2008/07/20 東京新宿「新宿バルト9」で「Queen Rock Montreal cine sound ver.」 を視聴した。
本作「Queen Rock Montreal cine sound ver.」 は、Queen(クイーン)の1981年のカナダモントリオールのライヴ映像を修復し、同時に音源も5.1chにリマスターしたものを劇場の最高級音響システムで楽しめる、と言う優れもの。
何故、当「スティーヴン・キング研究序説/ココログ分室」 でQueenのお話をエントリーするかと言うと、Queenのリード・ヴォーカルのフレディ・マーキュリーは、スティーヴン・キングの短編「いかしたバンドのいる街で」 に登場しており、ロック好きのキングはどう考えてもQueenの影響を受けていると個人的に思うから。
ついでに、King & Queenで語呂が良いから。
閑話休題。
■映像 先ず驚いたのは、本作「Queen Rock Montreal cine sound ver.」 の 映像のクオリティの高さである。 と言うのは、映像のマスターとなる1981年のモントリオールのライヴ映像は、なんと35mmフィルムで撮影されていた、と言うのだ。 35mmフィルムと言えば、皆さんご承知のように、劇場公開される映画フィルムである。
普通に撮影して、普通に編集して、普通に音を付けたら普通に映画になってしまう、と言うクオリティを持つ、35mmフィルムの映像マスターを発見できたのは、とんでもないほどの幸運だったと思う。
従って、今回の映像は元々、劇場で上映できる程度のクオリティを持っている、と言うことである。因みに、ビデオ撮影だったらこうは行かないぞ。
そのクオリティは、フレディのヒゲや胸毛、背中の毛とかの一本一本をスクリーン上で識別できる程のクオリティなのである。
本作の映像は、1981年の撮影ではなく、あたかも現代のライヴ映像のような印象すら受けてしまう。
余談だがこの映像のマスターは「We Will Rock You」 のタイトルでTHX版のDVDが2001年に北米でリリースされており、わたしはこれも持っている。
因みに、1986年のブダペストも35mmフィルムで撮影されているので、オリジナル・フィルムを見つけてレストアすれば、またQueenのcine sound ver.が出来るかも。
■音響 上映が終わって気付いてみると、耳がおかしくなっていた。 丁度ロック・コンサートの後のように。
わたしは結構たくさんの映画を劇場で観る方だが、こんな風に耳がおかしくなるような作品には出会ったことはない。 唯一の例外はデヴィッド・リンチの「イレイザーヘッド/完全版」 かな。
つまり、通常の映画のフォーマットでは劇場の音響のスペックの一部しか利用していない、と言うことである。
ロック・コンサートなんかに行くと「音」と言うより「空気の塊」が自分にぶつかってくるような体験をしたことがある人がいると思うのだが、本作はそんな体験すら出来てしまう。
もちろん、実際のロック・コンサートの迫力にはやはりかなわないが、本作は、「空気の塊」的な「音圧」を感じることが出来るほどの音響効果を備えていた。
フレディのヴォーカルは勿論、ブライアン・メイのギター(ギターオーケストレーション)は、自分でミックスやり直しているだけあって、なんとも格好良い。
ところで、先ほどお話しした「We Will Rock You」 の北米版DVDは、ミキシングが若干へぼでいまいちである。なんとも非常に軽薄な印象を受けてしまう。またリバーブもあまり感じられない。いくらTHX盤とは言え、ミキシングが非常に残念な感じである。リバーブもね。
■構成 ライヴの構成だが、オープニングの楽曲がいきなり「We Will Rock You」 でビックリした。
現在、わたし達がよく見るクイーンのパフォーマンスは1986年のウェンブリー・スタジアムか同年のブダペストだと思う。日本人だったら、1985年の国立代々木競技場かな。
つまり、わたし達は「One Vision」 から始まるライヴ(マジック・ツアー)を比較的よく見ている訳だ。 従って、「We Will Rock You」 からライヴが始まってしまうと、ライヴの最後の部分に「We Will Rock You」 を使わないのではないか、ロジャー・テイラーのドン・ドン・パンはないのかよ、と思ってしまった訳なのだ。
しかしそれはわたしの杞憂に過ぎなかった。 お察しの通り、ロジャーのドン・ドン・パンは健在だった。
さて、ラ
イヴの構成は、1986年のウェンブリーやブダペストの構成とほぼ同じで、最初からトップギアでぶちかまして、しばらくたってから、アコースティック・ギターで泣かせつつ観客に当然のように歌わせ、ギター・ソロ、ドラム・ソロで
はメンバーそれぞれが休憩し、後年「リロ・リロ・レーロ」に進化するフレディと観客の掛け合いは「イェー」とか「オーライ」とかだった。 この頃は、「リロ・リロ・レーロ」へ
の過渡期にあたるのだろうか。
また、ラストの「We Will Rock You」 から「We Are The Champions」 、「God Save The Queen」 の構成はいつもの通り。 これらの3曲が終わったら、赤子が泣いても、女王様が土下座しても彼らを舞台の袖から引っ張り上げる事はできないのだ。
余談ですが、「We Will Rock You」 の国旗のパフォーマンスはなかった。
■ファッション 相変わらずの統一感のないファッションは健在。 フレディの「スーパーマン」 のタンクトップはともかく、ブライアン・メイのガラモノのシャツはどうよ。もしかしたら「イニュエンドゥ」のフレディのネコベストの元ネタか? フレディのアディダスも健在。ブライアン・メイはナイキでした。 余談だけど、ジョン・ディーコンの短パンは残念ながらありませんでした。
■フレディのアクション おそらく、最近のクイーンファンはフレディのアクションを見た事ないんじゃないかと個人的に思う。 何しろ、フレディがロックンロール・ヘブンに逝ってからかれこれ17年ですからね。 Queenの楽曲やフレディの声は知っていても、フレディが頭が薄くなりかけた小太りで出っ歯のオヤジだとは思っていないのではないかと思ったりもします。
しかしながら、今回の「Queen Rock Montreal cine sound ver.」 を機に、 世界一格好いいマイク・アクションと人類史上最高のヴォーカリストを堪能していただきたい。
余談だが、マイクはワイヤレスではなく、有線でした。
アクションと言えば、ロジャーのドラム・ソロからティンパニ・ソロへの流れも凄かった。 ロジャーは最後に腕立て伏せもするしね。
とにかく、本作「Queen Rock Montreal cine sound ver.」 は、機会があれば是非劇場で、絶対的に劇場で楽しんでいただきたい作品だと思います。
チケットは2,900円と、ちょっち高いけど、モトは全然取れると思うよ。
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