今年も【翻訳ミステリー大賞】の季節がやって来ました!
4月14日に予定されている授賞式&コンベンションに向けて、既に最終候補作5作品が決定。 現在、翻訳家の方々による第三次投票が行われている真っ最中です。
昨年も素晴らしい翻訳ものが出版され、様々なベスト企画がある中で、この【翻訳ミステリー大賞】が異彩を放つ所以は、それが、実際に外国語の物語を日本語に翻訳する大切な部分を担う翻訳家の方々が自らの翻訳に対する考え方、経験、矜持を掛けて選ぶ専門家による選出だと云う所にあるのではないでしょうか。
また、だからこそ私たち読者は、この【翻訳ミステリー大賞】に他の賞とは違う視点でのユニークな選出を期待してしまいますよね。
この【翻訳ミステリー大賞】発足の趣旨については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトに於いて発起人の田口俊樹氏が【巻頭言】として書いていらっしゃいます。 私の下手な説明よりも、直接読んで頂きたいので、以下にその一部を転載します。
翻訳ミステリー大賞シンジケートとは?
シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、フィリップ・マーロウといった主人公が 活躍する翻訳ミステリーは、日本でも古くから紹介され、長く親しまれてきました。その伝統は今も受け継がれ、さらに多くの魅力的な主人公が新たに紹介され ています。スペンサー、ミロ・ミロドラゴヴィッチ、マット・スカダー、ハリー・ボッシュ、ジャック・フロスト、リンカーン・ライムといった名探偵、名刑事 たちです。しかし、残念ながら、日本における彼らの知名度はシャーロック・ホームズに遠く及びません。翻訳ミステリーの面白さは少しも変わっていないの に。いや、むしろ作品の質も量もより豊かになっているのに。
そんな現状に一石を投じ、ひとりでも多くの方々に翻訳ミステリーを手に取ってもらう一助になればと思い、このたび『翻訳ミステリー大賞』を 創設しました(発起人=小鷹信光、深町眞理子、白石朗、越前敏弥、田口俊樹)。年間ベストを選ぶこの手の賞はすでにいくつもありますが、現在活躍中の翻訳 者にかぎっての投票で選ばれるところが本賞の特長です。つまり、翻訳者が自ら選ぶ翻訳大賞というわけです。(以下略)
このように、翻訳もの業界の多くの方々の熱い思いのこもった賞なのです。
この賞をより一層盛り上げるためにも、翻訳もの好きとしてはこれを放っておく事は出来ません!
豊作と云われた今年の翻訳ミステリ世界。
激戦(多分そのはず…)の中で、第一次、第二次選考に残った5作品は次の通りです。
【アンダー・ザ・ドーム(上下)】
■著者 スティーヴン・キング
■訳者 白石 朗
■出版社 文藝春秋
■価格 各¥2,762(税抜き)
【二流小説家】
■著者 デイヴィッド・ゴードン
■訳者 青木千鶴
■出版社 早川書房(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
■価格 ¥1,900(税抜き)
【犯罪】
■著者 フェルディナント・フォン・シーラッハ
■訳者 酒寄進一
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,800(税抜き)
【夜の真義を】
■著者 マイケル・コックス
■訳者 越前敏弥
■出版社 文藝春秋
■価格 ¥2,619(税抜き)
【忘れられた花園(上下)】
■著者 ケイト・モートン
■訳者 青木純子
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,700(税抜き)
以上、勿論、順不同。
私が、キング命だからと云って最初に書いた訳じゃありませんよ… 単に五十音順っていうだけなんです。
まさに、どの作品も【凄い】物語ばかり… 皆様は、これらの作品をもう読みましたか?
私は偶然(?)全ての候補作を読んでいるので、由なし事も含め5作品全てについてこのブログで一作ずつご紹介して行きたいと思います。(不定期…)
因みに、第三回【翻訳ミステリー大賞】の全ての候補作品については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトのこちらで確認することが出来ます。
興味深い資料なので、是非ご覧下さい。
あ、そうそう! 過去の受賞作品は…
★第一回 翻訳ミステリ大賞 ドン・ウィンズロウ/東江一紀「犬の力」
★第二回 翻訳ミステリ大賞 ジェラルディン・ブルックス/森嶋マリ「古書の来歴」
第一回の時に行われた授賞式&コンベンションの際はお泊まりで大変に楽しい時間を過ごしました。 第二回は3/11の震災の影響もあって、コンベンションは行われなかったものの公開トークイベントとしてUSTで公開中継されましたっけ…
こうやって、歴史は刻まれるんですね…(しみじみ)
とまれ、今年のコンベンションも楽しみです!
@unyue
@honyakmonsky
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