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2022/10/09

『ハリガン氏の電話』がNetflixで公開中

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2022年10月5日 Netflixでスティーヴン・キング原作の『ハリガン氏の電話』(2022)が配信された。

『ハリガン氏の電話("Mr. Harrigan's Phone")』はスティーヴン・キングの中編集『If It Bleeds』(2020)に収録されている中編小説。

『ハリガン氏の電話』(2022)
監督・脚本:ジョン・リー・ハンコック
原作:スティーヴン・キング 『Mr. Harrigan's Phone』(『If It Bleeds』に収録)
出演:ジェイデン・マーテル、ドナルド・サザーランド、ジョー・ティペット、カービー・ハウエル=バプティスト、サイラス・アーノルド、コリン・オブライエン、トーマス・フランシス・マーフィ、ペギー・J・スコット

あらすじ:メイン州の田舎町に暮らす少年クレイグ(ジェイデン・マーテル) は、富豪の老人ハリガン(ドナルド・サザーランド)への読み聞かせのアルバイトを行っていた。やがて老人は亡くなり悲しみに暮れるクレイグだったが、クレイグがハリガンの棺に納めたスマートフォンからクレイグにメッセージが届くようになったが・・・・。

以前のエントリー【「If It Bleeds」映像化情報】でお話ししたように、『ハリガン氏の電話』のモチーフはエドガー・アラン・ポーの『早すぎた埋葬』(1844)。


ポーの『早すぎた埋葬』が執筆された19世紀には、生きながら埋葬されることへの恐怖があり、その恐怖は土葬が主流であった当時の西欧社会には深く根付いていた。実際、当時の西欧社会では医師によって生者が死者と誤診されるケースが何百とあったらしい。

そして、その生きたまま埋葬されてしまうことへの恐怖から、ポーの『早すぎた埋葬』にも登場する棺の内部から外部へ助けを求めることができる装置やその連絡装置付きの「安全
棺」が実際に考案され使用されていた。(安全な棺)

スティーヴン・キングの『ハリガン氏の電話("Mr. Harrigan's Phone")』では、棺の内部から外部へ助けを求めることができる装置やをiPhoneとした訳である。
この『早すぎた埋葬』をモチーフにした作品は非常に多く、キングの作品に限っても、『第四解剖室』(短編集『第四解剖室』に収録、新潮文庫刊)であるとか、同じくポーの『アモンティリヤアドの酒樽』をモチーフにした『ドランのキャデラック』(短編集『ドランのキャデラック 』に収録、文春文庫刊) もある。

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さて『ハリガン氏の電話』だが、主演は『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)シリーズでビル・デンブロウを演じたジェイデン・マーテル。ティーン向けのホラー作品ではなく、本作のような作品に出演している点は、スティーヴン・キングファン的にも嬉しいところである。
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また金融界の大物で、iPhoneと共に埋葬されてしまう老人になんとドナルド・サザーランド。最近は『ハンガー・ゲーム』(2012)シリーズの人になってしまっていたので、こういった作品に出演してくれてるいのは嬉しい。

物語は先ほどからお話ししているようにポーの『早すぎた埋葬』をモチーフにしているのだが、そこはキング。 『早すぎた埋葬』を超えたところに観客を連れて行ってくれる。

なお、本作『ハリガン氏の電話』は2022年10月5日にNetflixで配信が始まったばかりなので、物語の詳細については割愛するが、関心がある方は是非視聴して欲しい。

ここ最近のキング原作の映像化作品は以前と比較してハズレ作品が少なく、本作も素晴らしい作品に仕上がっていることを申し添えておく。

 

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