カテゴリー「ウィリアム・ピーター・ブラッティ」の11件の記事

2016年2月 7日

「センター18」をめぐる冒険

センター18 ウィリアム・ピーター・ブラッティの「センター18」を読了した。

「エクソシスト」(1971)はともかく、2012年に翻訳が刊行された「ディミター」(2010)が素晴らしかったので「センター18」には期待をしていたのだが、あまりも薄い本だったので、おいおい大丈夫かよ、と思いながら読みはじめた。

「センター18」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:大瀧啓裕
出版社:東京創元社

内容紹介:一九六〇年代後半、ヴェトナム戦争の時代。妄想に取りつかれた合衆国軍の将校たちは、仮病と疑われながら秘密収容所に送りこまれ、治療と研究の対象となっていた。最後の収容所となったセンター18には、元宇宙飛行士のカットショー大尉を始め、様々な強迫観念に囚われた兵士たちが収容されていた。

新たに配属された海兵隊の精神科医ハドスン・ケイン大佐は、収容者たちの話を聞き続ける中で、かつての患者が見ていた悪夢に繰り返し苛まれる── 館に蔓延する狂気と悪夢。そして〝奇蹟〟の顕現。『エクソシスト』の鬼才が贈る傑作。訳者あとがき=大瀧啓裕

「センター18」は小説なのだが戯曲のような印象を受ける。

物語の前半部分は、所謂精神病院の患者と医師が散文的に会話をしているだけで、あまり大きな出来事は起きない。

その会話は、精神病院を舞台とした多くの作品と同様に暗喩と引用に満ちている。

しかも、その引用されている固有名詞がわれわれが知っている固有名詞と少しずつ異なっているのだ。

これは後に、日本語の表記を英語の発音に近づけただけだ、と言うことがわかるのだが、わたしはこの手法から、この物語はわれわれが知っている世界と別の、つまりパラレルワールドか、異なった世界線上の物語なのだろうと想像しながら読んでしまった。

そちらの方向に意識が向いていたため、「センター18」の物語に素直に没入できなかったことが残念である。わざわざ一般的な日本語と異なる表記をするのは翻訳としてはいささか問題だと思った。

本作は翻訳でわずか175ページの作品だが、129ページあたりまでは、前述のような患者と医師の会話が続くのだが、129ページから物語の本質が見えてくる。

そこからは俄然面白くなって行く。

わずか175ページの物語だが、読了後もう一度最初から読みたくなる、そんな感じの小説である。

The Ninth Configuration 余談だが本作「センター18」("The Ninth Configuration")は、1966年の "Twinkle, Twinkle, "Killer" Kane" を書き直した作品らしく、1980年には "The Ninth Configuration" と言うタイトルで映画化もされている。制作・監督・脚本はウィリアム・ピーター・ブラッティ。

この "The Ninth Configuration" のポスターが格好いい。

これも機会があれば観てみたいと思う。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2016年2月 6日

文庫本が高いです

先日のエントリー【ガレス・L・パウエル「ガンメタル・ゴースト」の装画を気に入る】で紹介したガレス・L・パウエル「ガンメタル・ゴースト」とロバート・A・ハインラインの新訳版「宇宙の戦士」を購入しようとして書店の会計でびっくりした。

なんと文庫本2冊で2,484円もするのだ。

本を買う際に価格を確認しないわたしも悪いのだが、文庫本2冊で2,500円弱とは驚きである。

どっちが高いのかなと思い、ここで初めて価格を確認するわたしだったが、「ガンメタル・ゴースト」が税抜1,300円、税込1,404円でガレス・L・パウエルに軍配が上がった。

わたしは本を買う際に、あまり価格を確認しない方だし、本は高いとは思わない方なのだが、さすがにこれには驚いた。

ちょっと前に買ったウィリアム・ピーター・ブラッディの「センター18」は極薄のハードカバーで税抜1,700円、税込1,836円なので、もう文庫本とハードカバーの本は似たような価格帯になってきているのだ。

どうせなら「ガンメタル・ゴースト」もシリーズ全訳前提でハードカバーで出せば良かったのにな、と思ってしまう。

おっさんの読書離れも進むよね。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年12月25日

「ディミター」講義 第五講

ここ最近、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「ディミター」を読んでいる。
「エクソシスト」で有名なブラッティのミステリーである。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
あらすじ:1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を 出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中 で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ!

わたしは真面目に読書をするような場合、読書メモを取りながら読むことが多い。

今日は「ディミター」の読書メモから「ディミター」を読み解くヒントになりそうな部分を紹介していきたいと考えている。

今日は《第一部 アルバニア 一九七三年》を中心にするが、わたしの読書メモは多岐に及んでいるので、全てを紹介することはできない。「ディミター」を考える上で、重要だと思う部分を中心に紹介して行きたいと思う。

p8 ピートの思い出に。

聞くところによると、ウィリアム・ピーター・ブラッティは、2006年に当時19歳の三男を亡くしているらしい。そう、本書「ディミター」は、ブラッティの亡き三男《ピートの思い出》に捧げられている、と考えられる。

そう考えた場合、本書にもし息子を亡くす人物が登場するとしたら、その人物はブラッティ自身が投影されたキャラクターだと推測することができる。

そしておそらくはその人物は物語にとって非常に重要なキャラクターであるはずで、もしそうならば、現実世界でブラッティがピートにしてあげられなかった〈何か〉をするキャラクターとして、その人物が設定されている可能性が高いとわたしは考えている。

p12 ……旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした……三日間、目が見えず…… 『使徒言行録』九章三節〜九節

これは先日のエントリー【「ディミター」講義 第四講】で紹介したように「新約聖書」《パウロの回心》の抜粋である。

しかしこれは非常に大雑把な抜粋だと言わざるを得ない。わかる人にはわかるが、わからない人には全くわからないだろう。

折角なので「口語 新約聖書」から該当部分(「使徒言行録」九章三節〜九節)を引用する。

3ところが、道を急いでダマスコの近くにきたとき、突然、天から光がさして、彼をめぐり照した。4彼は地に倒れたが、その時「サウロ、サウロ、なぜわたしを迫害するのか」と呼びかける声を聞いた。5そこで彼は「主よ、あなたは、どなたですか」と尋ねた。すると答があった、「わたしは、あなたが迫害しているイエスである。6さあ立って、町にはいって行きなさい。そうすれば、そこであなたのなすべき事が告げられるであろう」。7サウロの同行者たちは物も言えずに立っていて、声だけは聞えたが、だれも見えなかった。8サウロは地から起き上がって目を開いてみたが、何も見えなかった。そこで人々は、彼の手を引いてダマスコへ連れて行った。9彼は三日間、目が見えず、また食べることも飲むこともしなかった。

ついでなので、本書「ディミター」のp365《パウロの回心》に関連する部分を引用する。

けっこう。きみたちの聖パウロにも関係した話だよ。聖パウロはもともとわれわれの仲間のユダヤ教徒でサウルといい、ディミター同様に伝説的な暗殺者だった。キリスト教徒を追っては、無慈悲に殺していたんだ。そしてある日、仲間たちともどもダマスコのキリスト教徒たちを殲滅するべくその地にむかっている途中、神秘体験をした。なにものかの力によってーー天空の白くまばゆい光によってーー馬から地面に突き落とされ、そして声を耳にした。それからまもなく、サウルはきみたちの聖パウロになった。ディミターにも、おなじようなことが起こったんだ。ディミターは自分の神秘体験に衝撃をうけたーーイエス・キリストに関係した神秘体験だった。またサウルと同様、最初は自分の身になにが見舞ったのかも理解できなかった。しかしディミターなら、なにをすると思う? 決まってるとも! あの男は、自分を地面に打ち倒した力の正体をつきとめるために、エルサレムに来たんだよ。いや、人々は馬から突き落とされたと考えているようだが。

《パウロの回心》は様々な作品で言及される有名なエピソードなので、関心がある方は是非《パウロの回心》を検索していただきたい。

p13 太陽から遠く一億五千万キロメートル離れ、恩寵や希望の指先が決して触れえぬあまたの部屋と監房と通路が織りなす迷宮のなか、窓のひとつもない湿気のこもるコンクリート打ちはなしの部屋で、いま〈尋問者〉は目の前のノートのように空白の頭のまま、堅い木のテーブルを背にしてすわっていた。

これは本書「ディミター」冒頭の一節である。

おそらく、誰もが想像しているように、宗教的な物語になるであろう「ディミター」は、太陽と地球の距離の科学的事実の描写から始まっている。

これは何かおかしい。

もしかしたら、ここから感じとれるのは、本書に登場するであろう、宗教的な、奇跡的な、スーパーナチュラル的な、出来事やその描写の全ては、物理的な出来事で、全て科学的な解釈が可能である、と言う事を宣言しているのではないだろうか。

もしかして本書は、宗教と科学との対峙を描いているのだろうか。そんな印象を受ける一節である。

しかも、本書は、宗教と比較して科学よりのスタンスを保っているような印象を受ける。

p15 この男をとらえたのは偶然だった。九月二十五日の月曜日、北部山岳地帯にあるスパック村の近郊では、警察隊や警察犬、それに民兵たちが出動、公安警察長メフメト・シェフ暗殺未遂事件の容疑者の捜索がおこなわれていた。

p39 十月一日の日曜日の朝から翌日の正午少し前まで、女性の公安警察官による暴行と尋問を交互に受けさせられた。

月曜日から始まったことが日曜日に一旦終わる。
これは「旧約聖書」《創世記》の暗喩だと思えてならない。

p36 神を見たことがあるか、見たことがあるのなら、目が見えなくなったのは神を見たことが原因だったのか、ってね。

これも《パウロの回心》のことだろう。

復活したイエス・キリストの光を見て失明したパウロは、後日アナニアの祈りにより、目からうろこのような物が落ちて、目が見えるようになる。

p40 〈尋問者〉は、乾いた血のレース模様がとりまく〈虜囚〉のひたいを見つめた。あれに自分はなにを連想したのだろう? そう思うそばから思い出したーー〈沈黙のキリスト〉だ。

この時点で〈虜囚〉はイエス・キリストの暗喩であることが印象付けられる。

オディロン・ルドンの〈沈黙のキリスト〉
オディロン・ルドンの〈沈黙のキリスト〉

p65 「ビッグバン以前にはーー」神父は雑居房の面々に説教をはじめた「全宇宙は大きさのない、それでいて無限の重さをもつ一点にすぎなかった。その点が大爆発して宇宙が生まれ、宇宙のなかに時間とその双生児たる混沌が生まれた。とはいえ大宇宙が出現するにあたっては、最初期に外へ外へとむかっていく爆発の力には、重力に拮抗することが必要とされた。それも、百三十億光年の彼方の大宇宙の反対側にある、直径二センチ半ほどの小さな標的を銃で撃ち抜くのにも匹敵するほどの正確さでね」

これもおかしい。

聖職者の言葉とは思えないのだ。

尤も、p68でこの神父は「しょせんわたしは、年寄りの反動的聖職者だ。」と自嘲していることから考えると、この神父は宗教心を失い科学に転んでしまった聖職者、と言うことなのだろうか。

宗教と科学との対峙がここでも描かれている。

p69 神父はふたたび顔を伏せた「ラザヤ・シャントヤ神父、文学者として高名だった神父となると、またべつの話だ」

以降、p74にかけて、シャントヤ神父と自分の〈ヨブ記〉でヨブが体験したことにも匹敵するような物語が語られる。

結構なページを割いて語られる、その意味は。

p76 「そうです。かなり強い力で殴られたあと、わたしは激しい頭痛に襲われました。それが常態になったのです。振り払えませんでした。そしてあの男がわたしのひたいに手をあてると、痛みが消えたのです」
つかのまヴロラの目が空白になった。ついで唇の両端が愚弄の笑みに吊りあがる。
「いまもまだ、魔法を信じているのかね?」吐き捨てるように神父にいう。

ここの前半部分、〈虜囚〉が神父の頭痛を取り除く《奇跡》の部分は、《パウロの回心》におけるパウロとアナニアの暗喩だと考えられる。

そして非常に興味深いのは、ヴロラは〈奇跡〉を〈魔法〉だと断じている点。

これは超重要。

長くなってきたので、今日はここまで。

「ディミター」講義 第一講
「ディミター」講義 第二講

「ディミター」講義 第三講

「ディミター」講義 第四講

そんな「ディミター」は2013年1月26日(土)開催予定のネタバレ円卓会議【ディミター】のお題になっています。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年11月30日

「ディミター」講義 第四講

ここ最近、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「ディミター」を読んでいる。
「エクソシスト」で有名なウィリアム・ピーター・ブラッティのミステリーである。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
あらすじ:1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を 出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中 で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ!

まだわたしは「ディミター」を最後まで読んだ訳ではないのだが、なんとなく、次の作品のお話をしなくてはいけないような気がする。

「グリーン・マイル」
著者:スティーヴン・キング
訳者:白石朗
出版社:新潮社

さて、なぜこんな話をしているか、と言うと、「ディミター」のp365にとっても気になる一文があるのだ。

けっこう。きみたちの聖パウロにも関係した話だよ。聖パウロはもともとわれわれの仲間のユダヤ教徒でサウルといい、ディミター同様に伝説的な暗殺者だった。キリスト教徒を追っては、無慈悲に殺していたんだ。そしてある日、仲間たちともどもダマスコのキリスト教徒たちを殲滅するべくその地にむかっている途中、神秘体験をした。なにものかの力によってーー天空の白くまばゆい光によってーー馬から地面に突き落とされ、そして声を耳にした。それからまもなく、サウルはきみたちの聖パウロになった。ディミターにも、おなじようなことが起こったんだ。ディミターは自分の神秘体験に衝撃をうけたーーイエス・キリストに関係した神秘体験だった。またサウルと同様、最初は自分の身になにが見舞ったのかも理解できなかった。しかしディミターなら、なにをすると思う? 決まってるとも! あの男は、自分を地面に打ち倒した力の正体をつきとめるために、エルサレムに来たんだよ。いや、人々は馬から突き落とされたと考えているようだが。

それでは、スティーヴン・キングの「グリーン・マイル」という物語の本当の姿を紹介しよう。

死刑囚監房で看守を務めるポール・エッジコムは、いままで数多くの死刑囚を電気椅子におくり続けていた。

ポール・エッジコムは双子の少女を強姦殺人した罪で収監されている死刑囚ジョン・コーフィが起こすいくつかの奇跡を目にする。

しかし、最終的にポール・エッジコムはジョン・コーフィを電気椅子におくってしまう。

ポール・エッジコムは、ジョン・コーフィの奇跡の力で寿命を引き延ばされ、ジョン・コーフィが起こした奇跡の体験談を世間に広める役割を担うことになる。

そて、既にお判りのことだと思うが、「グリーン・マイル」に登場するポール・エッジコムは使徒パウロ(聖パウロ)の暗喩であり、もちろんジョン・コーフィはJCをイニシャルを持つこともあることから、イエス・キリストの暗喩である。

それでは、「グリーン・マイル」の物語を「ディミター」からの引用を基に再構成してみよう。

「グリーン・マイル」の物語で、使徒パウロの暗喩であるポール・エッジコムはキリスト教徒の暗喩である多くの死刑囚を次々と迫害し死にいたらしめていた。

無実の罪で収監されている死刑囚ジョン・コーフィを粛々と電気椅子におくろうとするポール・エッジコムだったが、イエス・キリストの暗喩であるジョン・コーフィの起こす奇跡を目の当たりにしたポールはコーフィをどうにかして救おうとするが、結果的に電気椅子におくることになってしまう。

ポールの人生はコーフィの奇跡の力で、引き延ばされ、コーフィの奇跡を後世に伝える役割を担うことになる。

一方「ディミター」だが、驚いたことにディミターのファースト・ネームはポールである。これからもわかるようにポール・ディミターは使徒パウロ(聖パウロ)の暗喩だと言える。

と言うか、先程の「ディミター」からの引用部分をみると、あまりにもあからさまで、読んでいる自分が少し恥ずかしくなるくらいである。

そして、更に興味深いのは、ポール・ディミターはたくさんの手紙《ディミター書簡》を残しているのだ。これはどう考えても《パウロ書簡》の暗喩であろう。

《パウロ書簡》とは「新約聖書」にある「ローマの信徒への手紙」「コリントの信徒への手紙一」「コリントの信徒への手紙二」「ガラテヤの信徒への手紙」「フィリピの信徒への手紙」「テサロニケの信徒への手紙一」「フィレモンへの手紙」等を指す。

英米文学を理解する上で、最も必要な原典は大きく三つ。それは「聖書」「スタートレック」の知識である。

今回の「ディミター」「エクソシスト」同様、「聖書」やキリスト教的な言及に満ちている。

尤も「ディミター」「グリーン・マイル」の影響を受けている、と考えることも出来るけどね。

そんなことを考えながら、わたしは「ディミター」を読んでいる訳。

ここまで読んだら、「ディミター」のエピグラフ(p12)を読んでね。

「ディミター」講義 第一講
「ディミター」講義 第二講
「ディミター」講義 第三講
「ディミター」講義 第五講

そんな「ディミター」は2013年1月26日(土)開催予定のネタバレ円卓会議【ディミター】のお題になっています。

余談だけど、「ディミター」「グリーン・マイル」も白石朗訳ですね。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年11月29日

「ディミター」講義 第三講

ここ最近、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「ディミター」を読んでいる。
「エクソシスト」で有名なウィリアム・ピーター・ブラッティのミステリーである。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
あらすじ:1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を 出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中 で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ!

まだわたしは「ディミター」を最後まで読んだ訳ではないのだが、なんとなく、次の映画のお話をしなくてはいけないような気がする。

「ある愛の詩」
監督:アーサー・ヒラー
原作・脚本:エリック・シーガル
音楽:フランシス・レイ
出演:ライアン・オニール(オリバー・バーレット四世)、アリ・マッグロー(ジェニー)、レイ・ミランド(オリバー・バーレット三世)、ジョン・マーリー(フィル)、キャサリン・バルフォー(オリバー夫人)、ラッセル・ナイプ(トンプソン)、トミー・リー・ジョーンズ(ハンク)、ウォーカー・ダニエルズ(レイ・ストラットン)

あらすじ:オリバーが最初にジェニーに出会ったのは大学の図書館だった。名家の四世とイタリア移民の娘という余りにも身の上の違う2人だったが、彼らは次第に惹かれ 合っていった。父の反対を押し切ったオリバーは、ハーバードの法律学校へ入る少し前にジェニーと結婚。送金は中止されるが、学費や生活費の為にジェニーは 働き、貧しいながらも幸せな日々を送っていた。やがてオリバーは優秀な成績で卒業、法律事務所へ勤めるため、2人はニューヨークへ移る。そんな新しい生活 が始まろうとしていたその時、オリバーは突然医者からジェニーが余命短い事を知らされる……。

さて、なぜこんな話をしているか、と言うと、「ディミター」のp322にとっても気になる一文があるのだ。

サミアはキッチンの小さな丸テーブルを前にすわり、慎重な手つきで日記を書いていた。明るい青インクをつかい、小さいが丸みを帯びた優美な文字で、《愛とは本当のところなんなのか?》と書きつける。体は疲れ、気分はふさいでいた。

《愛とは本当のところなんなのか?》

この問いの答えは、どう考えても《愛とは決して後悔しないこと》("Love means never having to say you're sorry")だろう。

そう、これは皆さんご承知のように映画「ある愛の詩」(1970)の名台詞である。

因みにこの訳文《愛とは決して後悔しないこと》は、《君の瞳に乾杯》("Here's looking at you, kid.")や、《お楽しみはこれからだ》("You ain't heard nothin' yet!")等で有名な高瀬鎮夫の訳。

そして、そんな訳で「ディミター」には、前述の問い《愛とは本当のところなんなのか?》から派生する「ある愛の詩」への言及だと思えるシーンが何ケ所かあるのだが、個人的にはp344あたりの描写が興味深い。

ちょっと違うと思うけど、「ある愛の詩」のオリバーとジェニーが雪の中で戯れているシーンを思い出した。

ところで、先日のエントリー『「ディミター」講義 第一講』『「ディミター」講義 第二講』でお話ししたように、ウィリアム・ピーター・ブラッティは映画に対する思い入れが人一倍強く、自らの作品には映画に対する言及や暗喩が非常に多い。

「カサブランカ」(1942)、「第三の男」(1949)ときて「ある愛の詩」(1970)とは、映画ファンならずとも興奮しますよね。

「ディミター」講義 第一講
「ディミター」講義 第二講
「ディミター」講義 第四講
「ディミター」講義 第五講

そんな「ディミター」は2013年1月26日(土)開催予定のネタバレ円卓会議【ディミター】のお題になっています。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年11月27日

「ディミター」講義 第二講

ここ最近、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「ディミター」を読んでいる。
「エクソシスト」で有名なウィリアム・ピーター・ブラッティのミステリーである。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
あ らすじ:1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を 出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中 で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ!

まだわたしは「ディミター」を最後まで読んだ訳ではないのだが、なんとなく、次の映画のお話をしなくてはいけないような気がする。

「第三の男」
監督:キャロル・リード
製作:キャロル・リード、デヴィッド・O・セルズニック、アレクサンダー・コルダ
原作・脚本:グレアム・グリーン
音楽:アントン・カラス
出演:ジョセフ・コットン、オーソン・ウェルズ、アリダ・ヴァリ、トリヴァー・ハワード、バーナード・リー、ジェフリー・キーン、エルンスト・ドイッチェ

あらすじ:第二次大戦後、米英仏ソの四ヶ国による四分割統治下にあったオーストリアの首都ウィーン。

アメリカの売れない小説家ホリー・マーチンスは、親友ハリー・ライムから仕事を依頼したいと誘われ、意気揚々とウィーンにやって来た。

ライムの家を訪ねるマーチンスだが、門衛はライムが自動車事故で死亡したと彼に告げる。ライムの葬儀に出席するマーチンスは、そこでイギリス軍のキャロウェイ少佐と知り合う。少佐はライムが闇取引をしていた悪人だと告げたが、信じられないマーチンスはライムへの友情から事件の真相究明を決意する。

事件の関係者を調査するマーチンスは、ライムの恋人であった女優のアンナ・シュミットと出会う。マーチンスと彼女は二人で事件の目撃者である宿の門衛に話を聞き、現場に未知の〈第三の男〉が居たことをつきとめる。しかし貴重な証言を残した門衛は何者かに殺害され、マーチンスがその下手人だと疑われてしまう。また、国籍を偽っていたアンナもパスポート偽造の罪でソビエト連邦のMPに連行されてしまう。

進退に窮したマーチンスは、アンナの下宿の近くで〈第三の男〉と邂逅する。

いかがでしょう。

なにか思い当たる節はありませんか?

そうです。その通りです。
もうお判りの方も多いと思いますが、取りあえず、「ディミター」のp157から引用してみます。

このときにも、燃えているランドローヴァーとガソリンポンプしか見えなかった。ランドローヴァーにはだれも乗っていなかったし、運転手の姿も見あたらなかった、と妻は供述している。しかし、夫の供述は少し異なっていた。

答 ふたりめの男がいたよ。
問 まちがいありませんか?
答 まちがいない。ただし、わかってほしいが、この目で姿を見たわけじゃないぞ。ベッドから出なかったからね。足のせいで。ただ、音はきこえた。

なんと、自動車事故の現場に〈第二の男〉が!

次いで、「ディミター」のp281から引用します。

「約束するとも。さてと、ディミターと初めて会ったいきさつを話してくれ」
「ある晩、あの男はヤッフォ門のすぐ近くにある〈パズ〉のガソリンスタンドで、悲惨な交通事故を起こしたんです」
メラルは思わず目を見ひらいた。
「きみが〝ふたりめの男〟だったのか!」

いやぁ、興奮しますね。

先日のエントリー『「ディミター」講義 第一講』でお話ししたように、ウィリアム・ピーター・ブラッティは映画に対する思い入れが人一倍強く、自らの作品には映画に対する言及や暗喩が非常に多い。

先日は「カサブランカ」に関する言及が「ディミター」に含まれている話をしたが、今日はなんと「第三の男」への暗喩である。

これは映画ファンならずとも興奮するのではないだろうか。

余談だけど、「第三の男」の音楽はアントン・カラス(Anton Karas)。
カラスと言えば、「エクソシスト」のカラス神父(Father Karras)のことを思い出すよね。スペルは違うけど。

そんな「ディミター」は2013年1月26日(土)開催予定のネタバレ円卓会議【ディミター】のお題になっています。

「ディミター」講義 第一講
「ディミター」講義 第三講
「ディミター」講義 第四講
「ディミター」講義 第五講

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年11月20日

「ディミター」講義 第一講

ここ最近、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「ディミター」を読んでいる。
「エクソシスト」で有名なウィリアム・ピーター・ブラッティのミステリーである。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
訳者:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
あらすじ:1973年、宗教弾圧と鎖国政策下の無神国家アルバニアで、正体不明の人物が勾留された。男は苛烈な拷問に屈することなく、驚くべき能力で官憲を出し抜き行方を晦ました。翌年、聖地エルサレムの医師メイヨーと警官メラルの周辺で、不審な事件や〈奇跡〉が続けて起きる。謎が謎を呼び事態が錯綜する中で浮かび上がる異形の真相とは。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作ミステリ!

まだわたしは「ディミター」を最後まで読んだ訳ではないのだが、p125に気になる一文があった。

あまり先の予定は立てない主義だ。

なんと!?
これはどう考えても、

I never make plans that far ahead.

の訳文に違いない。

もちろんわたしは現時点で「ディミター」の原文にあたった訳ではないので、これがわたしの妄想である可能性は否定できないが、おそらくはわたしの考え通りだろう。

そう、既に多くの映画ファンの皆さんがお気付きのように、"I never make plans that far ahead." は、映画「カサブランカ」(1942)に登場する、映画史に残る、と言っても良いくらいの名台詞であろう。

ところで、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「エクソシスト」の背景を思い出してみよう。

悪魔に取り憑かれた少女リーガンの母親であるクリスの職業は女優であり、盟友である映画監督の新作の撮影のためにジョージタウンに一軒屋を借り滞在している。

わたしが「エクソシスト」の原作を読んだのは大人になってからのことで、最初に映画を観た子どもの頃、その登場人物が女優であったり映画監督であることになんとなく違和感を感じていた。映画で映画制作現場を描く事になんとはなくの手抜き感を感じていたのだ。

しかしながら、原作でもその映画に関する設定は同様だった。

つまり、おそらくはウィリアム・ピーター・ブラッティは映画に対し大きな関心や思い入れを持っていたのではないかと推測することができる。

もちろん、ウィリアム・ピーター・ブラッティはコメディ映画の脚本家としてキャリアをスタートしているのだから、映画に対する思い入れが大きいのも不思議ではない。

そんなこともあり、ウィリアム・ピーター・ブラッティの「エクソシスト」にしても本作「ディミター」にしても映画に関する言及が比較的多く登場する。

さて、今日の本題の "I never make plans that far ahead." についてだが、決定版とも言える高瀬鎮夫訳で前後の台詞を紹介してみよう。

Where were you last night?
昨日の夜はどこにいたの? 

That's so long ago, I don't remember.
そんな昔のことは覚えていないな。

Will I see you tonight?
今夜会ってくれる?

I never make plans that far ahead.
そんな先のことは分からないな。

どうでしょう。
皆さんご存知の有名な台詞ですよね。

さて、それでは何故「ディミター」では、"I never make plans that far ahead." 「あまり先の予定は立てない主義だ。」と翻訳しているのか。

原文は、前述のように"I never make plans that far ahead." なので、訳文は直訳に近いものであり、決して間違っている訳ではない。

一方、「そんな先のことは分からないな。」は、言ってみれば誤訳に近い意訳だと言えるだろう。しかし、名訳は名訳である。

それなら何故、疑問が膨らむ。

例えば、引用が映画の台詞からの引用ではなく、例えば小説の一節からの引用であるような場合は、その作品が仮に他の出版社の作品であったとしても、出版社、作品名、もちろん翻訳者名を含む注釈付きで引用される場合が多い。

また、パプリックドメインのDVDの字幕や吹替えは、権利者に無断で使用する事ができないため、独自の字幕や吹替えを付ける事が多いのだが、もしかすると出版業界と映画業界の権利関係の取り扱いに違いがあるのであろうか。

そんなことを考えながら「ディミター」を読んでいる訳。

そんな「ディミター」は2013年1月26日(土)開催予定のネタバレ円卓会議【ディミター】のお題になっています。

余談だけど、「エクソシスト」に登場するダイアー神父とキンダーマン警部補は映画好きなキャラクターとして描かれ、エピローグは「カサブランカ」のラストシーンに触れていますよ。

「ディミター」講義 第二講
「ディミター」講義 第三講
「ディミター」講義 第四講
「ディミター」講義 第五講

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年10月10日

「悪魔払い」専門誌創刊!?

月刊「エクソシスト」創刊号 余談ですが、2012年10月10日に産経ニュースが伝えるところによると、ポーランドで「悪魔払い」の専門誌"EGZORCYSTA"が創刊された模様。

「悪魔払い」専門誌創刊 世界初、ポーランド

ポーランドで世界初とされる「悪魔払い」の専門誌が創刊され、話題を呼んでいる。キリスト教の儀式として行われる悪魔払いの正しい知識を伝え、オカルトブームに警鐘を鳴らすのが目的で、カトリックの神父が全面協力している。

専門誌は月刊「エクソシスト」。一部10ズロチ(約250円)で、発行部数は1万5千部。9月に出た創刊号は「悪魔は本当にいる」などのタイトルの記事を掲載、子育ての悩みに答える一般的な記事もある。第2号は占いについて特集した。

ローマ法王庁(バチカン)はエクソシスト(悪魔払い師)を公認しており、一部のカトリック教会では取りついた悪魔を追い払う儀式が行われている。(共同)

いかがですか。

キリスト教の儀式として行われる悪魔払いの正しい知識を伝え、オカルトブームに警鐘を鳴らすのが目的で、カトリックの神父が全面協力している。

これは読んでみたいですね。

月刊「エクソシスト」("EGZORCYSTA")創刊時のニュース映像もありました。

Polish Exorcism Magazine by Roman Catholic Priests about Real-Life Exorcists and Demonology


@tkr2000

@honyakmonsky

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2012年7月 2日

ウィリアム・ピーター・ブラッディの「ディミター」は9月発売か!?

Dimiter ミステリー作家綾辻行人氏のツイートによると、ウィリアム・ピーター・ブラッディの2010年発表の長篇小説「ディミター」の翻訳が2012年9月に創元推理文庫から出版される模様。

「ディミター」
著者:ウィリアム・ピーター・ブラッディ
翻訳:白石朗
出版社:東京創元社(創元推理文庫)
発売日:2012年9月
概要:アルバニアで捕まったポール・ディミターと言う名のスパイは当局により拷問される。
当局は、地獄からのエージェント("Agent from hell")と言う二つ名で知られるポール・ディミターから多くの情報を引き出そうとするが、拷問の途中でポール・ディミターは脱走してしまう。

一年後のエルサレム。
アラブとヨーロッパのハーフの警官ピーター・マレルは精神病院から脱走したと思われる殺人事件の犠牲者を発見するが・・・・。

折角なので綾辻行人氏と白石朗氏のツイートを紹介する。

78
『エクソシスト』の原作を書いたウィリアム・ピーター・ブラッディの新作(!)『ディミター』の邦訳をゲラで読む。とっつきはちょっと悪いが、途中からやめられなくなった。創元推理文庫で今秋(?)刊行予定、とか。

80
ブラッディの『ディミター』は9月刊行だそうです。翻訳は白石朗さん。私は帯にコメントを書かせていただく予定。

87
『ディミター』の感想をツイートしてくださり、ありがとうございました。ウィリアム・ピーター・ブラッティは1928年生まれですから今年84歳で、『ディミター』は82歳での刊行。矍鑠たるものです。帯のコメント楽しみにしています。

 

81
あ、白石さん。恐縮です。

実はわたし、ウィリアム・ピーター・ブラッディの「ディミター」はホラー小説だと思っていたのですが、どうやらミステリー小説のようですね。

もしかしたら、トム・ロブ・スミスかロバート・ラドラムのような。

@tkr2000
@honyakmonsky

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2012年6月27日

ウィリアム・フリードキン「エクソシスト」のテレビシリーズでのリメイクはなしと断言

ウィリアム・フリードキン
2012年6月27日にシネマトゥディが伝えるところによると、ウィリアム・フリードキンが「エクソシスト」のテレビシリーズとしてリメイクされることはない、と断言した模様。

なお「エクソシスト」の全10話のテレビシリーズリメイクについては以前のエントリー『「エクソシスト」よ、おまえもか!』を参照いただきたい。

『エクソシスト』のウィリアム・フリードキン監督、テレビシリーズでのリメイクはなしと断言

[シネマトゥデイ映画ニュース] 1973年のホラー映画『エクソシスト』が、10エピソードのテレビシリーズとしてリメイクされることになったと伝えられていたが、オリジナル版の監督ウィリアム・フリードキンは、ウェブサイトdigitalspyの取材で、テレビシリーズの企画は存在しないと断言している。

フリードキンは、「『エクソシスト』のテレビシリーズの企画なんてないよ。週に一度のエクソシストなんて、バカげた話だ」とコメント、オリジナル版の映画が40年代にメリーランドで実際に起こったたった一つの事象を描いているのに対し、テレビシリーズを持続させるためには、嘘をたっぷり盛り込まなければならなくなると、シリーズ化の難しさを指摘している。  

映画の原作となった同名小説「エクソシスト」の著者、ウィリアム・ピーター・ブラッティも、5月にウェブサイトbleedingcoolにて、「まったくのデマだ」とテレビシリーズ化の可能性を否定しており、著作権はいまもなお自分が所有していることを明言している。そればかりか、「フリードキンと僕は、ミニシリーズのリメイクの脚本に取り組んでおり、いつか形になればと思っている」と、オリジナルクリエイターたちによる、まったく別の『エクソシスト』リメイク企画の可能性を示唆してもいる。  

『マーサ・マーシー・メイ・マーリーン(原題) / Martha Marcy May Marlene』のショーン・ダーキン監督が脚本と監督を担当すると伝えられていたテレビシリーズ企画には、もはや現実味はないのだろうか。あるいは、現実性を帯びてきた企画に対し、オリジナルのクリエイターたちが挑戦状を突き付けたのだろうか。成り行きにしばし着目したい。(鯨岡孝子)

なお、ニュースソースはここ。

Exclusive: 'The Exorcist' director William Friedkin: 'TV remake is not happening'

まあ、最終的には誰が権利を持っているのか、と言うことですね。

前述のシネマトゥディの記事では、著作権はウィリアム・ピーター・ブラッティが持っていると言う話だけど、著作権をブラッディが持っているのは当り前で、実際は、映像化のオプションを誰が持っているのか、と言う事が重要。

多分ワーナーが持っているんじゃないかな。

@tkr2000
@honyakmonsky

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