カテゴリー「「グリーン・マイル」」の20件の投稿

2016/04/17

「ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!」もキングの影響を

さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、映画「ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!」

今頃なんだよ、と言う話ですが、たまたまhuluで観直して、ああ、まだブログに書いていなかったな、じゃあ書きましょうか、と言う訳。

「ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!」
監督:エドガー・ライト
脚本:サイモン・ペッグ、エドガー・ライト
出演:サイモン・ペッグ(ゲイリー・キング)、ニック・フロスト(アンディ・ナイトリー)、パディ・コンシダイン(スティーヴン・プリンス)、マーティン・フリーマン(オリヴァー・チェンバレン)、エディ・マーサン(ピーター・ペイジ)、ロザムンド・パイク(サム・チェンバレン)、ピアース・ブロスナン(ガイ・シェパード)

さてワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!のどの辺りがスティーヴン・キングの影響を受けているのか、と言うところなのだが、キングの影響と言うよりはキングの「ドリームキャッチャー」の影響が濃いと考えられる。

「ドリームキャッチャー」の物語は、少年時代からの友人たちが、鹿狩りのために入った森の中で酷い目に遭い、謎の存在と追跡を繰り広げる物語。大人版「スタンド・バイ・ミー」とも呼ばれている作品。

どう「ワールズ・エンド」のプロットと同じでしょ。

さて、それでは「ワールズ・エンド」をスティーヴン・キング的に解釈して行こう。

◆WTF は SSDD か。

「ドリームキャッチャー」と言えば仲間内の隠語 "SSDD" だが、「ワールズ・エンド」にも同様に仲間内の隠語 "WTF" が登場する。
これは本作は「ドリームキャッチャー」の影響を受けていますよ、と言う目配せに違いない。

◆トイレの戦い

「ドリームキャッチャー」の物語が転がり始めるのは、謎の存在とトイレで戦うところからなのだが、「ワールズ・エンド」も同様にトイレで謎の存在と戦うところから物語が転がり始まる。
これも目配せ。

◆《ゴールデン・マイル》は《グリーン・マイル》なのか

ゴールデン・マイル
ニュートン・ヘイヴンの12軒のパブをめぐる道のりを「ワールズ・エンド」では、ビールの色から《ゴールデン・マイル》と呼んでいるのだが、これはどう考えても「グリーン・マイル」からの引用だろう。
因みに「グリーン・マイル」は人生のメタファーね。

もしかしたら、ゴールドとイエローで、《ゴールデン・マイル》は「オズの魔法使い」の《イエロー・ブリック・ロード》のメタファーで、「ワールズ・エンド」は、《ゴールデン・マイル》の導きで、オズの大魔王に会う話だとも言える。

わかるでしょ。インチキでハリボテで大声のオズの大魔王。

◆舞台はニュートン・ヘイヴン

ヘイヴンとはキング作品のいくつかの舞台となった街。

◆23年後の事件

謎の存在を何と呼ぶかもめる5人だが、これは「IT」の引用。
「IT」は、27年周期で事件が起きる物語。

◆ビーハイブはオーバールックホテルなのか

12軒のパブのなかに《ビーハイブ》と言うパブがあるのだが、その《ビーハイブ》の看板がどうみても「シャイニング」のオーバールック・ホテルのカーペットの柄と同じ。

Beehive_2

で興味深いのは、《ビーハイブ》の前のパブ《マーメイド》に、青い衣装の怖い双子が出てくる点。

Twin

これ以外にも小ネタはあるけど、 ワールズ・エンド 酔っぱらいは世界を救う!はスティーヴン・キングの影響を受けているのは間違いないでしょ。

物語の根本的なところは、ウィンダムの「呪われた村」をベースに冒頭は「ブルース・ブラザーズ」、《ゴールデン・マイル》に乗ってからは「オズの魔法使い」で、スティーヴン・キング風味に仕上げた感じ。

関心がある方は是非。

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2015/02/15

「グリーン・マイル」の読書会開催決定

2015年2月15日に更新された翻訳ミステリー大賞シンジケートのブログエントリーによると、「グリーン・マイル」の読書会が2015年3月14日(土)に千葉県千葉市にて開催されることが決定した模様。

第9回千葉読書会のご案内

日 時:3月14日(土)15:50~17:50(二次会別途予定)
場 所:JR千葉駅より徒歩10分程度
課題書:『グリーン・マイル』(上・下)
定 員:20名
参加費:一般 1000円 学生 500円(会場・資料印刷代等実費)

ゲストとして翻訳家の白石朗氏も本読書会に参加の予定。
関心がある方は是非。

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2013/08/07

「Movies in movies: A montage」が素晴しい

「ニュー・シネマ・パラダイス」より
2013年8月6日のギズモード・ジャパンのエントリー『映画の中で映画を見る人々(動画)』で紹介されている動画「Movies in movies: A montage」が素晴しい。

キング的には「グリーン・マイル」「ショーシャンクの空に」も入ってるよ。


なにが素晴しいってあなた。
映画を観ている人々の表情だよ。
映画に対する愛情だよ。

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2012/09/04

【訃報】マイケル・クラーク・ダンカン

マイケル・クラーク・ダンカン/「グリーン・マイル」より
マイケル・クラーク・ダンカン 「グリーン・マイル」より

2012年9月4日にAFPBB Newsが伝えるところによると、マイケル・クラーク・ダンカンが亡くなった模様。

米俳優M・C・ダンカンさん死去、『グリーンマイル』で死刑囚役を好演

【9月4日 AFP】映画『グリーンマイル(The Green Mile)』でアカデミー賞(Academy Awards)助演男優賞にノミネートされた米俳優マイケル・クラーク・ダンカン(Michael Clarke Duncan)さんが3日、死去した。54歳。代理人らが同日、明らかにした。

広報担当者によれば、ダンカンさんは7月13日に心筋梗塞を起こし、完全に回復しなかったという。リアリティー番組『アプレンティス(The Apprentice)』で有名になった恋人のオマローサ(Omarosa Manigault)さんは、同広報担当者を通じてプライバシーの尊重を求めている。

1957年12月10日、シカゴ(Chicago)で生まれたダンカンさんは、俳優を目指しロサンゼルス(Los Angeles)へ引っ越した。身長196センチでたくましい体格の持ち主だったダンカンさんは、ウィル・スミス(Will Smith)やジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)のボディーガードとして働くかたわら、端役を得るようになる。

『アルマゲドン(Armageddon)』がきっかけとなり、スティーヴン・キング(Stephen King)原作の『グリーンマイル』への出演が決定。少女2人をレイプし殺害した罪で有罪となったが、実はえん罪で、トム・ハンクス(Tom Hanks)演じる看守と心を通わせるという死刑囚を好演した。

この演技でダンカンさんは、アカデミー賞のほか、ゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)などにもノミネートされた。出演した映画は約50本にのぼる。(c)AFP

心よりご冥福をお祈りいたします。

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2012/07/16

トム・ハンクスは「ショーシャンクの空に」のオファーを断っていた!?

2012年7月15日にシネマトゥデイが伝えるところによると、トム・ハンクスはフランク・ダラボンの「ショーシャンクの空に」のオファーを断っていた模様。

ヒット作への出演を断り後悔…『ショーシャンクの空に』=トム・ハンクス、『フットルース』=トム・クルーズ、『フォレスト・ガンプ』=トラヴォルタ

関連部分を引用する。

[シネマトゥデイ映画ニュース] これまで多くのハリウッド俳優が、一本の出演作品の成功によって俳優人生が変わってしまったケースを我々は見てきたが、それとは逆にある作品を選択しなかったことで、ハリウッドの第一線から外れてしまったケースもある。もちろん、長い間ハリウッドのトップで活躍している俳優たちには多かれ少なかれ、ヒット作や駄作に出会うものだが、今回はYahoo Screenに基づいてハリウッドの有名俳優が、出演を断ったヒット作に焦点を当ててみたい。

続いて人気俳優トム・ハンクス。彼はトム・クルーズが出演した映画「ザ・エージェント」やティム・ロビンズ主演の映画「ショーシャンクの空に」への主演を断っていた。もっとも、「ザ・エージェント」でのキューバ・グッディング・Jrとトム・クルーズの絶妙なコンビを見れば納得の選択だったのかもしれない。ただ、「ショーシャンクの空に」を断ったのはトムも後悔したようで、「ショーシャンクの空に」の原作者スティーヴン・キングと監督を務めたフランク・ダラボンが再びタッグを組んだ映画「グリーンマイル」では主役を演じていた。

なるほどです。

これを信じると、トム・ハンクスはスティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督作品「ショーシャンクの空に」でティム・ロビンズが演じたアンディ・デュフレーン役のオファーを断ったことを後悔し、その後悔を繰り返さないため、スティーヴン・キング原作、フランク・ダラボン監督作品である「グリーンマイル」のオファーを受けた、と言う事のようですね。

本当のことかどうかわかりませんが、興味深い話ですね。

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2012/02/04

「なまづま」もキングの影響を!?

「なまづま」 さて、今日も全ての事象はスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。

今日、俎上に乗せるのは、堀井拓馬の「なまづま」 

「なまづま」
著者:堀井拓馬
出版社:角川書店(角川ホラー文庫)
あらすじ:激臭を放つ粘液に覆われた醜悪な生物ヌメリヒトモドキ。日本中に蔓延するその生物を研究している私は、それが人間の記憶や感情を習得する能力を持つことを知る。他人とうまく関われない私にとって、世界とつながる唯一の窓口は死んだ妻だった。私は最愛の妻を蘇らせるため、ヌメリヒトモドキの密かな飼育に熱中していく。悲劇的な結末に向かって…。選考委員絶賛、若き鬼才の誕生!第18回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。(本書裏表紙より引用)

さて、本作「なまづま」のどの辺りがキングの影響を受けているのか、と言う話なのだが、本作の物語は先ほど引用したように、死んだ妻をヌメリヒトモドキを利用し蘇らせようとする物語である。

そこから短絡的に考えると本作「なまづま」は、キングの「ペット・セマタリー」の影響を受けている、と言う事になるだろう。事実わたしも、そのつもりで本作を読み進めていた。

しかし、ラスト一行でそれは完全にひっくり返る。
冒頭のカレンダーの部分が凄まじい勢いで蘇ってくる。

あぁ、本作「なまづま」「グリーン・マイル」だったのだ、と。

ところで、「グリーン・マイル」と言う物語はどんな物語だったのか、と言うと、奇跡を信じていなかったポール・エッジコム(パウロ)は、奇跡を行うジョン・コーフィ(JC)を目の当たりにすることにより、奇跡の存在を信じるようになり(パウロの回心)、ジョン・コーフィを自らの手で電気椅子に送り込んだ後、その奇跡の物語を永遠に伝え続ける事を余儀なくされてしまう物語である。

一方「なまづま」はどう言う物語なのか、と言うと、妻の死を乗りこえるため、一日いちにちを地道に生き抜いていた主人公は、ヌメリヒトモドキを利用し死んだ妻を蘇らせようとするが、そのヌメリヒトモドキは想像以上に妻に近い存在になってしまう。最終的に彼は永遠に延ばされた人生を一日いちにち生き抜きながら、この物語を伝え続ける事を余儀なくされてしまう物語である。

いかがだろう、本作「なまづま」は、関心が出てきた方にはオススメの一冊である。

ところで、亡くなってしまった愛する人をなんらかの手段で蘇らせようとする作品は、古今東西にたくさんあるのだが、それらの多くの作品では、蘇ってきた存在は、元の存在以下の存在であるケースがほとんどだと思う。

キング的には「ペット・セマタリー」もそうだし、その元ネタとなっている「猿の手」も同様である。

日本においても、「日本神話」におけるイザナギ・イザナミの神話においても同様だと言える。

ここで興味深いのは本作「なまづま」では、ヌメリヒトモドキをよりしろとして蘇った存在は、死んだ妻と同様、またはそれ以上の存在になりそうな印象を受ける。
しかし、ヌメリヒトモドキの妻を愛するようになってしまった主人公にとって、それは許容できない状況になってしまうのだが、ね。

余談だけど、「なまづま」を読了した後にこの表紙の装画(笹井一個)を見ると、感慨深い印象を受けるよ。作品にぴったりの素晴らしい装画です。



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2011/12/27

「ウォーキング・デッド」の原作コミックの売れ行きが絶好調だそうです

2011年12月26日に映画.comが伝えるところによると、テレビシリーズ「ウォーキング・デッド」の原作コミックの売れ行きが絶好調である模様。

「ウォーキング・デッド」の原作コミック売れ行きが絶好調

記録のため全文を引用する。

 [映画.com ニュース] 米人気ドラマ「ウォーキング・デッド」の原作コミックが、ニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックノベル部門のベストセラーリストを独占する状態になっていると、ハリウッド・レポーター紙が報じた。

 「ウォーキング・デッド」とは、ロバート・カークマンの人気コミックを「ショーシャンクの空に」のフランク・ダラボン監督が映像化したドラマで、アメリカではシーズン2の前半の放送が終わったばかり。番組人気に伴い、原作コミックの売上げが好調で、ニューヨーク・タイムズ紙のグラフィックノベルのベストセラーリストにおいて、ペーパーバック部門のトップ4のなかに3冊、ハードカバー部門ではトップ9のなかに3冊がランクインしている。

 特定のグラフィックノベルシリーズが、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーリストをここまで占拠したのは初めてだという。なお、シーズン2の後半は、2月12日に全米放送開始。
(映画.com速報)

まあ皆さんご承知だと思いますが、「ウォーキング・デッド」国内版の翻訳は、かの風間賢二氏です。

因みに、「ウォーキング・デッド」シーズン2の国内放送は、北米での放送から2週間遅れでFOXチャンネルで放送されています。

この北米の2週間遅れでの国内放送と言うのも異例だと思いますが、シーズン2の後半も同様に2週間遅れ、2012年3月より後半の第8話以降が放送される予定です。



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2011/02/24

読売新聞にキングの記事が!? 冲方丁と白石朗がキングを語る。

「新!読書生活」第24回「スティーヴン・キングの魅力」 2011年2月23日 「読売新聞」朝刊の「新!読書生活」と言うコーナーで、作家:冲方丁と翻訳家:白石朗がスティーヴン・キングの魅力について語った模様。

わたしは残念ながら、現在まで、紙面を確認する事が出来ていないが、同「新!読書生活」の記事が「21世紀 活字文化プロジェクト」のサイトで公開された。

「新!読書生活」第24回「スティーヴン・キングの魅力」

全国紙の朝刊に掲載された記事と言う事もあり、一般の人に対しキングの魅力を語る記事になっていますが、非常に興味深い記事なので是非読んでみて下さい。

冲方丁さんの姿を見る機会は多いと思いますが、あまりメディアに顔出しで登場しない白石朗さんの写真が何点か掲載されていますよ。

なお、この記事については、「キング堂 ブログ支店」のエントリー「 冲方丁と白石朗がキングを語る」で紹介されています。

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2010/04/30

「ボトルネック」をめぐる冒険

「ボトルネック」米澤穂信 今日のエントリーは、例によって、全ての事象はキングの影響を受けている的、妄想エントリー。

気になるお題は米澤穂信の「ボトルネック」

なぜ「ボトルネック」を取り上げているか、と言うと、わたしには「ボトルネック」がスティーヴン・キングの「グリーン・マイル」の影響を受けている、と思えてならないから。

先日、東京銀座で待ち合わせがあったのだが、手持ちの本を全て読み終わってしまったため、何か本を買わなきゃな、とツイッターでつぶやいたら、日本一リチャード・マシスンにイカレてる高校生から「深夜の逃亡者」をすすめられた。しかしながら、有楽町の三省堂二階の文庫コーナーではレジ渋滞が起きてて、こりゃ待ち合わせに遅れちゃう、やむなく一階に降り、売れ筋コーナーに平積みされている本の中より、以前から気になっていた米澤穂信の「ボトルネック」を手に取った。

なぜ「ボトルネック」が気になっていたかと言うと、わかる人はわかると思うけど、米澤穂信と言う名前に個人的に親近感があったことと、表紙のイラストに関心があったから。アルフォンス・ミュシャと当時のイラストレイターのポスター展に行った際、文庫版「ボトルネック」の表紙に似たような色彩のポスターを見た記憶があったのだ。
あとはもちろん「このミステリーがすごい!2010年版 第一位」と言うことで、バカ売れしている作品だった、と言うのが大きかったと思う。

もひとつついでに、2年ほど前に金沢旅行をした際、たまたま立ち寄った書店に「金沢と東尋坊を舞台にした作品だよ」と言うようなポップが出てて印象に残っていたのもある。

「ボトルネック」
著者:米澤穂信
出版社:新潮社(新潮文庫刊)
初版:平成21年10月1日

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した……はずだった。 ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人 間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。
(新潮社「ボトルネック」紹介ページより引用)

さて、それでは、キングの「グリーン・マイル」はどんな物語だったのか、と言うと、強引にまとめると次のような作品だと言える。

ジョン・スタインベックの「二十日鼠と人間」をベースに、ポール・エッジコム(使徒パウロのメタファー/「二十日鼠と人間」ではジョージ・ミルトン)がジョン・コーフィ(J・C、イエス・キリストのメタファー/「二十日鼠と人間」ではレニー・スモール)の起こす奇跡を目の当たりにし、パウロ同様、目からうろこを落とし、コーフィの奇跡を後世に伝えること(伝道)を義務付けられ、結果的にポール自身が、あまりにも永いグリーン・マイル(もちろん人生のメタファー)を歩かされる破目に陥ってしまう物語である。

なお余談だが、フランク・ダラボンの映画「グリーン・マイル」では、原作で最も重要な部分が見事に抜け落ちてしまっている。

さて、「ボトルネック」だが、最後の最後までわたしが感じていたのは、話題の作品のわりには普通だな、なんだか知らないけどやたらとジュブナイル色が強いな、主人公の覇気の無さは異常だな、異世界の姉は面白がり過ぎたな、と言う印象で、ありがちなパラレルワールドを題材にしたある種のミステリーだと思っていた。

そして、その印象が一変する瞬間がやってくる。
具体的な内容はここでは説明しないが、文庫版293pからの展開が強烈である。

そう、フランク・ダラボンが描かなかった「グリーン・マイル」の本質がそこにあったのだ。

新潮文庫版「ボトルネック」の巻末に掲載されている村上貴史の解説によると、米澤穂信は1997年に本作「ボトルネック」の基となるアイディアを着想したらしい。
1997年と言えば、奇しくもキングの「グリーン・マイル」の翻訳が新潮社(新潮文庫)から6ケ月連続で出版された年でもある。

当時、米澤穂信がキングの「グリーン・マイル」を読んでいたかどうかはわからない。
しかし、もし読んでいたとして、2000年に日本公開されたフランク・ダラボンの映画「グリーン・マイル」を見て、ダラボンのバカたれ、一番大事な部分を割愛しやがって、そんならオレが書いてやる、と憤って「ボトルネック」を書いたのであれば、わたしはとっても嬉しい気持ちがする。

ところで、このブログに来る人は「グリーン・マイル」を読んでいて、映画「グリーン・マイル」を見ていると思う。
そんな人には「二十日鼠と人間」「ボトルネック」を是非読んでいただきたいと思う次第である。

余談だけど、「ボトルネック」の金沢の街の描写は凄い。
本当に金沢の街を歩いているような気がした。

因みに先ほど話した金沢旅行の際には、2010年3月に廃止された寝台特急「北陸」を利用した。
当時の寝台特急「北陸」はガラガラだったぞ。

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2010/01/24

「Dr.パルナサスの鏡」をめぐる冒険

「Dr.パルナサスの鏡」
今日は例によって、あらゆるモノがスティーヴン・キングの影響を受けている、と言うキングファンの妄想的エントリー。(ネタバレはほとんどありません。ご心配なく)

2009/01/23 東京有楽町「TOHOシネマズ有楽座」で「Dr.パルナサスの鏡」を観た。

「Dr.パルナサスの鏡」
監督:テリー・ギリアム
脚本:テリー・ギリアム、チャールズ・マッケオン
出演:ヒース・レジャー(トニー)、クリストファー・プラマー(パルナサス博士)、ジョニー・デップ(鏡の向こうのトニー#1)、ジュード・ロウ(鏡の向こうのトニー#2)、コリン・ファレル(鏡の向こうのトニー#3)、リリー・コール(ヴァレンティナ)、アンドリュー・ガーフィールド(アントン)、ヴァーン・トロイヤー(パーシー)、トム・ウェイツ(Mr.ニック)

2007年、ロンドン。
パルナサス博士(クリストファー・プラマー)が率いる旅芸人の一座が、街にやって来た。博士の出し物は、人が密かに心に隠し持つ欲望の世界を、鏡の向こうで形にして見せる「イマジナリウム」。博士の鏡をくぐりぬけると、そこにはどんな願いも叶う摩訶不思議な迷宮が待っている。

かし、1000歳になるという博士には、悲しい秘密があった。それは、たった一人の娘ヴァレンティナ(リリー・コール)が16歳になったときに悪魔ニック(トム・ウェイツ)に差し出すという約束をしたこと。
タイムリミットは3日後に迫った娘の誕生日。一座に加わった記憶喪失の青年トニー(ヒース・レジャー)とともに、博士は、鏡の迷宮で最後の賭けに出る。彼らは、娘を守ることができるのか──?

(オフィシャル・サイトよりほぼ引用)

先ずは本作「Dr.パルナサスの鏡」が大変素晴らしい作品に仕上がっている事を素直に喜びたい。
とは言うものの、ヒース・レジャーの本作撮影中の急逝(2008/01/22)により、「The Man Who Killed Don Quixote(ドン・キホーテを殺した男)」のプロジェクト同様、映画自体の完成すら危ぶまれていたのだが、その危機もレジャーの親友たち(ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル)の貢献で、見事に克服した事は皆さんご存知の通りである。

さて、本作「Dr.パルナサスの鏡」についてだが、物語のコンセプトはテリー・ギリアムお得意、1人の少女を助けるために騎士(ナイト)が大活躍する、と言う騎士道物語。フィリップ・マーロウの物語と同様である。

美術や物語の構成から考えると、物語のコンセプトは前述のように「未来世紀ブラジル」(1985)で、物語のテイストは文字通り「バロン」(1989)や「バンデットQ」(1981)というようなイメージで、ある意味本作は、ギリアム映画の集大成で、かつギリアムの代表作、と言うような印象を受ける。

ギリアムとチャールズ・マッケオンの脚本も大変素晴らしく、伏線がカチっとはまってくる感じは見事である。(1月23日公開なので、詳細は割愛するが、感涙ものの脚本である)
また、ギリアムの独特なイマジネーションを実現する美術や衣装の素晴らしさと相まって、本当に素晴らしい映像体験をお約束する。

とは言うものの、本作がCGIを全く使わずに、セットやミニチュア、VFXで制作されたとしたら、本当に強烈に素晴らしい作品に仕上がったのではないか、と思えてならない。

わたしは、「バンデットQ」からのテリー・ギリアムファンだが、かつての傑作群と比肩する本作の仕上がりには大満足である。

キャストは曲者揃いで、クリストファー・プラマー(パルナサス博士)、トム・ウェイツ(Mr.ニック)、ヴァーン・トロイヤー(パーシー)の絡みが素晴らしい。

プラマーには全く言うことがなく、大変素晴らしいし、トム・ウェイツも素晴らしい。コッポラの「ドラキュラ」(1992)のレンフィールド役以来の最高の出来だと思う。

そして、「オースティン・パワーズ」シリーズのミニ・ミーでお馴染みのヴァーン・トロイヤーが大活躍しているのが嬉しい。「チャーリーとチョコレート工場」(2005)のディープ・ロイなみに人気がでるのではないか、と思った。

また、ヒロイン役のリリー・コール(ヴァレンティナ)も素晴らしい存在感をフィルムに定着させている。ルックスはデボン青木似だが。「バロン」のサラ・ポリーもビックリのヒロイン振りが楽しめる。

ヒース・レジャー(トニー)、ジョニー・デップ(鏡の向こうのトニー#1)、ジュード・ロウ(鏡の向こうのトニー#2)、コリン・ファレル(鏡の向こうのトニー#3)もそれぞれ素晴らしいが、驚くべき事に全く違和感がない。
マスクを被っていたら、どこのシーンを誰が演じているのかわからない程、ヒーン・レジャーのテイストを3人が3人とも再現している。自分らしさを出さない演技に恐れ入る。

さて、キングの影響だが、物語の内容に触れないように、影響を受けていると思われる作品名をお知らせする。
「グリーン・マイル」「スティーブン・キングの悪魔の嵐」「デッド・ゾーン」

とにかく、本作「Dr.パルナサスの鏡」は大変素晴らしい作品である。
是非劇場にダッシュである。

余談だけど、エンドクレジット後におまけ付き。

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