「合衆国最後の日」はヴァン・ダインの影響を!?
さて、今日は全ての事象は翻訳小説の影響を受けている、と言うホンヤクモンスキーの妄想的エントリー。
今日、俎上に乗せるのは、ロバート・アルドリッチ監督作品「合衆国最後の日」 。
2012年11月8日 東京渋谷《シアターN渋谷》でロバート・アルドリッチ監督作品「合衆国最後の日」を観た。
「合衆国最後の日」
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ウォルター・ウェイジャー
脚本:ロナルド・M・コーエン、エドワード・ヒューブッシュ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:バート・ランカスター(ローレンス・デル)、リチャード・ウィドマーク(マーティン・マッケンジー将軍)、チャールズ・ダーニング(アメリカ合衆国大統領)、ジョセフ・コットン(アーサー・レンフルー)、ジェラルデ・S・オローリン(オルーク)、ポール・ウィンフィールド(ウィリス・パウエル)、バート・ヤング(オージー・ガルバス)、メルヴィン・ダグラス(ザカリア・ガスリー)、ロスコー・リー・ブラウン(ジェームズ・フォレスト)、リーフ・エリクソン(ラルフ・ウィテカー)、エド・ビショップ(フォックス少佐)あらすじ:1981年11月16日 刑務所を脱獄した4人の男がモンタナ州のタイタン・ミサイル基地に潜入。首謀者は基地の設計者でもある元空軍大佐のデル。彼はベトナム戦争に関わる国家機密文書の公開と逃走資金1000万ドル、そして人質として大統領の身柄を要求した。だがホワイトハウスでは協議によってデル達の抹殺が決定、司令センターの責任者マッケンジー将軍によってその計画が実施されようとしていた。そして、事態を察知したデルは遂にソ連へ向けてミサイル発射の準備に入った!
さて、ここからが今日の本題、ロバート・アルドリッチ監督作品「合衆国最後の日」 のどの辺がヴァン・ダインなのか。
わたしは以前から「合衆国最後の日」について疑問に思っていた事がある。
クライマックスの狙撃シークエンスはS・S・ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」の影響を受けているのではないか。
つまり、ひいてはマザー・グースの「駒鳥のお葬式/誰が駒鳥殺したの("Who Killed Cock Robin")」の影響を受けているのではないか、と。
と言うのも、「合衆国最後の日」のクライマックスシーンに登場する3人の狙撃兵は鳥の名前のコードネームを持っているのだ。
逃亡のため大統領(中央/チャールズ・ダーニング)を人質にエアフォースワンに向かうミサイル基地襲撃者たち(左/バート・ランカスター、右/ポール・ウィンフィールド)。
それでは、登場順に狙撃兵を紹介して行こう。
マザー・グースの「駒鳥のお葬式」とヴァン・ダインの「僧正殺人事件」の物語構造を合わせて考えると、「合衆国最後の日」のスパローは、弓で射るわけではなくライフルで狙撃する、と言う齟齬があるものの、これは許容範囲であろう。
しかしながら、狙撃されるのはロビンではなく、「合衆国最後の日」のロビンは狙撃手の1人として描かれているのだ。
ここでわからなくなる。
「合衆国最後の日」は「僧正殺人事件」の、ひいては「駒鳥のお葬式」の影響を受けているのかが。
個人的には影響を受けていると思うけどね。
しかし、「合衆国最後の日」のラストについては書けないので、これ以上の考察は難しいが、ロビン(駒鳥)は、イギリスの国鳥とされていることを付け加えておく。
そんな事を考えながら、わたしは「合衆国最後の日」を観ている訳である。
「合衆国最後の日」は映画史に残る素晴しいポリティカル・サスペンスの大傑作であるし、わたしの映画人生が始まるきっかけとなった一本の作品でもある。
機会があれば、是非劇場へ!
DVDも出てるよ。
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