評論社文庫っぽい「ホビット」が!?
先日、書店をふらふらしてびっくりしたことがある。なんとJ・R・R・トールキンの「ホビット」の文庫版が平積みされていたのだが、その装幀は評論社の「指輪物語」にそっくりだったのだ。
おや、評論社さん「指輪物語」の装幀にあわせて「ホビット」も出したのね。
と思ったら「ホビット」は原書房の文庫でした。
「新版 ホビット ゆきてかえりし物語 第四版・注釈版」
著者:J・R・R・トールキン
訳者:山本史郎
偶然じゃないですよね。多分。
「ホビット」第四版について。
ファンタジー界の金字塔『指輪物語』誕生のきっかけとなったのが本書。著者トールキンがわが子のために書いた童話で、初版は1937年。その後、続編となる大作『指輪物語』を書き進めるトールキンは、物語の整合性のため、前編ともいうべき『ホビット』に手を加え、2度3度と版を改めている。
51年版にはすでに邦訳があるが、本書は、アメリカのトールキン研究者ダグラス・A・アンダーソンが66年版をベースに、テキスト改訂の歴史をたどり注釈版として88年に出版したもので、本邦初の翻訳。言ってみれば『ホビット』の決定版である。
特徴としては、著者自身によるイラストや、世界各国の翻訳版からの多様な挿絵が豊富に収められているところ。そして、行間にときどき打たれる注ナンバー。これは面倒であれば当然無視してかまわないが、本書は「注釈版」と銘を打つもの。トールキンファンにとってはここがもっともおいしいところともいえる。たとえば、闇の森を抜けて進むビルボが、巨大なクモの群れにお団子にされた仲間のドワーフたちを勇猛果敢に救出するくだりには、トールキンの談話としてこんな注釈がついている。「話に蜘蛛の顛末をいれたのは、(中略)とくに息子の1人が激しく蜘蛛嫌いなのです。この子をすっかり怖がらせてやろうと思って書いたのですが、この企みはまんまと成功しました」。本書は「トールキン通」への道を約束してくれるだろう。(祐 静子)
ハードカバー版「ホビット―ゆきてかえりし物語 [第四版・注釈版] 」の紹介文より。
まあ、これハードカバー版が出た際、翻訳が悪いと話題になったんでしたよね。新版で映画化にあわせて文言の統一はされているようですが。
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