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2012年4月22日

クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ「這いよれ!ニャル子さん」放送開始!

「這いよれ!ニャル子さん」オフィシャルサイト/スクリーンショット
2012年4月19日に日刊サイゾーが伝えるところによると、日本国内にはクトゥルフ神話ブームがきている模様。

クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ「這いよれ!ニャル子さん」

記録のため、全文を引用する。

クトゥルフ神話がブームである。

……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。  

「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。  

これだけじゃなんのことかわからん人は、「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは「機動戦士ガンダム」。最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。  

「斬魔大聖デモンベイン」という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。この4月より放送が始まった「這いよれ!ニャル子さん」(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。  

原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を「ToLOVEる」「かのこん」「れでぃ×ばと!」「えむえむっ!」など、明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。

ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。  

コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、
「這いよれ!ニャル子さん」第1話の放送直後には、創元推理文庫の「ラヴクラフト全集」第1巻がAmazonランキングを急上昇。ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!   

……(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー!
(文=麻枝雅彦)

「這いよれ!ニャル子さん」
監督:長澤剛
原作:逢空万太 「這いよれ!ニャル子さん」(GA文庫/ソフトバンク クリエイティブ刊)
声の出演:ニャル子(阿澄佳奈)、八坂真尋(喜多村英梨)、クー子(松来未祐)、ハス太(釘宮理恵)、シャンタッ君(新井里美)、ルーヒー・ジストーン(國府田マリ子)、八坂頼子(久川綾)、余市健彦(羽多野渉)、暮井珠緒(大坪由佳)、ニャル夫(草尾毅)、ノーデンス(島田敏)

2012年4月9日 テレビ東京ほかにて、アニメーション作品「這いよれ!ニャル子さん」の放送が始まって、こりゃもしかしてラヴクラフト売れるんじゃねーの、と冗談で言ってたら、どうやら本当に売れてるらしい。

身近な話題でも、知り合いの読書家の高校生のお子さんが「うちにクトゥルー神話の本ある?」と尋ねてきた、と言う話を聞いたり、昨日も飲み会で、東京創元社も「ラヴクラフト全集」に『これが「這いよれ!ニャル子さん」の原典だ!』とか言う帯でも付けたらバカ売れするんじゃねーの、と言う話をしたばかりである。

ところで、最近の映像作品の傾向として、古典的作品の映像化やその翻案がよく行われている。

しかし、その作品に触れて、視聴者が原典に遡ろうと思うかどうかは、その作品のスタンスによって異なるようだ。

例えば、最近公開された映画「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」やその前作である「シャーロック・ホームズ、または話題のアニメーション作品「探偵オペラ ミルキィホームズ」を観たとしても、アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズを読もうとは誰も思わないと思う。

おそらく、2012年4月に北米公開予定になっているエドガー・アラン・ポーの「大鴉」を題材にした映画化作品「The Raven」を観たとしても、おそらくポーの作品を読もうとは思わないのではないだろうか。

それでは何故「這いよれ!ニャル子さん」を観た人がラヴクラフトやクトゥルフ神話体系に属する作品を読みたくなるのだろうか。

もし、この謎が解けば、手法によっては、翻訳小説もバカ売れするんじゃないのかな。

何故「這いよれ!ニャル子さん」を観た人がラヴクラフトを読みたくなるのか。

先ずは「這いよれ!ニャル子さん」は他の作品からの引用が非常に多いアニメーション作品である、と言うこと。

引用やパロディ、オマージュやリスペクトが多い作品に触れ、その作品の引用元のことを知らなければ、それを知りたい、と思うのは普通のことだと思う。

その引用だが、もちろん本作「這いよれ!ニャル子さん」はラヴクラフト作品やクトゥルフ神話体系からの引用が多いのだが、それ以外の作品からの引用も多い。例えば、興味深い事に「機動戦士ガンダム」からの引用も結構多い。しかし、だからと言って原典の「機動戦士ガンダム」にあたろうとは誰も思わないだろう。あぁこれは「機動戦士ガンダム」のパロディなんだな、と言うことがわかれば十分なのである。

しかし、ラヴクラフトやクトゥルフ神話体系からの引用については、引用だと言う事はわかっても、その引用元ではどのような設定なのか、どのような描写になっているのか、と言うことがおそらく知りたくなるのだろう。

これはやはり、大きな謎だとは思うのだが、おそらくクトゥルフ神話体系が世界中の人々を虜にしている所以だ、と言うこともできるだろう。

また、もうひとつ考えられるのは「這いよれ!ニャル子さん」はコメディ作品と言うこともあり、--作者によるとラブコメ(ラブクラフトコメディ)と言うことらしい--、作品に触れる敷居が低い割には、パロディとしての質が高いところもひとつの理由かも知れない。

ラヴクラフト好きにとっては非常に笑える作品だと思うし、そのパロディは非常によく考えられていると思う。

まあ、とにかく「這いよれ!ニャル子さん」は、不思議な魅力を持った作品であることは確かなので、しばらく見守って行きたいと思っている。

創元推理文庫版「ラヴクラフト全集」
因みに、手元にある創元推理文庫版「ラヴクラフト全集」をみてみたら、背の色が白の版と黒の版があるんですね。
ついでに、背の書名のフォントも、黒版はゴシック体で、白版は明朝体ですね。

実は「ラヴクラフト全集」は実家にもう1セット持ってるんですが、そっちは多分全部黒背だったと思うんですが。

どう言う経緯なんでしょうか。謎ですね。

@tkr2000
@honyakmonsky

余談だけど、「クトゥルー/クトゥルフ神話作品発掘記」「這いよれ!ニャル子さん」のパロディの引用元に詳しいので紹介しておく。

ニャル子さん第一話のクトゥルフネタ全部解説

ニャル子さん第2話のクトゥルフネタ全部解説

ニャル子さんから入った人のためのお薦めクトゥルフ神話作品

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