さあ、今日はキングファンの、全ての事象はキングの影響を受けている、という妄想的エントリーだよ。
さて、今日俎上に載せるのは、映画化で話題沸騰中の湊かなえの「告白」だよ。
「告白」
著者:湊かなえ
出版社:双葉社
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
【特別収録】中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。
(文庫版背表紙より引用)
さて、今日の本題。
「告白」のどの辺がスティーヴン・キングの影響を受けているか、というと、わたしが思うに次の2点。
本作「告白」は、スティーヴン・キングの「ドロレス・クレイボーン」と同様にモノローグで物語が語られている点。
そして「告白」は、「ドロレス・クレイボーン」の映画化作品の邦題「黙秘」との類似性が感じられる点。
ところで、本作「告白」の物語は、次々と語り手が変わる全6章からなるモノローグで構成されている。
手法としては、黒澤明の映画「羅生門」の原作である芥川龍之介の「藪の中」や近年では貫井徳郎の「プリズム」と言った作品と同様に複数の視点からひとつの事件を再構築していく手法が取られている。
本作「告白」で興味深いのは、起きてしまった過去の事件を複数のモノローグで振り返り、再構築するのではなく、現在進行形の事件を描いている点であろう。
個人的な印象としては、「告白」は序盤から中盤までは非常に面白いのだが、結末のつけ方が急転直下過ぎ、リアリティの欠如が感じられてならない。もう少しソフトランディングにするとか、もう1章追加した方が良かったのではないか、と思った。
ラストの章をエピローグにしても良かったんじゃないかな、と思った。
さて、キングの影響をどのように受けているか、という話なのだが、先ず思ったのは「告白」と言うタイトルだが、タイトルを知った時点で、もしかしてこれ、「黙秘」の裏返しじゃないのかな、と内容も知らず単純にそう思った。
で、実際に読んでみると、なんと「告白」の手法は全編モノローグなので、こりゃ「黙秘」とその原作である「ドロレス・クレイボーン」の影響を受けてるんじゃないの、と思った次第である。
まあ、基本的にキングファンの妄想だと思ってもらって構わないのだが、今回のエントリーの妄想指数は低いと思う。
つまり、湊かなえの「告白」はキングの影響を確実に受けていると思えるのだ。
関心がある方は是非読んで見ていただきたい。
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