カテゴリー「マイケル・コックス」の4件の記事

2012年4月15日

第三回翻訳ミステリー大賞決定!

2012年4月14日 東京都文京区、鳳明館森川別館で開催された「第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション」において、第三回翻訳ミステリー大賞が決定し発表された。

第3回翻訳ミステリー大賞決定!

第三回翻訳ミステリー大賞の受賞作品と最終候補作品は次の通り。

第三回翻訳ミステリー大賞受賞作品
「忘れられた花園」
著者:ケイト・モートン
訳者:青木純子
出版社:東京創元社

第三回翻訳ミステリー大賞最終候補作品(邦題五十音順)
「アンダー・ザ・ドーム」スティーヴン・キング/白石朗/文藝春秋
「二流小説家」デイヴィッド・ゴードン/青木千鶴/ハヤカワ・ミステリ
「犯罪」フェルディナント・フォン・シーラッハ/酒寄進一/東京創元社
「夜の真義を」マイケル・コックス/越前敏弥/文藝春秋
「忘れられた花園」ケイト・モートン/青木純子/東京創元社

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションの概要は次の通り。

第一部
■記念講演 瀬名秀明(聞き手:杉江松恋)
第三回翻訳ミステリー大賞 記念講演 瀬名秀明(聞き手:杉江松恋)

記念講演は、瀬名秀明氏の少年時代から現在までの読書体験や映像作品への興味対象の流れが明瞭に語られ、現在の作家:瀬名秀明がどのようにして誕生したのか、が興味深かった。

記念講演の気になったキーワードは次の通り。

「ヒッチコックミステリー」シリーズ/「カリフォルニア少年探偵団」シリーズ("Alfred Hitchcock and The Three Investigators")
「モダンホラーセレクション」
・リチャード・マシスン
・スティーヴン・キング
・ラムジー・キャンベル「バラサイト」(未訳)
・ディーン・クーンツ
・ウィリアム・ゴールドマン
「ヒー・イズ・レジェンド」の解説
「大空のドロテ」出版間近!?
「アルセーヌ・ルパン」シリーズ
・日本SF作家クラブの今後の活動

講演後、瀬名秀明氏のサイン会も行われました。

瀬名秀明氏は「ドラえもん」の熱心なファンである、ということもあり、サインにはなぜか「ドラえもん」のイラストが・・・・

■第三回翻訳ミステリー大賞開票&贈賞式
第三回翻訳ミステリー大賞得票結果

第三回翻訳ミステリー大賞の開票はリアルタイム開票が行われ、投票順にエドカー・アラン・ポーの顔がホワイトボードに貼られると言う趣向で行われた。

開票後、第三回翻訳ミステリー大賞の贈賞式が行われ、翻訳者の青木純子氏とケイト・モートンの代理として東京創元社の担当編集者に贈賞が行われた。

因みにホワイトボードに貼られているポーの大きな顔は10票、小さい顔は1票。

従って、最終的な得票数は次の通り。
「アンダー・ザ・ドーム」 5票
「二流小説家」 6票
「犯罪」 18票
「夜の真義を」 6票
「忘れられた花園」 22票

やはり強かった「犯罪」「忘れられた花園」のデッドヒートに会場は盛り上がった。

最終候補作への投票締切は4月12日と言うこともあり、翻訳ミステリーに関する他の文学賞のほとんどが発表された後ということもあり、ある種興味深い結果になったかも知れない。

なお、当日の第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションの様子はUSTREAMで視聴することができる。

第三回翻訳ミステリー大賞 記念講演 瀬名秀明(聞き手:杉江松恋)

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式

第二部
■みんなでつくろう!《ミステリ読書地図》

■《フランス・ミステリを楽しもう!》:小山正&東京メグレーズ
■読書会「生還」:挟名紅治
「ホワイト・ジャズ」徹底解剖!:佐々田雅子 with 永嶋俊一郎
■お茶とケーキのコージーのお部屋:上條ひろみ&小財満
■紫煙と酒のハードボイルド部屋:田口俊樹

■ミステリー・クイズ大会 司会・杉江松恋(評論家)

わたしは、全体企画の、【みんなでつくろう!《ミステリ読書地図》】、【ミステリー・クイズ大会】、個別企画の【「ホワイト・ジャズ」徹底解剖!】に参加。

個人的には【「ホワイト・ジャズ」徹底解剖!】が興味深かった。
ジェイムズ・エルロイの「ホワイト・ジャズ」を翻訳した佐々田雅子氏のワイルドな人物的魅力と配付されたレジュメも超濃厚。

その後の宴会は、わたしは午前3:00で寝ましたが、午前4:00位まで続いた模様。

@tkr2000
@honyakmonsky


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2012年3月12日

「第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション」のお知らせ

2012年3月9日 翻訳ミステリー大賞シンジケート公式ブログで、第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションの概要が公開された。

そもそも翻訳ミステリー大賞とは何ぞや、と言う話なのだが、この賞は、広義の翻訳ミステリー作品を対象とし、翻訳者の投票によって選出される文学賞である。

因みに、第一回翻訳ミステリー大賞の受賞作は「犬の力」(ドン・ウィンズロウ著、東江一紀訳/角川文庫)、第二回受賞作は「古書の来歴』(ジェラルディン・ブルックス、森嶋マリ訳/武田ランダムハウスジャパン)。

そして、第三回翻訳ミステリー大賞の最終候補作は次の5作品。
「アンダー・ザ・ドーム」(スティーヴン・キング著、白石朗訳/文藝春秋)
「二流小説家」(デイヴィッド・ゴードン著、青木千鶴訳/早川書房)
「犯罪」(フェルディナント・フォン・シーラッハ著、酒寄進一訳/東京創元社)
「夜の真義を」(マイケル・コックス著、越前敏弥訳/文藝春秋)
「忘れられた花園」ケイト・モートン著、青木純子訳/東京創元社)

さて、それでは今日の本題第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションについて。

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのお知らせ(その1)

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションの概要を引用する。(敬称略)

第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンション
■日 程 2012年4月14日 15:00〜
■会 場 鳳明館森川別館(東京都文京区)
■参加費 A 第1部のみ:1,500円 B 第1部+第2部:8,000円(宿泊可)
■申 込 こちらの下部をご確認願います。

■概要 
※ 詳細はこちら

第一部
1:記念トーク
  瀬名秀明によるトークショー。
  (聞き手:杉江松恋)

2:リアルタイム開票!
  第三回翻訳ミステリー大賞のリアルタイム開票。

3:第三回翻訳ミステリー大賞贈賞式+受賞作の翻訳者、担当編集者スピーチ

第二部
1:みんなでつくろうミステリ「読書地図」(全体企画)

2:ハードボイルド部屋(個別企画)
  進行:田口俊樹

3:コージー・ミステリのお部屋(個別企画)
  進行:上條ひろみ、小財満

4:フランス・ミステリを楽しもう みんなでポラール!(個別企画)
  進行:小山正
  ゲスト:平岡敦、高野優

5:翻訳ミステリー読書会(個別企画)
  進行:挟名紅治
  課題書:「生還」ニッキ・フレンチ著、務台夏子訳

6:エルロイ「ホワイト・ジャズ」を語ろう!(個別企画)
  進行:永嶋俊一郎
  ゲスト:佐々田雅子

第三部
7:クイズ大会(全体企画)
  進行:川出正樹

いかがでしょう。

これこそはホンヤクモンスキー垂涎のイベントではないでしょうか。
ご関心がある方は、是非第三回翻訳ミステリー大賞授賞式&コンベンションのお知らせ(その1)をご覧になって下さい。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年2月16日

第三回 翻訳ミステリー大賞候補作/「夜の真義を」

■著者 マイケル・コックス
■訳者 越前敏弥
■出版社 文藝春秋
■価格 ¥2,619(税抜き)

帯に曰く。【構想30年。 華麗なるゴシック・ノワール。】
骨太の翻訳小説として昨年、大いに話題になった「夜の真義に」についての様々な評判を見聞きするに、格調高い文体とダークな復讐譚がロマンティシズムを湛えるヴィクトリアン・ノワールであるという論調が多かったように思う。

し、しかし! 私は敢て云いたい!

私がこの作品を読んで思ったのは、寧ろ、この物語は【爽やかな青春を描いた小説】なんじゃないか、と云う事だった。

主人公のグラプソンは天才的な頭脳を持ち、幼少の頃から抜け目のない喰えない人物のようでいて、実際には、あくどい級友に簡単に騙されたり、下心もあろうかと普通ならば警戒するだろう娼婦に愛着を感じて友達のように振る舞ったり、奸婦の奸計を見抜けずにまんまと引っ掛けられたりと非常に無邪気な性格。 もっと頑張って自分の人生を取り戻し楽しく生きたい! と云う猛々しくも瑞々しい意欲に満ちた復讐を企てても、何かちょっとしたところに甘ちゃんの癖が出て何故かちょっとばかりずっこけちゃう… と云うイメージで、実に好感の持てる人物像であると思うのである。

だから、私が「夜の真義に」を読んで真っ先に思い出したのは、ジーン・ウルフの「新しい太陽の書」4部作の主人公セヴェリアン君なのだった。

セヴェリアン君とグラプソン君が活躍する物語の舞台は一般的にはダークで面妖な退廃的世界とされているけれど、その中で彼らが「精一杯生きよう」「もっといい事があるにちがいない!」と前向きに頑張っているのを、親のような気分で見守るのがいいのである。(私見)

本書の翻訳を担当されているのは、云わずと知れた越前敏弥氏。

あのベストセラー、ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」(友達に貸したまま行方不明)や、「惜別の賦」をはじめとするロバート・ゴダードの数々の作品(ゴダードはまだ一冊しか読んでいない…)、化ける前のディーヴァー「死の教訓」「死の開幕」(化けてからの方がやはり)、そしてパーシヴァル・ワイルド「検死審問」シリーズ(超面白、特に「検死審問、再び」は快作!)、ドロンフィールドの問題作「飛蝗の農場」(食わず嫌いだったけれど、読んでみると嵌る)など、枚挙にいとまのない程の翻訳を手がけておられる第一人者である。

この「夜の真義を」でも、処女作にして最高の賛辞を得たと云う華麗なヴィクトリアンスタイルの文体を見事に日本語に翻訳。
手応えと軽やかさを併せ持った、読み応えのある作品なのである。

重厚な翻訳文体と、主人公の若気の至り… 読んでいて感情移入しないではいられない儚さと夢と復讐をめぐる冒険を、是非、この機会に楽しんで頂きたいものである。

@unyue
@honyakmonsky 






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2012年2月12日

さあ、今のうちに【 第三回翻訳ミステリー大賞】の候補作を読もう!

今年も【翻訳ミステリー大賞】の季節がやって来ました!

4月14日に予定されている授賞式&コンベンションに向けて、既に最終候補作5作品が決定。 現在、翻訳家の方々による第三次投票が行われている真っ最中です。
昨年も素晴らしい翻訳ものが出版され、様々なベスト企画がある中で、この【翻訳ミステリー大賞】が異彩を放つ所以は、それが、実際に外国語の物語を日本語に翻訳する大切な部分を担う翻訳家の方々が自らの翻訳に対する考え方、経験、矜持を掛けて選ぶ専門家による選出だと云う所にあるのではないでしょうか。
また、だからこそ私たち読者は、この【翻訳ミステリー大賞】に他の賞とは違う視点でのユニークな選出を期待してしまいますよね。

この【翻訳ミステリー大賞】発足の趣旨については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトに於いて発起人の田口俊樹氏が【巻頭言】として書いていらっしゃいます。 私の下手な説明よりも、直接読んで頂きたいので、以下にその一部を転載します。

翻訳ミステリー大賞シンジケートとは?
シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、フィリップ・マーロウといった主人公が 活躍する翻訳ミステリーは、日本でも古くから紹介され、長く親しまれてきました。その伝統は今も受け継がれ、さらに多くの魅力的な主人公が新たに紹介され ています。スペンサー、ミロ・ミロドラゴヴィッチ、マット・スカダー、ハリー・ボッシュ、ジャック・フロスト、リンカーン・ライムといった名探偵、名刑事 たちです。しかし、残念ながら、日本における彼らの知名度はシャーロック・ホームズに遠く及びません。翻訳ミステリーの面白さは少しも変わっていないの に。いや、むしろ作品の質も量もより豊かになっているのに。

 そんな現状に一石を投じ、ひとりでも多くの方々に翻訳ミステリーを手に取ってもらう一助になればと思い、このたび『翻訳ミステリー大賞』を 創設しました(発起人=小鷹信光、深町眞理子、白石朗、越前敏弥、田口俊樹)。年間ベストを選ぶこの手の賞はすでにいくつもありますが、現在活躍中の翻訳 者にかぎっての投票で選ばれるところが本賞の特長です。つまり、翻訳者が自ら選ぶ翻訳大賞というわけです。(以下略)

このように、翻訳もの業界の多くの方々の熱い思いのこもった賞なのです。
この賞をより一層盛り上げるためにも、翻訳もの好きとしてはこれを放っておく事は出来ません!

豊作と云われた今年の翻訳ミステリ世界。
激戦(多分そのはず…)の中で、第一次、第二次選考に残った5作品は次の通りです。

【アンダー・ザ・ドーム(上下)】

■著者 スティーヴン・キング
■訳者 白石 朗
■出版社 文藝春秋
■価格 各¥2,762(税抜き)

【二流小説家】

■著者 デイヴィッド・ゴードン
■訳者 青木千鶴
■出版社 早川書房(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
■価格 ¥1,900(税抜き)

【犯罪】

■著者 フェルディナント・フォン・シーラッハ
■訳者 酒寄進一
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,800(税抜き)

【夜の真義を】

■著者 マイケル・コックス
■訳者 越前敏弥
■出版社 文藝春秋
■価格 ¥2,619(税抜き)

【忘れられた花園(上下)】

■著者 ケイト・モートン
■訳者 青木純子
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,700(税抜き)

以上、勿論、順不同。 

私が、キング命だからと云って最初に書いた訳じゃありませんよ… 単に五十音順っていうだけなんです。

まさに、どの作品も【凄い】物語ばかり… 皆様は、これらの作品をもう読みましたか? 
私は偶然(?)全ての候補作を読んでいるので、由なし事も含め5作品全てについてこのブログで一作ずつご紹介して行きたいと思います。(不定期…)

因みに、第三回【翻訳ミステリー大賞】の全ての候補作品については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトのこちらで確認することが出来ます。
興味深い資料なので、是非ご覧下さい。

あ、そうそう! 過去の受賞作品は…

★第一回 翻訳ミステリ大賞 ドン・ウィンズロウ/東江一紀「犬の力」
★第二回 翻訳ミステリ大賞 ジェラルディン・ブルックス/森嶋マリ「古書の来歴」

第一回の時に行われた授賞式&コンベンションの際はお泊まりで大変に楽しい時間を過ごしました。 第二回は3/11の震災の影響もあって、コンベンションは行われなかったものの公開トークイベントとしてUSTで公開中継されましたっけ…

こうやって、歴史は刻まれるんですね…(しみじみ)
とまれ、今年のコンベンションも楽しみです!

@unyue
@honyakmonsky 



  



 

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