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2012年8月28日

「クトゥルフ神話への招待」と「影が行く」

「クトゥルフ神話への招待」と「影が行く」
「遊星からの物体X」
(1982)の前日譚、つまり〈エピソード0〉にあたる「遊星からの物体X ファーストコンタクト」(2011)が公開され、「這いよれ! ニャル子さん」(2012)のアニメ化に端を発する何度目かの〈クトゥルフ神話〉ブームが到来している中、ジョン・W・キャンベル・ジュニアの原作小説の翻訳出版が相次いでいる。

その時系列は次の通り。

2012年7月13日
「影が行く ホラーSF傑作選」(創元SF文庫)新装版出版
(「影が行く」翻訳:中村融)

2012年8月4日
「遊星からの物体X ファーストコンタクト」日本公開

2012年8月10日
「クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X」(扶桑社ミステリー文庫)出版
(「遊星からの物体X」翻訳:増田まもる)

ところで、「クトゥルフ神話への招待」(翻訳・編纂:尾之上浩司)と題するアンソロジーに「遊星からの物体X」と言うタイトルで、ジョン・W・キャンベル・ジュニアの「影が行く」と言うタイトルで知られる原作小説が収録されている事については違和感を感じる方も多いと思う。

と言うのも、ジョン・W・キャンベル・ジュニアが〈クトゥルフ神話体系〉の影響を受けて「Who Goes There?」(「影が行く」「遊星からの物体X」の原題)を執筆したのかどうか議論があるからだ。

そのあたりについて、「クトゥルフ神話への招待」の尾之上浩司のあとがき「クトゥルフ神話の多様性を求めて」が興味深い。

印象的な部分を引用する。

「遊星からの物体X」がラヴクラフトの影響下で書かれているのかどうかについては、かなりまえからいろいろと議論されてきているが、たとえば近年、精選クトゥルフ・アンソロジーをコンスタントに発表しているロバート・M・プライス氏は、アンソロジー「The Antarktos Cycle」(1999)にこれを収録し『ラブクラフトの「狂気の山脈にて」に触発された可能性が充分にある』と綴っている

さてぼくは「狂気の山脈にて」だけでなく、ラヴクラフトと、彼の〈クトゥルフ神話〉へのトリビュートとして、キャンベル・ジュニアはこれを書いたのではないかと思っている。そもそも、これが発表されたのはラヴクラフトが亡くなった1973年の翌年、1938年ではないか。

ということで、過去にすでに二度「影が行く」の邦題で矢野徹氏、中村融氏の定番訳があるのはわかったうえで、今回、〈クトゥルフ神話〉としての目線でこれを訳したら、ちがうものが見えてくるのではと考え、こちらのほうにも造詣が深い、増田まもる氏に新訳を担当していただいた。増田氏いわく『いままでわからなかったものが、見えてきましたよ』とのこと。それがどういうことなのかは、じかに作品をお読みいただきたい。

と言う訳で、わたしは折角なので、中村融訳の「影が行く」と増田まもる訳の「遊星からの物体X」を読み比べてみた。

そのあたりのお話は後日。

ところで、新装版「影が行く」の1,260円と言うのは、ちょっと高過ぎますよね。書店のレジでびっくりしましたよ。一方「クトゥルフ神話への招待」は840円で安いですよね。

余談だけどわたしは、〈Cthulhu〉の日本語表記は〈クトゥルフ〉派。

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