト」の上映はほとんど終わっているようですが、作品としては素晴らしい作品ではあるので、機会があれば是非観ていただきたいと思います。

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2011/08/20

「モールス」をめぐる冒険

「モールス」 2011年8月14日 TOHOシネマズ六本木ヒルズで「モールス」を観た。

「モールス」
監督・脚本:マット・リーヴス
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 「モールス」(ハヤカワ文庫NV)
出演:クロエ・グレース・モレッツ(アビー)、コディ・スミット=マクフィー(オーウェン)、リチャード・ジェンキンス(父親)、イライアス・コティーズ(警官)

映画「モールス」は皆さんご存知のように、スティーヴン・キング絶賛の作品で、キングは「モーリス」について『この20年のアメリカでNo.1のスリラー とにかく劇場に駆け込め。観終わった後にお礼を言ってもらえればいい。』と語っており、そのコメントが「モールス」の国内プロモーションにも利用されている。

冒頭に紹介した画像(「モールス」のポスター)、にもキングのコメント("THE BEST AMERICAN HORROR FILM IN THE LAST 20 YEARS")が読める。

参考エントリー『スティーヴン・キング選定2010年映画ベストテン発表』。キングは2010年の映画ベスト1に「モーリス」をあげている。

そもそも「モールス」("LET ME IN")と言う作品は、スウェーデンのスティーヴン・キングの異名をとるホラー作家ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストの「モールス」("MORSE")を原作にして映画化されてスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」("LET THE RIGHT ONE IN")のハリウッドリメイクである。

スウェーデンのスティーヴン・キングの異名をとる原作のヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストだが、実は異名をとるだけではなくスティーヴン・キングの影響を受けている。
原作の「モールス」にもキングの影響を受けたと思われる描写やキングの作品名が顔を出す。

そして、その「モールス」を原作にする「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008)もキングの影響を受けている。ここでは明示はしないが、特に顕著なのは「デッド・ゾーン」の影響ではないだろうか。

さて、「モールス」だが、キングは絶賛しているが、わたしから見ると「ぼくのエリ 200歳の少女」の劣化コピーに見えて仕方がない。

あの北欧の素晴らしい作品がハリウッドに来て普通のサスペンスホラーになってしまった印象。

もちろん「モールス」のひとつの売りであるクロエ・グレース・モレッツは素晴らしいのだが、あまりにも忠実なリメイクにある意味失望である。

アートワークまで似てるよね。

スピード写真の使い方は良かったですけどね。
多分オリジナルにはなかったよね。

但し、スピード写真を使う事により、今後のアビーとオーウェンの展開が明示されてしまう、と言う問題が派生してしまっている。

忠実なリメイクは良いのだが、果たしてそれだったら最初からリメイクする必要があるのか、と言う疑問が持ち上がってくる。

まあそれだけ、「ぼくのエリ 200歳の少女」が素晴らしかった、と言う事だろうか。

最初に「モールス」を観てから「ぼくのエリ 200歳の少女」を観たらどう感じるのか関心あるね。


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2011/05/29

「アジャストメント」もキングの影響を!?

「アジャストメント」 さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、2011年5月27日に、日本公開された映画「アジャストメント」

「アジャストメント」
監督・脚本:ジョージ・ノルフィ
原作:フィリップ・K・ディック 「アジャストメント」(「アジャストメント--ディック傑作短篇選」に収録)
出演:マット・デイモン(デヴィッド・ノリス)、エミリー・ブラント(エリース・セラス)、アンソニー・マッキー(ハリー)、ジョン・スラッテリー(リチャードソン)、マイケル・ケリー(チャーリー)、テレンス・スタンプ(トンプソン)

将来有望な若手政治家デヴィッド(マット・デイモン)は、ある日エリース(エミリー・ブラント)という美しいバレリーナと《運命的》に出逢い、一目惚れする。
しかし次の瞬間、突如現れた《アジャストメント・ビューロー(運命調整局)》と呼ばれる男たちによって、彼は拉致されてしまう。

彼らの目的は、本来《恋に落ちる予定ではなかった》デヴィッドとエリースを引き離し、《運命の書》に記述された運命に従わせること。混乱するデヴィッドに突き付けられたのは、「この世のすべての運命は、ビューローがすでに決めた運命から逸脱しないよう常にモニターされ、操作されている」という、信じがたい現実の《裏側》だった。

超人的な能力で運命を操作する彼らに対し、愛する女性と再会すべく必死の抵抗を試みるデヴィッド。
彼はやがて、ビューローの真の目的と、その背後に潜む更に巨大な力の存在に気付き始めるが・・・・。

(オフィシャル・サイトより引用)

さて、今日の本題だが、本作「アジャストメント」のどの辺がキングの影響を受けているのか、と言う話なのだが、わたしには本作「アジャストメント」がスティーヴン・キングの「デッド・ゾーン」の影響を受けている、と思えてならないのだ。

と言う訳で、本日のエントリーでは、必然的に「アジャストメント」「デッド・ゾーン」の内容や結末に触れることをお断りしておく。

映画「アジャストメント」に登場するデヴィッド・ノリス(マット・デイモン)は、ブルックリンのスラム街出身で、早くに家族を亡くしたが、24歳で下院議員となったやり手政治家として描かれており、映画の冒頭でノリスはニューヨーク州の上院議員選挙に出馬している。

当初は当選確実だと言われていたノリスだったが、自らが飲酒の末に起こしたスキャンダルによりニューヨーク州上院議員選挙に敗北する。

デヴィッドがその敗北宣言の草稿を独りで練っている際、エリース(エミリー・ブラント)と運命的に出逢い恋に落ちる。
そして、デヴィッドはエリースからの影響を受けた草稿による上院議員選敗北宣言で会見を行い、政治家生命を生き存えることになる。

その後、デヴィッドとエリースは運命上、再会してはならないはずだったのだが、アジャストメント・ビューローのハリー(アンソニー・マッキー)のミスにより再会してしまう。
その影響で、デヴィッドはアジャストメント・ビューローがデヴィッドの事務所で行っていた工作現場を目撃してしまうことになる。
アジャストメント・ビューローの異常な工作を目の当たりにしたデヴィッドは事務所から逃亡する、追うアジャストメント・ビューロー。

一時はその場から離脱する事に成功するデヴィッドだったが、最終的には超人的な方法でデヴィッドを追いつめるアジャストメント・ビューローに拉致されてしまう。
その結果、アジャストメント・ビューローの秘密の一部を知ったデヴィッドは、その秘密を口外しない事、そしてエリースと2度と会わない事を約束させられ、彼女の連絡先を破棄された上、解放される。

しかし、エリースを忘れられないデヴィッドはエリースとの偶然の再会を期待し、3年間同じバスに乗り続けていた。

3年後。
デヴィッドは偶然エリースを発見することになる。
このままでは運命が、デヴィッドとエリースの将来が変わってしまう。

アジャストメント・ビューローのデヴィッドとエリースに対する、彼らの運命に対する介入が再び始まる・・・・。

そんなアジャストメント・ビューローの目的は、デヴィッドとエリースを引き離し、デヴィッドを上院議員に、そして最終的には合衆国大統領に就任させようとしているのだ。

そう、アジャストメント・ビューローは、太古の昔から人類の滅亡を防ぐため、キーとなる人類に対し様々な介入を行っていたのだった。

この辺まで話を進めると、賢明な読者諸氏は今日のエントリーの方向性に薄々勘付いていらっしゃるのではないかと思う。

それでは「アジャストメント」に影響を与えているとわたしが考える「デッド・ゾーン」はどのような物語だったのかと言うと、次期大統領候補であるグレッグ・スティルソン上院議員が、大統領就任後、世界中を巻き込む全面核戦争の口火を切る核ミサイルの発射ボタンを押すことを知ったジョン・スミスが、グレッグ・スティルソンの大統領就任を阻もうとする物語である。

一方、「アジャストメント」は、人類を滅亡から少しでも遠ざけるためにデヴィッド・ノリスがを将来的に大統領に就任させるため、アジャストメント・ビューローがデヴィッドの運命の微調整を行おうとする物語である。

ある人物を大統領にさせないために誰かが極秘裏に運命に介入する物語と、ある人物を大統領にするために誰かが極秘裏に運命に介入する物語。

どうでしょう。
「アジャストメント」「デッド・ゾーン」の類似性って、なんだか高いと思いませんか。

ところで、もし、本作の原作であるフィリップ・K・ディックの「アジャストメント」が映画同様に大統領候補者へのアジャストメント・ビューローの介入を描いているとしたら、キングはディックの原作の影響を受けて「デッド・ゾーン」を書いたのかも知れない。と思われる。

劇場を出たわたしはその足で書店に向かった。
ディックの原作を確認する必要があるのだ。

書店で原作をゲットしたわたしは自宅に帰る地下鉄の中、原作「アジャストメント」を読了した。

ディックの原作「アジャストメント」では、主人公は不動産業者であり、アジャストメント・チームは、その不動産業者に介入することにより、カナダ西部の未開発森林地域を開発させ、そこにある人類学的遺跡の研究に世界中の科学者を巻き込み、最終的には世界から戦争を一掃する一助となる事を目的としていた。

つまり、映画「アジャストメント」で、次期大統領候補となる上院議員に対するアジャストメント・ビューローの介入を描いているのは映画のオリジナルのプロットである、と言える。

そう考えた場合、映画「アジャストメント」「デッド・ゾーン」の影響下にあり、「デッド・ゾーン」の裏返し的な構造を持っている作品である、と言う事が確信される。

果たしてこれはわたしの妄想だろうか。

余談だけど「アジャストメント」のドアの使い方も興味深いですよ、「ダーク・タワー」シリーズ的にですが。

ところで、映画「アジャストメント」のデヴィッドは、自らの運命を変えるために、《運命の書》を書いた存在に迫ろうとする。
つまり、デヴィッドは《運命の書》を書いた存在に自らの《運命の書》の書き換えを迫るのである。

この辺りのプロットについてはフレドリック・ブラウンの「ミミズ天使」(「天使と宇宙船」に収録)のそれに酷似している。

因みに、ディックの「アジャストメント」の発表は1954年。
ブラウンの「ミミズ天使」の発表はなんと1943年。

そう考えると、ディックの「アジャストメント」はブラウンの「ミミズ天使」の影響を受けているのかも知れない。

関心がある方は、是非チェックしていただきたいと思う。
「ミミズ天使」は素晴らしい作品だよ。

勿論映画「アジャストメント」も興味深い作品ではあるので、劇場で確認していただきたいと思う。

テレンス・スタンプが最高ですよ。

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2011/03/05

「ヒア アフター」もキングの影響を!?

「ヒア アフター」 さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、2011年2月19日に、日本公開された映画「ヒア アフター」

「ヒア アフター」
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ピーター・モーガン
出演:マット・デイモン(ジョージ)、セシル・ドゥ・フランス(マリー・ルレ)、フランキー・マクラレン(マーカス/ジェイソン)、ジョージ・マクラレン(マーカス/ジェイソン)、ジェイ・モーア(ビリー)、ブライス・ダラス・ハワード(メラニー)、マルト・ケラー(ルソー博士)、ティエリー・ヌーヴィック(ディディエ)、デレク・ジャコビ(本人)

パリで活躍するジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、恋人ディディエ(ティエリー・ヌーヴィック)との休暇を楽しんでいた東南アジアで、津波にのまれて死にかける。無地に帰国してからも、呼吸が停止した時に見た不思議な光景《ビジョン》が忘れられず、仕事も手につかず、自分が見たものが何かを突き止めようと調査を開始する。

かつて霊能者として活躍していたサンフランシスコのジョージ(マット・デイモン)は、死者との対話に疲れ、今は工場で働いている。人生を変えようと通い始めた料理教室で知り合ったメラニー(ブライス・ダラス・ハワード)に好意を寄せている。

ロンドンで母と双子の兄ジェイソン(フランキー・マクラレン/ジョージ・マクラレン)と暮らすマーカス(フランキー・マクラレン/ジョージ・マクラレン)は、突然の交通事故で兄を亡くす。母と引き離され里親に預けられたマーカスは、もう一度兄と話したいと霊能者を訪ね歩く。(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

さて、今日の本題だが、本作「ヒア アフター」のどの辺がキングの影響を受けているのか、と言う話なのだが、次の点がとっても気になる。

ジョージ・ロネガンはジョン・スミスなのか

予告編を見た時点で気になっていたのだが、本作「ヒア アフター」の主人公である引退した霊能者ジョージ・ロネガンは、「デッド・ゾーン」のジョン・スミスの影響を受けているキャラクターに思えてならないのだ。

件の元霊能者ジョージ・ロネガン(マット・デイモン)の霊能力は、死者のビジョンを見ること、つまり手を触れた人の亡くなった近親者のビジョンを得ることにより、死者とその手を触れた近親者とのコミュニケーションの仲立ちをする、というものである。

手を触れてビジョンを得る、と言う点と、そもそもその現象を《ビジョン》と呼んでいることも興味深い。

兄を亡くした弟

交通事故で双子の兄ジェイソンを亡くした弟マーカス。

ジェイソンは活発で行動的な正確で、マーカスはおとなしく思索的な性格として描かれている。

そして、彼らの関係を印象づけるアイテムとして兄ジェイソンのキャップ(野球帽)が効果的な役割を担っている。

この時点で既にお気付きだと思うのだが、兄を亡くした弟と兄が残したキャップと言えば、どうしても「スタンド・バイ・ミー」のゴードン・ラチャンスとその兄デニーが想起される。

また、兄ジェイソンは変な笑いをするキャラクターとして描かれているのだが、これもまた「スタンド・バイ・ミー」のテディ・デュシャンの笑いを想起させる。

ロンドンブックフェア

本作「ヒア アフター」では、ロンドンブックフェアが重要なシークエンスの舞台背景として描かれている。

そこで印象的なのは、キングの版元であるサイモン&シュスター社のブースが何度も画面に登場するのだ。

そして、ジョージとマーカスが話をする場面では背景に、ウィリアム・ゴールディング「蠅の王」("Lord of the Flies")の書影が登場する。これは多分、普通の人は全然気付かないと思うので、写真をはっておく。

「ヒア アフター」のジョージとマーカス
お分かりだろうか、ジョージとマーカスの間の背景の左上の赤い表紙が「蠅の王」である。

「蠅の王」と言えばキングのお気に入りの小説であり、キングが創造したキャッスルロックの語源の元ネタとも言われている。

また、ジョージ・ロネガンはチャールズ・ディケンズファンとして描かれており、ジョージは毎晩、デレク・ジャコビによるディケンズ作品のオーディブックを聴くキャラクターとして描かれている。

ディケンズとキングと言えば、「グリーン・マイル」の分冊形式の出版形態はディケンズの前例にならったものだとキングは明言している。

また、オーディオブックのナレーターとして著名なフランク・ミューラーの件もあるように、キングはオーディオブックの普及にも貢献している。

若干妄想気味だと思うが、このあたりもキングファンに対する目配せではないのかな、と思ってしまう。

まあ、本作「ヒア アフター」と、キングの「デッド・ゾーン」「スタンド・バイ・ミー」との共通点が多いのは、おそらくわたしの妄想のせいではないと思う。

実際、幾つかのプロットにキング作品が影響を与えているのではないか、と思える。

作品自体は、公開直後なので内容については割愛するが、非常に良い作品に仕上がっている。
何故、イーストウッドが本作のメガホンを取ったのか、と言う疑問は残るものの、最近のイーストウッドのカラーに仕上がっているので、イーストウッドも前向きに本作に取り組んだのだと思う。

音楽は例によって、簡単な単音のメロディの繰り返しなので、個人的にはいただけないと思うが、それ以外は非常によく出来てると思う。

特に、東南アジア、パリ、ロンドン、サンフランシスコを舞台にしたグローバルな物語の語り方は大胆でしかも周到に考えられていると思う。

伏線も見事だし、枝葉の部分、例えば料理教室やオーディオブック等のプロットも素晴らしい。

関心がある方は是非劇場で「ヒア アフター」を堪能していただきたいと思う。

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2011/02/19

「RED/レッド」もキングの影響を!?

「RED/レッド」 さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、2011年1月29日に、日本公開された映画「RED/レッド」

「RED/レッド」
監督:ロベルト・シュヴェンケ
原作:ウォーレン・エリスカリー・ハムナー
脚本:ジョン・ホーバーエリック・ホーバー
出演:ブルース・ウィリス(フランク・モーゼズ)、モーガン・フリーマン(ジョー・マシス)、ジョン・マルコヴィッチ(マーヴィン・ボッグス)、ヘレン・ミレン(ヴィクトリア)、メアリー=ルイーズ・パーカー(サラ・ロス)、カール・アーバン(ウィリアム・クーパー)、ブライアン・コックス(イヴァン・シモノフ)、ジュリアン・マクマホン(ロバート)、レベッカ・ビジョン(シンシア・ウィルクス)、アーネスト・ボーグナイン(ヘンリー)、ジェームズ・シンガー(ガブリエル・シンガー)、リチャード・ドレイファス(アレクサンダー)

静かな引退生活を送っていた元CIAエージェントのフランク(ブルース・ウィリス)は、ある夜正体不明のハイテク暗殺部隊の襲撃を受ける。
さらにその魔手は彼が唯一心を通わせる年金課の女性、サラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)の身にも及んでいた。
フランクはサラを半ば強引に連れ出し、全米各地に散ったかつての仲間たちの元を訪れ、この危機に対抗するためのカウンター・アタック・チームを組織する。
チームの顔触れは、フランクのかつての上司ジョー(モーガン・フリーマン)、かつての同僚であり、ライバルでもあった武器スペシャリストのマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)、そしてイギリス人女スパイ、ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)の計4人。
ここにコードネーム《RED/レッド》----Retired Extremely Dangerous(引退した超危険人物)----が再結成されたのである。
(オフィシャル・サイトより引用)

さて、今日の本題だが、本作「RED/レッド」のどの辺がキングの影響を受けているのか、と言う話なのだが、先ずこの作品には、大統領の椅子を狙う副大統領のロバート・スタントンと言うキャラクターが登場する。

ところで、いきなりで恐縮だが、ちょっとした余談を。

本作「RED/レッド」に名前だけ出てくるロバートの父親の名はジョン・スタントンであり、ジョン自身も政治家なので、これは、共に暗殺されたジョン・F・ケネディと実弟のロバート・フランシス・ケネディのメタファーだと考えられる。

因みにロバートは、大統領選のカリフォルニアで予備選の祝勝会で演説した後、その会場を出るために通った調理場で銃撃されている。

そして、ジョン・F・ケネディの暗殺もロバート・フランシス・ケネディの暗殺もCIAの関与が噂されている、と言う点も本作の背景として興味深い。

さて、今日の本題だが、本作「RED/レッド」におけるロバート・スタントン副大統領のキャラクターは、名前からわかるように、スティーヴン・キングの「デッド・ゾーン」に登場するグレッグ・スティルソンの影響を受けたキャラクターである、と考えられる。

ところで、「デッド・ゾーン」に登場するグレッグ・スティルソンはどんなキャラクターだったか、と言うと、ジョン・スミスにより、近い将来、大統領に就任した後に全面核戦争の核ミサイル発射ボタンを押す、と言うビジョンを得たキャラクターとして描かれている。
そしてジョンはスティルソンを大統領に就任させないように、彼の政治生命を絶つために暗殺を企てる。
そして、ジョンが暗殺を企てた現場がスティルソンの選挙パーティ会場のホールなのである。

同様に、本作「RED/レッド」のクライマックスは、ロバート・スタントンが大統領選に臨むための寄付金を募るパーティ会場での暗殺シークエンスである。

そして、その暗殺シークエンスの舞台は、勿論パーティ会場のホールから厨房を通り駐車場へと移動し、暗殺チームとスタントンの逃亡チームとの攻防が描かれているのだ。

いかがだろう。
本作「RED/レッド」は公開直後の作品なので、詳細は割愛するが、「RED/レッド」は、「デッド・ゾーン」の影響下にある作品である事は、多分間違いないと思う。

機会があれば劇場でその辺を確かめていただきたい。


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2010/11/14

「スペル」をめぐる冒険

「スペル」 さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

で、今日俎上にあげるのはサム・ライミの映画「スペル」

「スペル」
監督:サム・ライミ
脚本:サム・ライミ、アイヴァン・ライミ
視覚効果監修:ブルース・ジョーンズ   
特殊メイク効果:グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガー
音楽:クリストファー・ヤング
出演:アリソン・ローマン(クリスティン・ブラウン)、ジャスティン・ロング(クレイ・ダルトン)、ローナ・レイヴァー(ガーナッシュ夫人)、ディリープ・ラオ(ラム・ジャス)、デヴィッド・ペイマー(ジャックス氏)、アドリアナ・バラーザ(ショーン・サン・デナ)

銀行のローンデスクで働くOL、クリスティン・ブラウン(アリソン・ローマン)は、ライバルの同僚に勝ってアシスタントマネージャーに昇進するため、支店長のジャックス(デヴィッド・ペイマー)の「出来る」ことをアピールする必要に迫られていた。

そこに客として現れたのは、ガーナッシュと名乗るジプシー風の老婆(ローナ・レイヴァー)。クリスティンは自分の出世を意識し、彼女の3度目の不動産ローンの延長願いをキッパリと断る。すると老婆は態度を豹変。激怒し、クリスティンに飛びかかろうとしたところを警備員に取り押さえらわ、その場を追いやられた。

その夜、仕事が終わって駐車場に向かったクリスティンを待ち受けていたのは、あの老婆。敵意むき出しに掴みかかる老婆に必死に抵抗するクリスティン。しかし死に物狂いの応戦むなしく、力尽きる。

老婆にコートの袖口のボタンを引きちぎられたクリスティンは、聞きなれない呪文のようなものを聞く。「次はお前さ。私に請いにくるんだ」と言い残した老婆は、ボタンをクリスティンに渡し、その場から消えていった。

さて、今日の本題だが、「スペル」のどの辺がキングかと言うと、キングファンの目で見ると「スペル」は、スティーヴン・キング(リチャード・バックマン名義だけど)の「痩せゆく男」の影響を受けている、としか思えないのです。

で、どの辺が「痩せゆく男」かと言うと、ネタバレを避けつつ考えると、次のような類似点があげられます。

ジプシーの呪い
呪いがかけられる場所は自動車の付近
呪いを他人に受け流す方法が存在する
動くスイーツ
・・・・

あまり細かいことはネタバレになるので書けませんが、是非比較して見てください。

作品自体はよく出来ています。

従来のサム・ライミのホラー作品と比較すると、洗練されすぎているため、ちょっと違和感がありますね。

「ギフト」「シンプル・プラン」も同様なのですが、洗練されすぎていて、サム・ライミのゴリ押しの勢いがそがれている様な印象を受けます。

「死霊のはらわた」シリーズのような、荒削りな疾走感が欲しいですね。

脚本は予定調和的、と言うか、ありきたりではありますが、充分に鑑賞に堪えうるクオリティを持っています。

また美術や特殊効果もすばらしいですね。

作品としてはホラーの小品、と言う感じで誰にも勧められる良作だと思います。
若干グロ描写がありますが、許容範囲内でしょう。

「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミしか知らない人に是非見ていただきたいと思います。

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2010/07/19

「インシテミル」もキングの影響を!?

「インシテミル」 さて、今日は全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

で、今日俎上にあげるのは、米澤穂信の「インシテミル」

さて、米澤穂信と言えば先日紹介した「ボトルネック」『「ボトルネック」をめぐる冒険』)もキングの影響を受けている、とわたしは妄想しているので、「ボトルネック」に続き「インシテミル」もキングの影響を受けているとすると、米澤穂信は本格的にキングファンなのではないかと、妄想を深めてしまう。

「インシテミル」
著者:米澤穂信
出版社:文藝春秋(文春文庫刊)
初版:2010年6月10日
(ハードカバー版:2007年8月30日)

「ある人文科学的実験の被験者」になるだけで時給11万2000円がもらえるという破格の仕事に応募した12人の男女。とある施設に閉じ込められた彼らは、実験の内容を知り驚愕する。それはより多くの報酬を巡って参加者同士が殺し合う犯人当てゲームだった。
(文庫版裏表紙よりほぼ引用)

物語のコンセプトは、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を「ある人文科学的実験」として実際にやってしまおう、というもの。と言うか、ちょっと踏み込んでいくと、物語の構成上、映画「名探偵登場」のようなコンセプトをもった作品。

尤も、読み始めの頃は、クリスティ・ミーツ・「es」かな、と思ったのだが、映画「es」的要素は読みすすめていくに連れ影を潜めていく。

本書「インシテミル」はスノッブなミステリー好き、と言うかミステリーヲタクのような人々にはたまらない趣向がいろいろと凝らされているので、もちろん、その趣向が気に食わん、という人もいるかと思うが、是非一読して欲しいと思う。
メタフィクションと言うか、メタミステリー的な観点も楽しめるよ。

さて、今日の本題、米澤穂信の「インシテミル」のどの辺がスティーヴン・キングの影響を受けているか、という話なのだが、物語の枠組み、つまりこの「ある人文科学的実験」のルールが、キング(リチャード・バックマン)の「死のロングウォーク」の影響を受けている、と思えるのだ。

印象的な部分を引用する。

(1-3)<夜>の間に、個室を出ているところを<ガード>に発見された者は、警告を受ける。
(1-4)<ガード>からの警告が三度累積した者が、<夜>の間に個室を出ているところを<ガード>に発見された場合は、<ガード>によって殺害される

どうだろう、どう見ても「死のロングウォーク」ではないだろうか。

これ以外にもいろいろとルールが出てくるのだが、物語が進むにつれ、ルールの引用が行われる点も「死のロングウォーク」っぽいと言えるだろう。

ところで、「インシテミル」「死のロングウォーク」の影響を受けている、と言うのはわたしの妄想ではなく、香山二三郎の「解説」でも取り上げられている。
当サイトとしては、「解説」で取り上げられているのは、ちと残念だが・・・・

該当部分を引用する。

かくて人工的な舞台、死のモニター業務が考案されたが、もとはといえば、スティーヴン・キングがリチャード・バックマン名義で書いた「死のロングウォーク」をやりたかったのだとか。こちらは近未来のアメリカを舞台に100人の少年が繰り広げるサバイバルレースの顛末を描いた作品で、高見広春「バトル・ロワイヤル」もこれを下敷きにしているという。

関心がある方は「インシテミル」を是非読んでいただきたいと思う。「死のロングウォーク」も一緒に読んでね。

なお、「インシテミル」は映画化され2010年10月16日に「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」として公開される模様。

「インシテミル 7日間のデース・ゲーム」
監督:中田秀夫
原作:米澤穂信 「インシテミル」(文春文庫刊)
脚本:鈴木智
出演:藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ、阿部力、武田真治、平山あや、石井正則、大野拓朗、片平なぎさ、北大路欣也

なお、映画版では登場人物(人文科学的実験参加者数)が12人から10人に変更されている模様。

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