「ユゴーの不思議な発明」
エイサ・バターフィールド(左)、ブライアン・セルズニックの「ユゴーの不思議な発明」を持つマーティン・スコセッシ(中央)、クロエ・グレース・モレッツ(右)
2012年3月1日 ブライアン・セルズニックの「ユゴーの不思議な発明」の映画化作品 「ヒューゴの不思議な発明」が日本公開された。監督はマーティン・スコセッシ。
3月1日(映画の日) わたしは本作「ヒューゴの不思議な発明」の内容をほとんどと言うか全く知らない状態で鑑賞することになった。
この辺りについては先日のエントリー「ヒューゴの不思議な発明」をご参照いただきたい。
今日はその原作である「ユゴーの不思議な発明」について。
しかし、今日のエントリーでも、物語の内容には触れないつもりです。
「ユゴーの不思議な発明」
著者:ブライアン・セルズニック
翻訳:金原瑞人
出版:アスペクト
あらすじ:舞台は1930年代のパリ。主人公はパリ駅の時計台に隠れ住む12歳の孤児ユゴー。彼は、父が遺したからくり人形に隠された秘密を探っていくうちに、不思議な少女イザベルに出会う。からくり人形には二人の運命をも変えていく秘密が隠されていたのだ。……からくり人形のぜんまいが動き始めるとき、眠っていた物語が動き出す!(オフィシャル・サイトより引用)
映画「ヒューゴの不思議な発明」の圧倒的な面白さに打ちのめされたわたしは、当然のごとく、その原作であるブライアン・セルズニックの「ユゴーの不思議な発明」に関心を持った。
と言うのも、わたしの意識の中には、そもそも原作である「ユゴーの不思議な発明」はどのような物語だったのか、はたして「ヒューゴの不思議な発明」はその原作に忠実な作品なのか、それとも映画は原作を過分に脚色しているのか、つまり脚色が素晴らしかったのか、と言う疑問が湧いていたのだ。
と言うのも、映画「ヒューゴの不思議な発明」の物語は、非常にトリッキーで、素晴らしいサプライズに満ちていた。
つまり、その サプライズ自体を考えると、それは原作に含まれているのではなく、映画の製作過程の中で、つまり原作を脚色する過程で生まれたのではないだろうか、と思えてならなかったのである。
しかし、原作「ユゴーの不思議な発明」を一読して驚いた。
映画「ヒューゴの不思議な発明」は原作である「ユゴーの不思議な発明」に非常に忠実な作品だった。
もちろん映画は素晴らしいのだが、映画が素晴らしい、と言うよりは原作が素晴らしかったのだ。
そして、その「ユゴーの不思議な発明」の形態が異彩を放っている。
と言うのも、本書「ユゴーの不思議な発明」は、文字ではなく300枚近いイラストで物語が描写されているのだ。
全544ページに約300点のイラスト。
例えば、第一章「盗み」は全60ページのうち、文字で物語が描写されているのはわずか6ページ。
同様に、第2章「時計」は全17ページで、文字のページはわずか4ページ。
「ユゴーの不思議な発明」は、このような作風で物語を描いているのだ。
そして、最大のサプライズは、本書「ユゴーの不思議な発明」を著したのは一体誰だったのか、と言う点である。
これは映画では絶対に味わえない、書籍ならではの素晴らしいサプライズだと言える。
本書を手に取って、それを是非確かめていただきたい。
あぁ、しかし本書「ユゴーの不思議な発明」のブライアン・セルズニックの発想は素晴らしい。
これは正に、天啓のような、奇跡のようなアイディアだったのだと思わざるを得ない。
本当に素晴らしい。
余談だが、ブライアン・セルズニックは、ハリウッドの名ブロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックの遠縁にあたる。
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