カテゴリー「映画」の151件の記事

2020年11月28日

なんとシャーリイ・ジャクスン原作の「ずっとお城で暮らしてる」はWOWOWストレート

日本公開が待たれていたシャーリイ・ジャクスン原作の映画「ずっとお城で暮らしてる」(2019)だが、なんと劇場公開されずWOWOWストレートになってしまった模様。

「ずっとお城で暮らしてる」
監督:ステイシー・パッソン
製作:ジャレッド・ゴールドマン、ロバート・ミタス
原作:シャーリイ・ジャクスン
脚本:マーク・クルーガー
出演:タイッサ・ファーミガ(メリキャット)、アレクサンドラ・ダダリオ(コンスタンス)、クリスピン・グローヴァー(ジュリアン)、セバスチャン・スタン(チャールズ)

あらすじ:地方にある大きな屋敷。18歳のメリキャットは6年前ヒ素を盛って両親などの家族を殺したと思われている姉コンスタンスを愛し、事件以来車いすに乗るようになった伯父ジュリアンと3人で暮らしている。姉妹は同じ村の住民たちからは忌み嫌われているが、メリキャットは魔法を信じることで現実逃避をしがちだった。ある日いとこのチャールズが屋敷を訪れしばらく滞在することになった。コンスタンスは彼と親しくなっていくが・・・・。

シャーリイ・ジャクスンの「ずっとお城で暮らしてる」は日本国内でもカルト的な人気を誇る作品なだけに劇場公開されないのは非常に残念だが、昨今の新型コロナウィルスの影響を考えると、劇場公開はともかく、日本国内で放送されることだけでも幸運だと考えるべきなのかも知れない。

今回の「ずっとお城で暮らしてる」 だが予告編を観る限り、姉妹の年齢層が少し高く見えるような印象を受ける。

WOWOWでの放送予定は次の通り。

2021年1月28日(木)21:00 WOWOWシネマ 日本国内初放送

 

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2020年10月28日

「世界の終わりの天文台」を映画化した「ミッドナイト・スカイ」は2020年12月23日よりNetflixで配信開始

Midnightsky リリー・ブルックス=ダルトンの「世界の終わりの天文台」をジョージ・クルーニーが映画化した「ミッドナイト・スカイ」だが、2020年12月23日よりNetflixで配信が開始されることが決定した。

「ミッドナイト・スカイ」
監督・製作:ジョージ・クルーニー
脚本:マーク・L・スミス
原作:リリー・ブルックス=ダルトン 「世界の終わりの天文台」(創元海外SF叢書)
出演:ジョージ・クルーニー(オーガスティン)、フェシリティ・ジョーンズ(サリー)、デビアン・ビチル(サンチェス)、カイル・チャンドラー(ミッチェル)、デビッド・オイェロウォ(アドウォール)

「世界の終わりの天文台」
著者:リリー・ブルックス=ダルトン
訳者:佐田千織
装画:加藤直之
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
出版:東京創元社(創元海外SF叢書)

物語:どうやら、人類は滅亡するらしい。最後の撤収便に乗らず、北極圏の天文台に残ることを選んだ孤独な老学者オーガスティンは、取り残された見知らぬ幼い少女とふたりきりの奇妙な同居生活を始める。一方、帰還途中だった木星探査船の乗組員サリーは、地球からの通信が途絶えて不安に駆られながらも、仲間たちと航行を続ける。終末を迎える惑星の片隅で、孤独な宇宙の大海の中で、長い旅路の果てにふたりは何を失い、何を見つけるのか?終わりゆく世界を生きる人々のSF感動作。

「世界の終わりの天文台」翻訳は2018年1月に刊行されている。当時SNSで結構話題になっていたこともあり書店で探したのだが、本書は海外SFコーナーではなくなぜか自然科学のコーナーにあったのを覚えている。


ジョージ・クルーニー主演『ミッドナイト・スカイ』予告編 - Netflix 

「ミッドナイト・スカイ」のNetflixでの配信開始は12月。それまでの間に機会があればぜひ原作も。

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2020年5月 8日

「魔界探偵ゴーゴリ」

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ロシア国内興収No.1の映画「魔界探偵ゴーゴリ」三部作を観た。

  • 「魔界探偵ゴーゴリ」三部作とは、ロシアの文豪ニコライ・ゴーゴリがダークヒーローとなり難事件に挑むミステリーで、ロシア版シャーロック・ホームズ×ハリー・ポッターともいわれている。

    「魔界探偵ゴーゴリ 暗黒の騎士と生け贄の美女たち」(2017)
    「魔界探偵ゴーゴリⅡ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」(2018)
    「魔界探偵ゴーゴリⅢ 蘇りし者たちと最後の戦い」(2018)

監督:イゴール・バラノフ
出演:アレクサンダー・ペトロフ(ゴーゴリ)、オレグ・メンシコフ(グロー)、ユリア・フランツ(オクサーナ)、セルゲイ・バディク(ヴァクーラ)、イフゲニー・スティチキン(ビンク)、アルチョム・トカチェンコ(ダニシェヴェスキー伯爵)、タイーシャ・ヴィルコヴァ(リザ)

1829年、サンクトペテルブルク。
駆け出しの作家ニコライ・ゴーゴリは腕の立つ探偵グローと知り合い、2人は若い美女だけが狙われる連続猟奇殺人事件の捜査の為にウクライナの小さな村、ディカーニカへ出発する。
探偵グローは2つの理由からゴーゴリを同伴者として選んでいた。1つはゴーゴリがディカーニカの近くで生まれ土地勘を持っていたこと、もう1つはゴーゴリが神秘な力を持ち、異世界の者と繋がることができたから。ゴーゴリは自分でもコントロールができない悪夢の力によって、容疑者として浮かび上がった“黒騎士” と事件の真相に近づいていく。そして自分が何者なのか、起源を明らかにしていくが・・・・。

先ず驚いたのは、物語の基本プロットは探偵グローと記録官吏ゴーゴリのバディものなのだが、その二人の吹替えがBBCの「SHERLOCK(シャーロック)の吹替えと同様の森川智之(ゴーゴリ)、三上哲(グロー)で、しかもスコアもBBCの「SHERLOCK」の雰囲気を踏襲していると思われ、かつゴーゴリやグローと警察署長ビンクとの掛け合いも「SHERLOCK」の雰囲気を醸し出している。

もちろん「魔界探偵ゴーゴリ」はBBCの「SHERLOCK」を意識しているのだとは思うが、その手法に全く違和感がなくおそらく日本のファンの中には「魔界探偵ゴーゴリ」「SHERLOCK」の二次創作のような印象で受け取っているファンもいるのではないか、と思える。

またキャラクターも見事にキャラ立ちしており、ゴーゴリの文学というメインカルチャーの文脈ではなくサブカルチャーとしての文脈やライトノベル、中二病的な感覚も感じられる。

このあたりと本作「魔界探偵ゴーゴリ」三部作の今後の行く末を考えると「文豪ストレイドッグス」の方向性も見えてきている。

また物語の構成としては、まあ想定内だが本作「魔界探偵ゴーゴリ」三部作は、ニコライ・ゴーゴリの様々な実在の著作からの引用や言及が頻繁に行われている。

例えば冒頭では、ゴーゴリがV・アロフ名義で自費出版したガンツ・キュヘリガルテン」を回収し焼き捨てるシーンがあったり、中盤以降には「鼻」のない男が出てきたり、本筋とは関係ないが「外套」を修理しようとしているエピソードが語られ、また「魔界探偵ゴーゴリⅡ 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚」 ではタイトルにもなっている通り「ヴィー」の有名なシークエンスがそのまま引用されている。

もちろん「魔界探偵ゴーゴリ」三部作の舞台となるのはディカーニカであり 「ディカーニカ近郷夜話」からの引用も多く、驚いたことに今回の事件を基に著されたと思われる短篇集「ディカーニカ近郷夜話」の朗読会サイン会を実施している描写まである。

これは逆説的にこの「魔界探偵ゴーゴリ」事件の経験がゴーゴリが著作を著す原因になっている、という構造も楽しめる。

さて本作だが、前述の通り物語の基本プロットは、サンクトペテルブルクの著名な探偵グローと駆け出しの作家の記録官吏ゴーゴリが小さな村ディカーニカで起きている超自然的な連続猟奇殺人事件を捜査する、と言う物語だが、それにリアリティを付与する美術が大変素晴らしい。

キャストについてはロシア人俳優についてはあまり詳しくないのだが、ゴーゴリにしろグローにしろビンクにしろ脚本も相まってかキャラ立ちが顕著なのが興味深い。

また、ホームズとワトソンに対比するキャラクターは本作ではグローとゴーゴリなのだが、主役はグローではなくあくまでもゴーゴリであり、今後の物語の行く末を考えた場合のグローとゴーゴリの関係性が非常に興味深い。

関心がある方は是非!

特にゴーゴリの著作好きの方、BBCの「SHERLOCK」好きの方へ。

余談だが、ゴーゴリの外見はゴーゴリの肖像画に寄せている。

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ニコライ・ゴーゴリの肖像(F.A.モレル筆・1841年)

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ゴーゴリ(左)とグロー(右)

 

 

 

 

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2017年10月29日

ジョー・ヒルのホラー映画オールタイムベストが更新される

2017年10月28日 ジョー・ヒルがホラー映画のオールタイムベストについてツイートした。

おそらくこれは、父親であるスティーヴン・キング原作の映画「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」を観たため、ランキングが変わったものだと思われる。

念のため邦題を記しておく。

1.「ジョーズ」(1975)
2.「ぼくのエリ 200歳の少女」(2008)
3.「デビルズ・バックボーン」(2001)
4.「遊星からの物体X」(1982)
5.「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017)
6.「エクソシスト」(1973)
7.「ゾンビ」(1978)

因みに、ジョー・ヒルは1972年生まれ。
そのわりに比較的古い作品も多いが、ピックアップされた映画は順当で、ジョー・ヒルのホラー映画に対する感性は信頼できる。

余談だが、ジョー・ヒルはジョージ・A・ロメロの「クリープショー」(1982)に出演している。
また「クリープショー」でスティーヴン・キングは脚本を担当しているが、同時に第2話「ジョディ・ベリルの孤独な死」でキングは主演を務めている。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2016年6月27日

「猿の惑星」をめぐる冒険

「猿の惑星」
故あって、ピエール・ブールの「猿の惑星」(1963)を読んだ。

わたしの「猿の惑星」(創元推理文庫)は、1975年6月の28版で価格は220円。と言う事は、わたしは「猿の惑星」をずっと前に買ったものの全然読んでいなかったことになる。

《アラン・バートン、ピート・バーグ、そしてゲイランの三人は、苦難に満ちた逃亡の道を歩き始める。 だが、三人の行く手には、必ず何かが待ち受けている。 ここは、猿の惑星なのだ》のナレーションでおなじみのテレビシリーズ「猿の惑星」のジョージ・A・エフィンガーのノベライズは「逃亡者人間」「明日への脱出」「疫病をやっつけろ」は読んでいるのだが、そもそものピエール・ブールの「猿の惑星」は恥ずかしながら読んだことがなかったのだ。

一読して驚いた。
「猿の惑星」に登場する猿たちは、知的で文化的な生活をおくっており科学水準も人類を凌駕しているのだ。

と言うのも、「猿の惑星」の物語の中盤以降、人工衛星(猿工衛星)に動物(人間)を乗せる計画が語られるところを見ると、われわれ人類の文明レベルと比較すると、ライカ犬を乗せたスプートニク2号が打ち上げられたのが1957年であるから、「猿の惑星」における猿たちは、おそらく1950〜1960年代の人類と同程度の文明レベルだと推測する事が出来る。

なぜこんな話をしているのかと言うと、どうしても映画「猿の惑星」(1968)と比較してしまう自分がいるのだ。

映画「猿の惑星」で描かれた猿たちは、ライフル銃を使ってはいるものの、洞窟のようなものの中で暮らしているところを見ると、人類における中世(5〜16世紀)の文明レベルのような印象を受け、猿は猿なりに文化的な生活をおくっているものの、暴力と権力がニアリーイコールな世界。そんな猿たちが支配階級にいる、比較的野蛮な世界観を観客に与えてしまっているのだ。

また、興味深いのはチャールトン・ヘストン演じる宇宙飛行士テイラー大佐もどちらかと言うと野蛮な人物として描かれている。

映画「猿の惑星」は、野蛮な猿の世界に投げ込まれた野蛮な人間テイラー、と言う構造を持っているのだ。

それと比較すると小説「猿の惑星」に登場する猿たちの文化的で科学的な姿には愕然とする。

もっとも、本作「猿の惑星」が文明批判をしている以上、物語構造上、猿が野蛮であってはいけないのである。

残念ながら映画「猿の惑星」はそのあたりについて配慮が足りないと言わざるを得ない。もちろんそのあたりについて意図的である可能性は高いが。

個人的には映画「猿の惑星」は映画史に残る素晴らしい作品だと思っているが、原作と比較すると残念な気持ちがする。

おそらくだが制作者サイドは、意図的に知的なアメリカより、強いアメリカに舵をきったのではないか、と思えてならない。これは1968年と言う時代背景がそうさせている可能性が高い。

また、もう一点興味深いのは、本作「猿の惑星」の物語の構造は、所謂ブックエンド形式で、かつ叙述トリックが採用されている点である。

物語の冒頭、レジャーとして恒星間旅行を楽しんでいる2人の恋人たちが、その旅行中に宇宙空間を漂うひとつの瓶を見つけ、その中に、われわれが知っている「猿の惑星」の物語を記した手記が入っていた、と言う構造を持っているのだ。

そこでは、映画「猿の惑星」に存在する《英語問題》について、登場人物の1人が地球に留学していた経験があるため、地球の言語をマスターしている、と言う設定で物語が描かれている。そして2人の恋人たちの一方が、他方に「猿の惑星」の手記を読み聞かせる、と言う構造をもっているのだ。

そしておそらくだが、小説「猿の惑星」における地球の言語は、英語ではなくフランス語だと考えることができ、その場合、この小説がフランス語で書かれている点に大きな意義を感じる。

つまり、「猿の惑星」の物語では、地球の共通言語は英語から、何らかの事由でフランス語に変わっている、と言う背景を読み取る事ができる。

これは「猿の惑星」の物語にとって大きな意義がある。

また叙述トリックの内容については、趣向を削ぐので解説はしないが、エピローグにあたる部分で非常に興味深い描写が楽しめる。

尤も、「猿の惑星」が採用している叙述トリックは、レベルとしてはあなり高度ではなく、注意深い読者なら早いタイミングで、もしや、と思うと考える。

そんな訳で本作「猿の惑星」は、今読んでも大変面白く、大変興味深く、いろいろと考えさせる作品だと言える。

今更だが、関心がある方は是非、ご一読いただきたい。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2016年5月 8日

「ルーム ROOM」をめぐる冒険

2016年5月8日、エマ・ドナヒューの小説「部屋(上・下)」を映画化した「ルーム ROOM」を観た。

「ルーム ROOM」
監督:レニー・アブラハムソン
原作・脚本:エマ・ドナヒュー
出演:ブリー・ラーソン(ママ/ジョイ)、ジェイコブ・トレンブレイ(ジャック)、ジョーン・アレン(ばあば/ナンシー)、ウィリアム・H・メイシー(じいじ/ロバート)、トム・マッカムス(レオ)、ショーン・ブリジャー(オールド・ニック)

 5歳の誕生日を迎えたジャックは、狭い部屋に母親と2人で暮らしていた。外の景色は天窓から見える空だけ。母親からは部屋の外には何もないと教えられ、部屋の中が世界の全てだと信じていた。2人はある男によってこの部屋に監禁されていたのだった。

 しかし母親は真実を明かす決断をし、部屋の外には本物の広い世界があるのだとジャックに教える。そしてここから脱出するために、ついに行動を開始するのだったが・・・・。

本作「ルーム ROOM」は、非常にエモーショナルな素晴らしい作品に仕上がっている。作品が取り上げた題材、つまり少女の拉致・監禁事件は、現代的でセンセーショナルであり、その辺りに真っ向から勝負を挑んだ意欲的な作品である。

また原作者のエマ・ドナヒューが本作の脚本を担当し、米アカデミー賞脚本賞にノミネートされているのも興味深い。(脚本賞以外では、作品賞ノミネート、主演女優賞受賞、監督賞ノミネート)

キャストはジョイ役のブリー・ラーソン、ジャック役のジェイコブ・トレンブレイの天才ぶりに舌を巻くし、じいじ役のウィリアム・H・メイシーの登場に拍手喝采である。

17歳の娘が誘拐され暴行された事実を受け止められない父親の震えが悲しい。

そんな本作「ルーム」だが、理解する上でのヒントを少々。

◆オールド・ニック
 17歳のジョイを拉致・監禁した犯人のことをジョイとジャックはオールド・ニックと呼んでいる。オールド・ニック( Old Nick )は英語(口語)では《悪魔》を意味する。

 これは当然ながらジャックではなくジョイの考えであろう。

◆サムソン
 髪を伸ばしているジャックは、力の源は髪の毛にある、と考えており、母親のジョイもそれはサムソンのことだと理解している。

 わたしは最初は、ジャックがテレビでアニメーションを観ていたので、ハンナ・バーベラの「怪力サムソン」( "Young Samson and Goliath" )の影響かな、と思ったのだが、「怪力サムソン」は髪が長くはない。

 と言う事は、これは「旧約聖書」「士師記」「サムソンとデリラ」の物語の引用であろう。

 サムソンの物語をWikipediaより一部引用する。 

 イスラエルの民がペリシテ人に支配され、苦しめられていたころ、ダン族の男マノアの妻に主の使いがあらわれる。彼女は不妊であったが、子供が生まれることが告げられ、その子が誕生する以前からすでに神にささげられたもの(ナジル人)であるため次のことを守るよう告げられた。それはぶどう酒や強い飲み物を飲まないこと、汚れたものを一切食べないこと、そして生まれる子の頭にかみそりをあてないことの三つであった。神の使いはマノアと妻の前に再び姿をあらわし、同じ内容を繰り返した。こうして生まれた男の子がサムソンであった。

 サムソンは長じた後、あるペリシテ人の女性を妻に望み、彼女の住むティムナに向かった。その途上、主の霊がサムソンに降り、目の前に現れたライオンを子山羊を裂くように裂いた。ティムナの女との宴席で、サムソンはペリシテ人たちに謎かけをし、衣を賭けた。ペリシテ人は女から答えを聞きだし、サムソンに答えた。サムソンは主の霊が下ってアシュケロンで30人のペリシテ人を殺害してその衣を奪い、謎を解いたペリシテ人たちに渡した。ティムナの女の父はこの一件の後、娘をほかの男性に与えた。サムソンはこれを聞いて、300匹のジャッカルの尾を結んで、それぞれに一つずつ松明をむすびつけ、畑などペリシテ人の土地を焼き払った。ペリシテ人はその原因がティムナの父娘にあると考えて二人を殺したが、サムソンはこれにも報復してペリシテ人を打ちのめした。ペリシテ人は陣をしいてサムソンの引渡しを求め、ユダヤ人はこれに応じた。ペリシテ人はサムソンを縛り上げて連行したが、途中で主の霊が降ると縄が切れて縄目が落ち、サムソンはろばのあご骨をふるってペリシテ人1000人を打ち殺した。

 サムソンは二十年間、士師としてイスラエルを裁いた。その後、サムソンはソレクの谷に住むデリラという女性を愛するようになったため、ペリシテ人はデリラを利用してサムソンの力の秘密を探ろうとした。サムソンはなかなか秘密を教えなかったが、とうとう頭にかみそりをあててはいけないという秘密を話してしまう。デリラの密告によってサムソンは頭をそられて力を失い、ペリシテ人の手に落ちた。彼は目をえぐり出されてガザの牢で粉をひかされるようになった。

 ペリシテ人は集まって神ダゴンに感謝し、サムソンを引き出して見世物にしていた。しかしサムソンは神に祈って力を取り戻し、つながれていた二本の柱を倒して建物を倒壊させ、多くのペリシテ人を道連れにして死んだ。このとき道連れにしたペリシテ人はそれまでサムソンが殺した人数よりも多かったという。

ジャックはおそらくだが、産まれてからの5年間、一切髪を切っていないのだと推測することが出来る。

なぜなら髪を切ってしまうとその力が失われる、とジャックは信じているから。

サムソンはデリラのために捕らえられ、髪を剃られるが、監禁されている間に髪が伸び、神に祈る事により怪力を取り戻す。この辺りも「ルーム」に生かされている。

また、ジャックが母親ジョイの抜けた歯を持って、人生に立ち向かったのは、サムソンがロバのあごの骨を使ってペリシテ人を1000人殺したからである。

◆ジャックの父親は

本作「ルーム」の後半部分で、テレビの取材を受けるジョイがジャックの父親についてインタビューに答える。

この回答が「聖書」的には象徴的な印象を観客に与える事になる。

この点を考えると、ジョイはキリスト教的な背景を持ったキャラクターだと考える事が出来、それは両親であるロバートとナンシーの教育によるものだと推測することができる。

オールド・ニック、サムソン、非生物学的な処女懐胎、そんなキーワードを基に本作「ルーム」を解釈してはいかがだろうか。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2016年1月27日

バッファロー・ビルの家売ります

映画「羊たちの沈黙」のシリアルキラー、バッファロー・ビルの家として撮影で使用された民家が売りに出されている模様。

「羊たちの沈黙」のシリアルキラーの家が約3000万円で販売中

[映画.com ニュース] 1991年の傑作サイコサスペンス「羊たちの沈黙」に登場するシリアルキラー、バッファロー・ビルが暮らす家として撮影で使用された民家が、現在売りに出されている。

米ピッツバーグから車で1時間ほどのファイエット郡レイトンにある、19世紀に建てられた古い3階建ての民家(4ベッドルーム&1バスルーム)。所有者のロイド夫妻は昨夏、この家を30万ドル(約3500万円)で売りに出したが、買い手がつかないため、今年1月に売値を25万ドル(約2950万円)に下げた。

「羊たちの沈黙」では、ジョディ・フォスター扮するクラリス・スターリングが、テッド・レビン扮するバッファロー・ビルと対峙するシーンなどで、同邸の玄関とダイニングルームが使用されたという。

米サイトRealtorで詳細を見ることができるが(www.realtor.com/realestateandhomes-detail/8-Circle-St_Perryopolis_PA_15473_M47256-72384)、周辺の一軒家の相場が15~20万ドルであることを考えると、やはり少し高すぎるのかもしれない。

サイトを見ると物件としては非常に素敵な物件のような印象を受ける。

撮影に使われたのは玄関とダイニングルームだけ、と言うことなので、例のプレシャスの井戸やなんかはないようですね。


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2016年1月25日

「高慢と偏見とゾンビ」の予告編公開

2016年1月22日、ジェイン・オースティン、セス・グレアム=スミスの「高慢と偏見とゾンビ」の同名の映画化作品 "Pride and Prejudice and Zombies" の予告編が公開された。

Pride and Prejudice and Zombies - Bloody Good Sneak Peek

「Pride and Prejudice and Zombies」
監督:バー・スティアーズ
出演:リリー・ジェームズ、サム・ライリー、ベラ・ヒースコート、ジャック・ヒューストン、チャールズ・ダンス、レナ・ヘディ

今回公開された予告編と昨年秋に公開された予告編とを比較すると今回の予告編は非常にコミカルな映画であるような印象を受ける。

同じカットでも音楽と編集のテンポで随分と印象が変わる。

作品の方向性が変わったのだろうか。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2015年11月14日

「火星の人」の映画化作品「オデッセイ」はコメディなのか!?

2015年11月13日に/Filmが伝えるところによると、アンディ・ウィアーの「火星の人」をリドリー・スコットが映画化した「オデッセイ」はスタジオである20世紀FOXの意向で第73回ゴールデングローブ賞においてはコメディ作品としてカテゴライズされる模様。

因みに、ゴールデングローブ賞は、映画部門、テレビドラマ部門に大きく分かれているが、それぞれもドラマ部門とミュージカル・コメディ部門に分かれており、それぞれに作品賞、主演女優賞、主演男優賞がある。

WTF: The Golden Globes Are Classifying ‘The Martian’ as a Comedy

The Martian | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX

まあ、原作はともかく、予告編を観る限り「オデッセイ」はコメディっぽい演出がされているしね。

「オデッセイ」
監督:リドリー・スコット
脚本:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー 「火星の人」(ハヤカワSF文庫)
出演:マット・デイモン(マーク・ワトニー飛行士/植物学者・エンジニア)、ジェシカ・チャスティン(メリッサ・ルイス准将/船長・地質学者)、クリスティン・ウィグ(アニー・モントローズ/NASA広報統括責任者)、マイケル・ペーニャ(リック・マルティネス少佐/操縦士)

なお、「オデッセイ」の日本公開は2016年2月5日。

因みに原題の "The Martian" は《火星人》の意。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2015年8月26日

ダンテの「神曲」が映画化か!?

2015年8月26日に映画.comが伝えるところによると、なんとダンテの「神曲」「地獄篇」が映画化される模様。

米ワーナー・ブラザースがダンテ「神曲 地獄篇」を映画化

[映画.com ニュース] 米ワーナー・ブラザースが、イタリアの詩人ダンテの「神曲」の第1部「地獄篇」を下敷きにした映画「Dante’s Inferno(原題)」の製作を企画していることがわかった。

米Deadlineによれば、ワーナーはこのほど、新鋭ドウェイン・ウォレルの同名脚本を獲得。ジャンニ・ヌナリの製作会社Hollywood Gangと、アキバ・ゴールズマンの製作会社Weed Roadが共同でプロデュースを手がける。

「神曲」は、人生の道半ばにある35歳のダンテが、古代ローマの大詩人ウェルギリウスに導かれて、地獄・煉獄・天国をめぐる旅に出る一大叙事詩。今回の映画化は、ダンテと永遠の淑女ベアトリーチェの恋愛を中心に描くもので、ワーナーはウォレルの脚本の壮大さに、シリーズ化の可能性も見いだしているという。

これは凄い企画ですね。
後年の様々な文化に多大なる影響を与えた「神曲」の映画化。
是非実現して欲しいところです。

因みにニュースソースはこちら。

Warner Bros Buys ‘Dante’s Inferno’ Pitch From Scribe Dwain Worrell

@tkr2000
@honyakmonsky

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