先日のエントリー【「The Witch/魔女」もキングの影響を!?】でお話しした「シャイニング」のオーバールックホテルのカーペット柄の壁紙についてですが、東京都港区麻布台の[メゾン・ランドゥメンヌ 麻布台]のイートインコーナーの壁紙にも使用されていることから、一般的に販売されている商品だと言うことががわかりました。
まずはこの画像をご覧ください。
これはテレビ朝日の「バラバラ大作戦」の「秋山とパン」コーナーからの画像で、2020年10月7日に放送された際のものです。
なお「秋山とパン」と言うコーナーは、ロバートの秋山竜次が、毎回街の皆さんに愛されるパンの名店を訪れ、お店ご自慢のパンに舌鼓を打つ、と言うコーナーです。
因みに「秋山のパン」の動画はTVerで無料視聴することができます。
いかがでしょう。
先日紹介した「The Witch/魔女」に登場した壁紙と同一の壁紙だと言うことが確認できます。
さて、そもそもこの壁紙のデザインはどこからきているのか、と言う話なのですが、これはインテリアデザイナーであるデービッド・ヒックスのデザイン[ヒックス・ヘキサゴン]によるものです。
それではこの[ヒックス・ヘキサゴン] が「シャイニング」のオーバールックホテルのカーペットのデザインに採用されたのはどのような経緯だったのでしょう。
ご存知のように、スタンリー・キューブリックと言う映像作家は映画制作の際にありとあらゆる情報を収集し、それらを参考にすることで有名な映像作家です。その情報を収集する分野は多岐にわたり、例えばロケ地選定のために建築関係の業界誌の数年分のバックナンバーを取り寄せたり、もちろん既製の音楽を聴きまくったり、映画の原作となりそうな小説のゲラを読みまくったり、もちろん今回のようにセットのインテリアとなる既製のインテリア関係の業界誌を取り寄せたり。
そんな中、デービッド・ヒックスの[ヒックス・ヘキサゴン] が「シャイニング」に採用された経緯は、「シャイニング」制作時のリサーチの一環としてキューブリックが[ヒックス・ヘキサゴン]を発見、デービッド・ヒックスに無断でデザインを使用し、かつ色彩を変更した上でオーバールックホテルのカーペットを作成した、と言う話が定説になっています。 (色彩を変更した、と言うのは当ブログの推測)
そのあたりについてはこちらのブログエントリー【『シャイニング』に登場した六角形柄のカーペットをデザインしたインテリアデザイナー、デービッド・ヒックス】が詳しいのでぜひご参照願います。
ここまでは知識として知っていたのですが、先ほど紹介した[メゾン・ランドゥメンヌ 麻布台]のイートインコーナーの壁紙が[ヒックス・ヘキサゴン]であることから、もしかしたらこの壁紙が普通に販売されているのではないかと、ちょっと検索してみたところ、この壁紙が一般的に販売されていることを発見しました。
しかもよくありがちな映画グッズや版権的にグレーな商品ではなく、デービッド・ヒックスの[ヒックス・ヘキサゴン]商品としてオフィシャルに販売されているのです。
まあこれは、インテリアデザイナーの作品なので、販売されていることは当たり前と言えば当たり前なのですが、オフィシャルな商品として一般を対象として販売されていることに若干驚きを感じました。
この流れで考えると、もしかしたらですが、TOHOシネマズ日本橋のカーペットが[ヒックス・ヘキサゴン]なのは、これもおそらくオフィシャルな商品なのだろう、と言うことに思いがおよびました。
ご参考【TOHOシネマズ日本橋はオーバールックホテル!?】
せっかくなので[ヒックス・ヘキサゴン]の壁紙を販売しているサイトを紹介します。
Cole & Son イギリスの販売サイト
TECIDO Cole & Son の国内代理店
[ヒックス・ヘキサゴン] に関心があり、ご家族を説得できると言う幸運な方は、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
余談ですが、オーバールックホテルにはもうひとつ有名なデザインのカーペットが登場します。
それはオーバールックホテルの237号室のカーペットで、ギレルモ・デル・トロ の「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017)にも登場したデザインです。
ご参考 ギレルモ・デル・トロもキングの影響を
この237号室のカーペットのデザインは原作「シャイニング」に登場する[スズメバチの巣]を図案化したものだと言うのが定説ですが、デービッド・ヒックスのデザインにそれに似たデザインがあるのでこちらを紹介します。
いかがでしょうか。
オーバールックホテルの237号室のカーペットのデザインもデービッド・ヒックスのデザインの流用だったのではないでしょうか。そんな気がしてきました。
最近のコメント