2012年4月15日にテレビ朝日系で放映された「仮面ライダーフォーゼ」第31話「昴・星・王・国」にロバート・A・ハインラインの「人形つかい」(ハヤカワ文庫SF)が登場した。
先ずはこの画像をみていただきたい。
昴星高校へ体験留学という形で母校に戻った朔田流星(吉沢亮)は、かつての友人白川芽以(夏居瑠奈)から貸した覚えのない「人形つかい」を返却される。
この画像をみる限りの個人的な印象では「仮面ライダーフォーゼ」に登場した「人形つかい」は表紙のよれ具合と表紙の端の部分の状態から、実際のハヤカワ文庫ではなくプロップ(小道具)のようにみえる。
なお、表紙の装画は現行の2005年版「人形つかい」ではなく1976年版の「人形つかい」。
その「人形つかい」の扉には『逃げて、流星くん 眠らされる』の文字が。
また次の画像をみると、表紙の次にすぐ本編の扉があるのが確認できる。実際のハヤカワ文庫SFでは表紙をめくると、早川書房の扉があり、その次に版権表示ページ、さらに目次があり、その次のページが本編の扉となっている。
これは、前の画像と比較すると、プロップではなく本物の「人形つかい」のようにみえる。しかし仮にこれが本物の「人形つかい」だとしても、冒頭の2ページを破りとった状態のようにみえる。
もしかして、プロップとして表紙を製作し、現行版「人形つかい」に被せ、冒頭の2ページを破いたのかな。
なんと、オープニングでは、美術協力に「人形つかい」のクレジットが!
ところで、「仮面ライダーフォーゼ」と言う作品は、海外のSF作品等への言及が多い作品である。
冒頭のナレーションに出てくる『スペース・オン・ユア・ハンド(Space on your hand)』のフレーズは、フレドリック・ブラウンの短篇集「宇宙をぼくの手の上に」の原題「Space on my hands」への言及ではないのかと思える。
この点については、「仮面ライダーフォーゼ」のメインライターである中島かずきが脚本を担当したアニメーション作品「天元突破グレンラガン」の最終話のサブタイトルが「天の光は全て星」だったことからも明らかであろう。
なお、「天の光は全て星」もフレドリック・ブラウンのSF小説。
また、第4話「変・幻・暗・躍」では、スティーヴン・キングの「キャリー」の後半プロムのシーンをなぞった設定と脚本、構成がみられた。
その辺りは『「仮面ライダーフォーゼ」もキングの影響を!?』が詳しいのでご参照いただきたい。
さて、今日の本題である「仮面ライダーフォーゼ」第31話「昴・星・王・国」にロバート・A・ハインラインの「人形つかい」が登場した件。
物語は、朔田流星が以前通っていた昴星高校にソディアーツが現れたことを知った仮面ライダー部は、体験留学の形で昴星高校に向かう。
昴星高校で朔田流星が友人の白川芽以から手渡された「人形つかい」には『逃げて、流星くん 眠らされる』の文字があった。
昴星高校に現れたアリエス・ソディアーツは、昴星高校内を既に掌握し、教員や生徒を、自らが書いた台本通りに操っていたのだ。
そして、その台本通りの演技ができないを教員や生徒たちを眠らせていたのだ。
この、アリエス・ゾディアーツが昴星高校の教員や生徒たちを自在に操っていると言うプロットが、ハインラインの「人形つかい」への言及なのだと思える。
ところで、このアリエス・ソディアーツは、文字通り牡羊座のソディアーツなのだが、もしこれが牡羊座ではなく、なめくじ座のゾディアーツだったら「人形つかい」的に面白かったのにな、と思えてならない。
@tkr2000
@honyakmonsky
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