カテゴリー「モーパッサン」の1件の記事

2012年5月31日

「友人に貸したネックレス」をめぐる冒険

今日も翻訳作品に関する余談。

先日のエントリー『「兄が部屋から出てきません。」をめぐる冒険』が思いのほか人気のようなので、二匹目の泥鰌よろしく、同様のコンセプトでエントリーしてみたいと思います。

先ずは、YOMIURI ONLINE発言小町のトピック『友人に貸したネックレス』を読んでみてください。

友人に貸したネックレス

トピ主の発言を引用します。

友人に貸したネックレス
森ガール

トピを開いていただきありがとうございます。

先日、友人にネックレスを貸しました。

友人は結婚してあまり自分で自由にお金が使えなくなったそうで、知人の結婚式に付けて行く適当なネックレスを私に貸して欲しいとお願いされました。

我が家は、祖母が貴金属収集が趣味だったこともあり、私自身のものも含めてかなりの量があります。

友人はいくつか見て、私のネックレスを気に入って借りて行きました。
結婚式後、連絡が無かったので、私の方から催促し、一ヶ月ほど経ってようやく返ってきました。

受け渡しの時は、他に用事もあったのでネックレスをちゃんとチェックしなかったのですが、友人が帰った後によくよく見るとちょっと雰囲気が違います。

そのネックレスは、イミテーションの安物で、元々1ctの模造ダイヤが付いていたのですが、ちょっと重くなっているような。。。

友人以外に貸したこともないですし、恐らく、友人が本物と交換したのかもしれません。。。

友人に何と伝えるべきか、イミテーションだったと言うべきか、アドバイスをいただけますか。

いかがですか。

これに対するレスも100本以上ありますので、そちらも眺めてみてください。

トピ主に対していろいろなレスがついています。

続いて、トピ主のレスがついていますので、そちらもみてください。
どちらかと言うと辛辣なレスの方が多いかな。

ごめんなさい、書き方が悪くて。
森ガール

私が元々持っていたネックレスが模造ダイヤを使った安物です。

働き始めのお金のない時に買ったものなので思い入れがあり、友人には「大切なものだから必ず返してね!」とお願いして貸しました。
イミテーションとは伝えていません。

友人から返してもらったネックレスは、確信はできませんが、少しデザインが変わっている気がします。
返すのにも時間がかかりすぎているし。。。

皆さん、アドバイスありがとうございます。
森ガール

沢山のアドバイスがあり、どれもとても有益で、私一人だったら気付かないものばかりでした。

彼女に話すのは止めておきます。

元のネックレスはイミテーションですから鑑定書はありません。
軽く聞いてみることも考えました。
ただ、私の勘違いであれば、彼女の気分を 害することになるかもしれません。

何人かの方が鑑定をしてみてはとアドバイスいただいていますが、元々イミテーションですし、仮に本物であった場合彼女に何と話していいか分かりません。 (1ct超のダイヤのネックレスはかなり高額になると思います。)

友人とはこれからも良い関係でいたいです。

さて、皆さんはどうお感じになりましたか。

発言小町では一体何が起きているのでしょう。

既に何が起きているのか察している方もいらっしゃると思うのですが、この発言小町では、ギ・ド・モーパッサンの「首飾り」に登場するフォレスチエ夫人が、友人のマチルドに貸して戻ってきた首飾りが、どうやら貸した首飾りと違うので、どうしすべきか、と、発言小町に助けを求めているのです。

モーパッサンの「首飾り」と言う短篇小説は、道徳の時間の教材になったり、子ども向けに抄訳されたものが学習雑誌に掲載されたりしているので、ご存じの方も多いと思います。

物語の主人公は首飾りを借りる立場のマチルドとその夫ロワゼルである。

彼らはフォレスチエ夫人から借りた首飾りをなくしてしまったため、その首飾りにそっくりな首飾りを借金をしてまで買い求め、フォレスチエ夫人にその首飾りを返すことにする。

そして彼らは10年間を費やしてその借金を返済するのである。

そんなある日、マチルドは街中で偶然フォレスチエ夫人に出会い、首飾りの一件を打ち明けるが・・・・

ところで、前回の『「兄が部屋から出てきません。」をめぐる冒険』同様、発言小町でレスをつけている人達はこれがモーパッサンの「首飾り」を模したトピックだとは気付いていないのです。

これまた悲しいトピックになってしまっています。

余談ですが、わたしが気になった部分を紹介します。

1.森ガール

このトピックは、マチルドの視点からではなくフォレスチエ夫人の視点から「首飾り」の物語を再構築したものです。

従って、トピ主の森ガールはフォレスチエ夫人だと言うことになります。

フォレスチエ+夫人=森(フォレスト)+ガール

なのでしょう。

2.彼女に話すのは止めておきます。

この決意によって、このトピック「友人に貸したネックレス」は、モーパッサンの「首飾り」として昇華されるのです。

おそらくですが、もしこの発言小町が10年後まで続いていたとすると、このトピックのトピ主である森ガールは、つまりフォレスチエ夫人はマチルドから、返した首飾りの由縁を告白され、その告白について再度発言小町に助けを求めるのではないでしょうか。

@tkr2000
@honyakmonsky

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

A・E・ヴァン・ヴォークト C・S・ルイス E・E・スミス E・L・ジェームズ F・スコット・フィッツジェラルド Gary L. Stewart H・G・ウェルズ J・D・サリンジャー J・G・バラード J・K・ローリング J・R・R・トールキン Matthew De Abaitua P・D・ジェームズ P・G・ウッドハウス S・J・ボルトン S・S・ヴァン・ダイン ■SF ■コメディ ■ノンフィクション ■ファンタジー ■ホラー ■ミステリー ■児童書 ■冒険小説 ■叙事詩 ■幻想 ■文芸 ■漫画 ■美術 ■詩歌 ●tkr ●unyue 「ピパの唄」 はじめに アイザック・アシモフ アイラ・レヴィン アガサ・クリスティ アゴタ・クリストフ アニメーション アラン・グレン アルフォンス・ドーテ アルフレッド・ウーリー アルフレッド・ベスター アンソニー・ドーア アンソニー・バージェス アンディ・ウィアー アントニイ・バークリー アンネ・フランク アン・ライス アーサー・C・クラーク アーサー・コナン・ドイル アーナルデュル・インドリダソン アーネスト・ヘミングウェイ イアン・フレミング イアン・マクドナルド イーユン・リー ウィリアム・ギブスン ウィリアム・シェイクスピア ウィリアム・ピーター・ブラッティ ウィリアム・ボイド ウィリアム・リンク ウォルター・ウェイジャー ウラジミール・ソローキン エドガー・アラン・ポー エドガー・ライス・バローズ エドワード・D・ホック エド・ファルコ エマ・ドナヒュー エミリー・ブロンテ エラリー・クイーン エリザベス・ビショップ エリック・シーガル エルモア・レナード オースン・スコット・カード カズオ・イシグロ カレル・チャペック カート・ヴォネガット カート・ヴォネガット・ジュニア ガレス・L・パウエル キャロル・オコンネル ギャビン・ライアル ギレルモ・デル・トロ クリストファー・プリースト グレアム・グリーン ケイト・アトキンソン ケイト・モートン ケン・キージー コニー・ウィリス コーマック・マッカーシー サルバドール・プラセンシア シャルル・ボードレール シャーロット・ブロンテ ジェイムズ・P・ホーガン ジェイムズ・エルロイ ジェイン・オースティン ジェニファー・イーガン ジェフリー・ディーヴァー ジェフ・キニー ジェラルディン ・ブルックス ジェームズ・クラベル ジェームズ・パターソン ジェームズ・マクティーグ ジム・トンプスン ジャック・ケッチャム ジャック・フィニィ ジャック・フットレル ジャネット・イバノビッチ ジュディ・ダットン ジュール・ヴェルヌ ジョイス・キャロル・オーツ ジョナサン・キャロル ジョナサン・サフラン・フォア ジョナサン・フランゼン ジョン・クリストファー ジョン・グリシャム ジョン・スコルジー ジョン・スラデック ジョン・ル・カレ ジョン・W・キャンベル・ジュニア ジョージ・A・エフィンガー ジョージ・オーウェル ジョージ・ルーカス ジョーゼフ・キャンベル ジョーン・G・ロビンソン ジョー・ヒル ジル・マーフィ ジーン・ヘグランド スコット・ウエスターフェルド スコット・スミス スコット・トゥロー スタンリー・キューブリック スティーグ・ラーソン スティーヴン・キング スティーヴ・ハミルトン スーザン・D・ムスタファ スーザン・オーリアン スーザン・コリンズ スーザン・ヒル セス・グレアム=スミス ダグラス・アダムス ダシール・ハメット ダニエル・キイス ダニエル・スティール ダフネ・デュ・モーリア ダンテ・アリギエーリ ダン・ブラウン チャイナ・ミエヴィル チャック・ホーガン チャールズ・M・シュルツ チャールズ・ディケンズ テオ・オブレヒト テレビムービー ディミトリ・フェルフルスト ディーン・クーンツ デイヴィッド・ゴードン デイヴィッド・ピース デイヴィッド・ホックニー デイヴィッド・ミッチェル デニス・ルヘイン デヴィッド・セルツァー トマス・H・クック トマス・ハリス トマス・ピンチョン トム・クランシー トム・ロブ・スミス トーベ・ヤンソン トーマス・マン ドナルド・E・ウェストレイク ドン・ウィンズロウ ナーダシュ・ペーテル ニール・スティーヴンスン ネビル・シュート ネレ・ノイハウス ノーマン・メイラー ノーラ・ロバーツ ハリイ・ケメルマン ハワード・フィリップス・ラヴクラフト ハンナ・ジェイミスン ハーマン・メルヴィル バルガス=リョサ バーナード・マラマッド パオロ・バチガルピ パトリシア・ハイスミス ビバリー・クリアリー ビル・S・バリンジャー ピエール・ブール フィリップ・K・ディック フィリップ・プルマン フィリップ・ロス フェルディナント・フォン・シーラッハ フランク・ハーバート フランツ・カフカ フリオ・リャマサーレス フリードリヒ・ニーチェ フレデリック・フォーサイス フレドリック・ブラウン ブライアン・セルズニック ブラム・ストーカー ホンヤクモンスキー ホンヤクモンスキーの憂鬱 ポール・オースター マイクル・コナリー マイケル・クライトン マイケル・コックス マザー・グース マックス・バリー マックス・ブルックス マック・レナルズ マリオ・バルガス=リョサ マリオ・プーゾ マーセル・セロー マーティン・スコセッシ メアリー・シェリー モーパッサン ヤン・マーテル ユッシ・エーズラ・オールスン ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト ライオネル・シュライバー ライマン・フランク・ボーム ライヤード・キップリング ラジオ ラッキー・マッキー ラムジー・キャンベル リチャード・スターク リチャード・バック リチャード・マシスン リチャード・レビンソン リー・チャイルド ルイス・キャロル ルシアン・ネイハム レイモンド・チャンドラー レイ・ブラッドベリ レオ・ペルッツ レビュー ロアルド・ダール ロバート・A・ハインライン ロバート・B・パーカー ロバート・ブラウニング ロバート・ラドラム ロベルト・ポラーニョ ローレンス・ブロック ヴィクトル・ユーゴー 吾妻ひでお 図書館 手塚治虫 文学賞 映画 村上春樹 栗本薫 池井戸潤 湊かなえ 瀬名秀明 竹本泉 米澤穂信 翻訳作品の影響 舞台 董啓章 読書会 貫井徳郎 越前敏弥 黒史郎