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2013年8月 4日

「機械男」を読み解くためのメモ その1

2013年7月27日に開催された《第7回ネタバレ円卓会議》に参加した。
課題書はマックス・バリーの「機械男」だったので、ネタバレ円卓会議向けに色々考えたことを紹介します。

「機械男」

「機械男」
著者:マックス・バリー
訳者:鈴木恵
出版社:文藝春秋

概要:機械を愛するあまり自分を機械化した理系オタク技術者を軍事企業が狙う。初めてできた彼女を守るため、機械男は死地へ赴く!

編集者コメント:映画「ブラック・スワン」のダーレン・アロノフスキーによる映画化が決定しているのが、この「機械男」。雑誌「ワイアード」が絶賛を送る、あまりに21世紀的な理系サスペンスの傑作です。題名どおり自分の身体を機械化してゆく青年エンジニアが主人公。いわば「ロボコップ」ならぬ「ロボオタク」、生まれてはじめてできた彼女を軍事産業の陰謀から守るため、彼は機械の身体を駆使して死地へ飛び込んでゆきます。皮肉な現代批判に切ない恋愛を載せてサスペンスフルに突き進む快作です。(SN) (文藝春秋の「機械男」紹介ページより引用)

◆チャールズ・ニューマン (Charles Neumann)について

1.Neumannについて その1

本書「機械男」の主人公の名前はチャールズ・ニューマン (Charles Neumann)であり、興味深い事にニューマンの綴りは《Newman》ではなく《Neumann》。

ほとんどの日本の読者はニューマンを《Newman》だと思って「機械男」を読んでいたのではないかと思う。しかし、ニューマンは《Neumann》だったのである。

ここで考えたのは《neu》について。

《neu》はどう考えても《神経》を表している。

本書のタイトルは「機械男("Machine Man")」だと言うのに主人公の名前は、言うならば「神経男("Neu Mann")」

読者は「機械男」を読んでいるつもりだが、実は「神経男」を読まされているのだ。

「機械男」の主人公チャールズ・ニューマンの名前には、恐ろしいミスデレクションと恐ろしい伏線が含まれていたのだ。

2.Neumannについて その2

わたしはこれには気が付かなかったのだが、《Neumann》の綴りはジョン・フォン・ノイマンのノイマンの綴りと同一であった。これは、@Gravity_Heavenさんの指摘によるもの。

ここで物語が一気に変貌する。

と言うのもジョン・フォン・ノイマンとは現代のコンピュータの基礎となるノイマン型コンピュータの提唱者である。

ノイマンが提唱したノイマン型コンピュータとは、現代のコンピュータの基礎となるものである。

ノイマン型以前のコンピュータは、ハードウェアとソフトウェアが一体化していたため、異なる計算を行うためには配線の変更が必要だった。

しかし、ノイマン型コンピュータは、プログラムを入れ換える事により様々な計算を行う事が可能になった。これはハードウェアの上にソフトウェアを乗せる形式の汎用型コンピュータの誕生だったと言える。

本書「機械男」でニューマンは、ソフトウェアたる頭脳、精神、神経にハードウェアたる《美脚》をはじめとした様々なパーツを取り付ける。

ノイマンのアプローチは、ハードウェアにソフトウェアを乗せる、と言うものだったのだが、ニューマンのアプローチはソフトウェアにハードウェアを接続する、と言うものである。

これは非常に興味深いものを感じる。

3.Charlesについて

これは単純である。

「機械男」の物語は、チャールズ・ニューマンが、一旦は全てを得るが、最終的には全てを失う、と言う物語構造を持っている。

もちろんラストの解釈はいろいろとあると思うが。

ここで考えられるのは、主人公の名前が何故《Charles》だったのか、と言う事だが、これはダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」のチャーリー・ゴードンへの言及だと思わざるを得ない。

ご存知の通り「アルジャーノンに花束を」のチャーリーは、全てを得た上で全てを失うキャラクターとして描かれている。

ここからの「機械男」の解釈も興味深いと思う。

今日はここまで。

@tkr2000
@honyakmonsky

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