リチャード・マシスンの「二万フィートの悪夢」の3度目の映像化作品「三万フィートの戦慄」が独占日本初放送
2020年11月23日からスーパードラマTVで独占日本初放送される「トワイライト・ゾーン」(2019)の第2話として、リチャード・マシスンの短篇「二万フィートの悪夢」("Nightmare at 20,000 Feet")の3度目の映像化作品「三万フィートの戦慄」("Nightmare at 30,000 Feet")が11月30日に独占日本初放送される。
「二万フィートの悪夢」
著者:リチャード・マシスン
訳者:尾之上浩司
出版社:早川書房 ハヤカワ文庫NV「運命のボタン」に収録。
初出:"Alone by Night"(1961) "Nightmare at 20,000 Feet"
「三万フィートの戦慄」
監督:グレッグ・ヤイタネス
原作:リチャード・マシスン
脚本:マルコ・ラミレス
出演:アダム・スコット、クリス・ディアマントポロス、ケイティー・フィンドレイ
あらすじ:ジャーナリストのジャスティン(アダム・スコット)は取材のため、飛行機でワシントンDCからテルアビブへ向かおうとしていた。空港から妻に電話すると渡航に反対だと言う。実はジャスティンは以前、イエメンでの取材で精神的ショックを受けPTSDに苦しんでいた。精神科医から教わった「過去は過去」という言葉を呪文のように唱えジャスティンは機内に乗り込む。
さて先ほどお話ししたように今回の「トワイライト・ゾーン」(2019)の第2話「三万フィートの戦慄」はリチャード・マシスンの短篇小説「二万フィートの悪夢」の3度目の映像化である。
1度目の映像化は、日本国内では「未知の世界」または「ミステリー・ゾーン」と言うタイトルで放送された"Twilight Zone"(1959-1964)の第123話(シーズン5 第3話)「二万フィートの戦慄」("Nightmare at 20,000 Feet")。
「二万フィートの戦慄」("Nightmare at 20,000 Feet") (1963)
監督:リチャード・ドナー
原作:リチャード・マシスン
脚本:リチャード・マシスン
出演:ウィリアム・シャトナー、クリスティン・ホワイト
あらすじ:6か月の入院を終え、退院したばかりの男(ウィリアム・シャトナー)は、飛行機で家路につく。だが、窓の外を見ると、翼の上に生き物が乗っているのを目にする。男は驚いて妻(クリスティン・ホワイト)に話すのだが・・・・。
本作「二万フィートの戦慄」(1963)は、クリーチャーの造形は残念ながら今ひとつなのだが、ウィリアム・シャトナーの鬼気迫る演技が大変素晴らしく、現在までも非常に評価が高い作品である。
「宇宙大作戦」("Star Trek")(1966-1969)においてエンタープライズ号のカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーの狂気に満ちた演技が素晴らしい。特にこの目がギラギラとした感じが素晴らしい。
興趣をそぐのでクリーチャーの写真は紹介しないが、ウィリアム・シャトナーの演技が良い分、クリーチャーの造形といい動きといい、もうちょっとなんとかならなかったのか、と思えてならない。
さて2度目の映像化だが、これはなんとスティーブン・スビルバーグ、ジョン・ランディス製作の映画「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)の第4話「2万フィートの戦慄」("Nightmare at 20,000 Feet") (1983)。
「2万フィートの戦慄」("Nightmare at 20,000 Feet") (1983)
製作:スティーブン・スピルバーグ、ジョン・ランディス
監督:ジョージ・ミラー
原作:リチャード・マシスン
脚本:リチャード・マシスン
出演:ジョン・リスゴー、アビー・レーン、ドナ・ディクソン、ジョン・デニス・ジョンストン、クリスティナ・ニグラ、チャールズ・ナップ、ダン・エイクロイド
あらすじ:飛行機恐怖症のジョン・ヴァレンタイン(ジョン・リスゴー)は、飛行中の旅客機内でパニックに襲われていた。気遣うスチュワーデスに大丈夫だと言ったものの、恐怖感は鎮まらない。落ち着くための喫煙は咎められ、新聞を開けば見出しは「史上最悪の飛行機事故」。周囲の客は彼の神経をいら立たせ、外では雷鳴が轟き、稲光が走る。気分転換に窓の外を覗いた彼は、異様なものを目にする。
本作「2万フィートの戦慄」(1983)は映画「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)のトリを飾る作品でもあり、これまた評価が高い作品である。オリジナル版のウィリアム・シャトナー顔負けの鬼気迫る演技のジョン・リスゴーが素晴らしい。
また、オリジナル版にあった若干おかしな点を修正し、かつクリーチャーの造形も動きも素晴らしい作品に仕上がっている。
また例によってクリーチャーの写真は紹介しないが、本作「2万フィートの戦慄」(1983) では映画史に残る素晴らしいクリーチャーの仕草が楽しめる。
さて今日の本題3度目の映像化は、前述のように「トワイライト・ゾーン」(2019)の第2話「三万フィートの戦慄」("Nightmare at 30,000 Feet")。
「三万フィートの戦慄」("Nightmare at 30,000 Feet")
監督:グレッグ・ヤイタネス
原作:リチャード・マシスン
脚本:マルコ・ラミレス
出演:アダム・スコット、クリス・ディアマントポロス、ケイティー・フィンドレイ
ホスト:ジョーダン・ピール
あらすじ:ジャーナリストのジャスティン(アダム・スコット)は取材のため、飛行機でワシントンDCからテルアビブへ向かおうとしていた。空港から妻に電話すると渡航に反対だと言う。実はジャスティンは以前、イエメンでの取材で精神的ショックを受けPTSDに苦しんでいた。精神科医から教わった「過去は過去」という言葉を呪文のように唱えジャスティンは機内に乗り込む。
今回の「トワイライト・ゾーン」(2019)の特筆すべき点は米CBSの配信サイトCBS All ACCESSで配信限定で製作されている点とホスト役として「ゲットアウト」(2017)、「アス」(2019)等のジョーダン・ピールが全エピソードに登場する点。
イメージとしては「世にも奇妙な物語」のタモリのようなホスト役をジョーダン・ピールがつとめていると考えるとわかりやすいと思う。
さらに驚いたことに、今までは高度2万フィートだったのに、今回はなんと高度3万フィートになってしまっている。
そして、もちろんわたしはまだ本編を観ておらず、予告編を観る限りなので確かな事は言えないのだが、どうやら今回の「三万フィートの戦慄」はウィリアム・シャトナーのオリジナル版、ジョン・リスゴーのリメイク版とは全く異なったアプローチをしているようなのだ。
これはたいへん楽しみな状況である。
関心がある方はぜひスーパードラマTVで。
放送予定は次の通り。
2020/11/30(月) 22:00
[二]「トワイライト・ゾーン」第2話「三万フィートの戦慄」/"Nightmare at 30,000 Feet"
2020/11/30(月) 24:00
[字][5.1ch]「トワイライト・ゾーン」第2話「三万フィートの戦慄」/"Nightmare at 30,000 Feet"
あの日はちょっとヤバかった。
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コメント
12月6日に無料放送された「三万フィートの戦慄」を字幕・吹き替え両方視聴しました。原作の外枠だけ借りたあからさまなドナルド・トランプの話だったので、後味悪いしショックだし。
プレゼンターのジョーダン・ピールは自ら体験した激しいいじめと差別をジョークにしていた人。作った映画やドラマ『ラヴクラフト・カントリー』の突拍子も無さ,人種差別を非差別側から見せるというサーリングの姿勢をリクリエートしたい姿勢も脳の片方では解るのですが、もう片方が満たされない。ジョージ・ミラー版の無秩序っぷりが懐かしくなりました。グレムリンの造形と性格付け,撮影も編集も本当に野心的でしたもの。
モノクロTV版は大昔レンタルVHSで観た事があります。人相が悪い(失礼)グレムリンは今回の新版にも一瞬登場し「あれ?乗ってたの?」と。カーク船長と同じ矢島正明さんの吹替で、『オーメン』や『スーパーマン』のリチャード・ドナーが監督したところも思わずヘンな声を上げたものです。
投稿: コーピフ | 2020年12月 8日 02時56分