カテゴリー「●unyue」の12件の記事

2012年2月22日

第2回 Twitter文学賞 海外部門 速報!

本日、2月22日は「猫の日」であるとともに、第2回Twitter文学賞結果発表の日でもありました。

あなたの投票した小説は?
気になる順位は?

先ほどまで、Ustで生中継されていたTwitter文学賞座談会より、海外部門についての速報です!


★10位★
ジェイムズ・エルロイ「アンダーワールドUSA」


カルロス・バルマセーダ「ブエノスアイレス食堂」



★9位★
マリオ・バルガス=リョサ「チボの狂宴」



チャイナ・ミエヴィル「都市と都市」


 
★8位★
アンソニー・ドーア「メモリー・ウォール」



ジョージ・ソーンダース「短くて恐ろしいフィルの時代」



スティーヴン・キング「アンダー・ザ・ドーム」

 

エリック・マコーマック「ミステリウム」



★7位★
デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」


 

★6位★
イアン・マキューアン「ソーラー」



ケイト・モートン「忘れられた花園」



パオロ・ガチガルピ「ねじまき少女」



★5位★
インドラ・シンハ「アニマルズ・ピープル」



★4位★
サルバドール・プラセンシア「紙の民」



★3位★
フェルディナント・フォン・シーラッハ「犯罪」



★2位★
ジョナサン・サフラン・フォア「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」


 
★1位★
ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」



以上、10位から1位まで17作品でした!

いかがでしたか?
私が投票した「チボの狂宴」は9位、tkr氏の投票した「アンダー・ザ・ドーム」は8位と健闘しました。

1位は「チボの狂宴」とも関係の深い、ドミニカ&独裁者トルヒーヨをモチーフにした「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」でした。 個人的な話なのですが、この本を発売直後に購入したのに、結局今まで積んでしまったのが悔やまれます… 
早く読まなくちゃ。

それから、5位の「アニマルズ・ピープル」は全くのノーマーク。
とても面白そうだったので、早速アマゾンさんちで購入しちゃいました!

それでは、この辺で!
速報担当は、ゆいーことunyueでした!

@unyue
@honyakmonsky 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月21日

第三回 翻訳ミステリー大賞候補作/「二流小説家」

■著者 デイヴィッド・ゴードン
■訳者 青木千鶴
■出版社 早川書房(ハヤカワ・ポケット・ミステリー)
■価格 ¥1,900(税抜き)

デイヴィッド・ゴードン「二流小説家」は、昨年の「このミステリーがすごい!」(宝島社)に始まって「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)、「このミステリが読みたい!」(早川書房)など読者の信頼も篤いベスト本企画において三冠を達成するという偉業を成し遂げている

それだけ物凄いこの作品、どんな内容かと云うと…

物語の主人公は、自分自身の名前で本を書いたことがない冴えない【二流小説家】のハリー。
理解者であった筈の妻は、彼のうだつの上がらなさに愛想を尽かして去り、代理人気取りの女子高校生に鼻面を引き回されている。そんな時、4人の女性を殺した猟奇殺人犯の告白本の執筆者に選ばれるという幸運に恵まれる。殺人犯は、ハリーがポルノ雑誌に連載していたときのファンだと云い、告白本の執筆をさせる換わりにと提示した条件は、刑務所で服役している彼に熱烈なファンレターを書いてよこした女性を取材してそれを元に個人的ポルノグラフィーを執筆すること… とんでもない条件に驚きつつも、仕事を始めるハリーの目の前で再び起こる連続殺人事件!

ってな訳で、この後は思いも寄らなかった展開に…

作中作として、ハリーが過去に様々な名前でものしたSFやミステリがちょいとばかり紹介されたり、彼の文学論や作家としての矜持が語られたり、情けない彼のまさに【二流小説家】ぶりが発揮されたりと盛りだくさんのアイディアが詰まっており、飽きる事なく読み進める。 そして、最後に待っている驚き…

この「二流小説家」はエンターテインメントとして本を読むことを本当に楽しめる作品となっている。

訳者は、青木千鶴氏。

フレッシュな作家陣とデザインになったポケット・ミステリーですでに「湖は飢えて煙る」「記者魂」、そして「二流小説家」と3冊もの話題のミステリを訳しておられる。

ところで… 「二流小説家」に於いて、わたしが気になる所。

ハリーは【二流小説家】と云う設定になっているのだが、名前を使い分け、性別や老若や人種を超えて様々なジャンルの本を書飛ばせると云う事は、実は、本名で小説を書くだけ(?)の作家よりも凄いんじゃないの? と云う事。 

まあ、腰を落ち着けて自身の執筆の方向性を決められないと云うのが【二流小説家】たる所以かもしれないけれど…

それから… 何故か、エピローグの最後の数行が全く理解出来ない事。

一体どうして、あんな終わり方なのか?
彼は一体何が云いたいのか?
そして、一体何をしたと云うのか?

超〜っ気になる。

この事を、「二流小説家」を読了した何人かの猛者に直接尋ねてみたが、そんな事気にするほどの事じゃないし、書いてある通りに素直に読めばいい… と云う意見や、冒頭の文章(以下引用)【小説は冒頭の一文が何より肝心だ。唯一の例外と言えるのは、結びの一文だろう。結びの文は、本を閉じても読者のなかで響き続ける。】(引用終わり)と呼応しているのであって、そこは拘りポイントではない… また、続編の存在をチラ見せしているのではないか… など、特に気にならなかったという方が殆どであった事を付け加えておく。

もしも、まだ「二流小説家」を読んでいらっしゃらない方がおられたら、是非、最後の数行に注目して読んでいただき、是非、わたしにその意味を教えていただきたい。

@unyue
@honyakmonsky 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年2月19日

第三回 翻訳ミステリー大賞候補作/「犯罪」

■著者 フェルディナント・フォン・シーラッハ
■訳者 酒寄進一
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,890(税抜き)

昨年の上半期の超話題作「犯罪」は、ドイツで刑事弁護士であるフェルディナント・フォン・シーラッハによる処女短篇集である。
シーラッハが自身の刑事弁護士としての経験を踏まえて【人それぞれの犯罪】のあるがままの姿を客観的で淡々とした視点で捉えた11の犯罪がこの一冊に集約されている訳である。

とても前評判が高く、短篇好きの私としてもかなり期待して読んだ作品集であった。
普段はかなりいい加減に読み飛ばすタイプの読書の仕方をしてしまうのだが、この作品についてはじっくりと読みたいと思ったので、敢て、一日一篇と云う制限を課して取り組んだ一冊である。

犯罪を犯した人物を距離を置いた風情で語る、淡々とした筆致。

恐らく、刑事事件の弁護士である筆者が依頼人である容疑者を見る視点と同一のものなのだろう、全方位から観察しているという印象があり、単に淡々としていると云う以上の冷徹な雰囲気を醸し出しているようだ。 また、これは個人的な感想であるが、どのお話も何故か【必要以上に残酷】なのが印象に残った。 実際に起こった特定の犯罪からインスピレーションを得ている、と云う事なのだが、生身の人間が犯す犯罪の赤裸裸さや残酷さは、所謂「小説よりも奇なり」と云う事なのだろうか…

特に印象に残った作品は冒頭の「フェーナー氏」と最後に置かれている「エチオピアの男」であった。
前者「フェーナー氏」は冒頭を飾るだけあって、この短編集の中の白眉のひとつである。 「一生愛し続ける」と誓った細君との長年の暮らしの描写から、最終的なフェーナー氏の所行を俯瞰。 特に最後の台詞が効いていて、ある意味では普通の事を云っているだけなのにガツンと頭を殴られたような衝撃を感じてしまう。
そして… 最後を締めくくる「エチオピアの男」は、今まで読んだ短篇の中で面白いものを挙げろと云われたら真っ先にリストアップせずにはおれない様な凄みのある作品だ。 この作品に関しては、作者の【犯人への心情】が溢れ出ていると云うか… 他の作品の冷たさ静謐さとはちょっと違う暖かみと云うか、優しさと云うか、一寸ばかりホッとさせるところがあるのがいい。

個人的には大方の高い評価にも関わらず、全体を通してモチーフ(犯罪者や犯罪のあり方)が必要以上に残酷なのに苦手意識を感じてしまったのだが、「フェーナー氏」「エチオピアの男」を読めたと云う事で、この「犯罪」と云う短篇集を読んで良かったと強く思う次第である。

ところで、この「犯罪」の11篇に於いては各物語の中に「リンゴ」のモチーフが隠されている。
中にはつい見逃してしまいそうなものもあるので、気を付けて読もう。(第一版では一部、落ちがあるようなので注意)

この林檎のモチーフは、「犯罪」を最後まで読み進むと明らかなように、マグリットの「これはリンゴではない」を意識した演出であり、「小説として書かれている犯罪」と「実際の犯罪」との対比についてのメタファーなのかな… と思われる。

もうひとつ云っておきたいのは、「犯罪」の装丁の個性的な美しさについてである。
シーラッハ氏の筆致が見事に装丁画で表現されているとひとりひそかに感嘆しているのであるが、皆様にも賛成して頂けるのではないか?
実は、部分的に写真に撮り我がiPhoneのホーム画面にコッソリ設定していたりするのであった…

翻訳は、ドイツ文学の研究者でもある酒寄進一氏。

これまでは、児童文学を中心に翻訳を手がけておられたが、最近、ドイツの最新ミステリシーンの輸入に尽力しておられる様子である。
その詳細について、少し前に【翻訳ミステリー大賞シンジケート】のサイトで連載をされていた事は記憶に新しい。
また、「犯罪」の翻訳裏話については【東京創元社】のサイト上で読むことが出来る

そして!

今一番ホットな話題と云えばコレ

2月18日に東京創元社から刊行された、フェルディナント・フォン・シーラッハの第二短篇集「罪悪」だ!

もう既に読了されている方もおられるだろうけれど、また、今年の翻訳もん世界を話題の渦に巻き込む作品になるに違いない!

わたしも、早く読まなくちゃ。

@unyue
@honyakmonsky 

 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年2月16日

第三回 翻訳ミステリー大賞候補作/「夜の真義を」

■著者 マイケル・コックス
■訳者 越前敏弥
■出版社 文藝春秋
■価格 ¥2,619(税抜き)

帯に曰く。【構想30年。 華麗なるゴシック・ノワール。】
骨太の翻訳小説として昨年、大いに話題になった「夜の真義に」についての様々な評判を見聞きするに、格調高い文体とダークな復讐譚がロマンティシズムを湛えるヴィクトリアン・ノワールであるという論調が多かったように思う。

し、しかし! 私は敢て云いたい!

私がこの作品を読んで思ったのは、寧ろ、この物語は【爽やかな青春を描いた小説】なんじゃないか、と云う事だった。

主人公のグラプソンは天才的な頭脳を持ち、幼少の頃から抜け目のない喰えない人物のようでいて、実際には、あくどい級友に簡単に騙されたり、下心もあろうかと普通ならば警戒するだろう娼婦に愛着を感じて友達のように振る舞ったり、奸婦の奸計を見抜けずにまんまと引っ掛けられたりと非常に無邪気な性格。 もっと頑張って自分の人生を取り戻し楽しく生きたい! と云う猛々しくも瑞々しい意欲に満ちた復讐を企てても、何かちょっとしたところに甘ちゃんの癖が出て何故かちょっとばかりずっこけちゃう… と云うイメージで、実に好感の持てる人物像であると思うのである。

だから、私が「夜の真義に」を読んで真っ先に思い出したのは、ジーン・ウルフの「新しい太陽の書」4部作の主人公セヴェリアン君なのだった。

セヴェリアン君とグラプソン君が活躍する物語の舞台は一般的にはダークで面妖な退廃的世界とされているけれど、その中で彼らが「精一杯生きよう」「もっといい事があるにちがいない!」と前向きに頑張っているのを、親のような気分で見守るのがいいのである。(私見)

本書の翻訳を担当されているのは、云わずと知れた越前敏弥氏。

あのベストセラー、ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」(友達に貸したまま行方不明)や、「惜別の賦」をはじめとするロバート・ゴダードの数々の作品(ゴダードはまだ一冊しか読んでいない…)、化ける前のディーヴァー「死の教訓」「死の開幕」(化けてからの方がやはり)、そしてパーシヴァル・ワイルド「検死審問」シリーズ(超面白、特に「検死審問、再び」は快作!)、ドロンフィールドの問題作「飛蝗の農場」(食わず嫌いだったけれど、読んでみると嵌る)など、枚挙にいとまのない程の翻訳を手がけておられる第一人者である。

この「夜の真義を」でも、処女作にして最高の賛辞を得たと云う華麗なヴィクトリアンスタイルの文体を見事に日本語に翻訳。
手応えと軽やかさを併せ持った、読み応えのある作品なのである。

重厚な翻訳文体と、主人公の若気の至り… 読んでいて感情移入しないではいられない儚さと夢と復讐をめぐる冒険を、是非、この機会に楽しんで頂きたいものである。

@unyue
@honyakmonsky 






| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月15日

第三回 翻訳ミステリー大賞候補作/「忘れられた花園」

■著者 ケイト・モートン
■訳者 青木純子
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,700(税抜き)

実は、わたくし、ケイト・モートンには注目しておりました。

何故ならば、2年前に読んだ彼女の処女作「リヴァトン館」が非常に気に入っていたから… です。

【リヴァトン館】



■著者 ケイト・モートン
■訳者 栗原百代
■出版社 武田ランダムハウスジャパン
■在庫切れ(文庫化間近)

お話は、こんな感じ。

第一次世界大戦下のイギリスでメイドとしてリヴァトン館に奉公に上がった14歳の少女グレイスと館の令嬢ハンナとの交流の中で、ある何気ないひとつの嘘が全てを叩き壊すかのような忌まわしい事件を誘発… その意外な結末。 イギリス上流社会の華やかなりし頃と現在とを行き来して展開するふたつの時間軸のなかでグレイスの視点で語られる中、なぜ事件は起こったのか… 真相が次第に明らかにされてゆく筆致はまさに必読! とても新人作家のものした作品とは思えない完成度の高さで圧倒される小説です。

「リヴァトン館」を読んで彷彿としたのはバーバラ・ヴァインの「ステラの遺産」やダフネ・デュ=モーリアの「レベッカ」… 私の大のお気に入りの作品リストの中に「リヴァトン館」はいかにも自然に入り込んでしまったのです。 

そして、今回、候補作となっている「忘れられた花園」は、そんな彼女の第二作目と云う事で迷わず購入。「リヴァトン館」以上のカレイドスコープ的な構成が特長です。

主人公は、3人の女性… イライザ、ネル、カサンドラ。
20世紀初頭をイギリスで生きた謎の絵本作家イライザ、そして、1913年にどうした訳かひとりイギリスから船に乗りオーストラリアで孤児として引き取られ育てられたネル、現代を生きるネルの姪カサンドラ。

ネルがオーストラリアで孤児となった時に持っていたイライザの描いた絵本、そしてネルの遺産として残されたコーンウォールのコテージに導かれるようにしてイギリスへと向かったカサンドラが見いだす謎の行方とは…

この「忘れられた花園」は、【幼い頃のネル】【若かりし頃のネル】【イギリス、ブラックハースト荘でのイライザ】【ネルと一緒に暮らす幼い頃のカサンドラ】【ネル死亡後のカサンドラ】と云う5つの時代を自在に行き来します。(間違っていないかどうかちと不安…)ひとつひとつのパートはかなり短め。テンポよく各時代での物語が語られ、それぞれのエピソードが語られる度に【本当は何が起こったのか】への謎が薄皮を剥がすように明らかになってくるのです。

そして、これが大きなポイントなんだけれど、その中に挿入される【イライザの絵本の物語】がいい味を出しているんです!
地の文とは違う文字組と飾り罫の入った絵本の物語のパートは、本の作り方としてもメリハリがあって素敵…

翻訳の妙味としては、やはり、この時間軸の入れ替えのスムーズさが印象的です。
勿論、原作の構成が上手いのであって、その翻訳だから当たり前… なのかもしれないのですが、違和感なく5つの時間軸を行ったり来たりすると云う複雑な構成を自然なかたちで翻訳するのには技巧が必要に思えます。(読者を迷わせない翻訳のコツってのがあるに違いない!)
それから、三人の主要登場人物の造形の差。 特に、途中で性格が一変するネルの表現が肝ですね。

翻訳は、青木純子氏。

訳書を拝見してみると…
お… 昨年、話題だったフェリペ・アルファウ「ロコス亭」(積んでる)やマリーナ・レヴィツカ「おっぱいとトラクター」(読了済み)、ギルバート・アデアの「閉じた本」(大好き!)やアンドルー・クルミー「ミスター・ミー」(そんなに好きじゃない…)も青木氏の手になる翻訳本であったのか!

もとい… 「忘れられた花園」は上下2冊600ページを超える大作ですが、テンポよく謎へのアプローチが行われるために、次の展開が気になってどんどんページを捲りたくなり、結果的に一気読みしちゃう力があります。 集中力が持続出来る読み易い小説であると思います。
もしも「まだ読んでいない!」と云う方がおられたら、上下巻の分量に臆せずに是非「忘れられた花園」に挑戦して頂きたいです!

個人的には、読後のすっきり感や【物語上の驚愕の事実】に本当に驚愕した事も相俟って、前作の「リヴァトン館」の方が好きなんですけれどね…(うふ)

翻訳ミステリー大賞の受賞に関しても気になる所ですが、それは別としてもケイト・モートンは、今後、絶対にフォローし続けてゆくべき作家のひとりですぞ!

ところで!
このテキストを書いている間に、ビックニュースが飛び込んで参りました。

何と、在庫がなくなっていた「リヴァトン館」が文庫となって復活するとの事!
買い易くなって再登場の「リヴァトン館」… 是非、この機会に読んでみて下さいませ。 

ケイト・モートンに、ますます注目! ですね!

@unyue
@honyakmonsky 





| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月12日

さあ、今のうちに【 第三回翻訳ミステリー大賞】の候補作を読もう!

今年も【翻訳ミステリー大賞】の季節がやって来ました!

4月14日に予定されている授賞式&コンベンションに向けて、既に最終候補作5作品が決定。 現在、翻訳家の方々による第三次投票が行われている真っ最中です。
昨年も素晴らしい翻訳ものが出版され、様々なベスト企画がある中で、この【翻訳ミステリー大賞】が異彩を放つ所以は、それが、実際に外国語の物語を日本語に翻訳する大切な部分を担う翻訳家の方々が自らの翻訳に対する考え方、経験、矜持を掛けて選ぶ専門家による選出だと云う所にあるのではないでしょうか。
また、だからこそ私たち読者は、この【翻訳ミステリー大賞】に他の賞とは違う視点でのユニークな選出を期待してしまいますよね。

この【翻訳ミステリー大賞】発足の趣旨については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトに於いて発起人の田口俊樹氏が【巻頭言】として書いていらっしゃいます。 私の下手な説明よりも、直接読んで頂きたいので、以下にその一部を転載します。

翻訳ミステリー大賞シンジケートとは?
シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、エルキュール・ポアロ、ミス・マープル、エラリー・クイーン、フィリップ・マーロウといった主人公が 活躍する翻訳ミステリーは、日本でも古くから紹介され、長く親しまれてきました。その伝統は今も受け継がれ、さらに多くの魅力的な主人公が新たに紹介され ています。スペンサー、ミロ・ミロドラゴヴィッチ、マット・スカダー、ハリー・ボッシュ、ジャック・フロスト、リンカーン・ライムといった名探偵、名刑事 たちです。しかし、残念ながら、日本における彼らの知名度はシャーロック・ホームズに遠く及びません。翻訳ミステリーの面白さは少しも変わっていないの に。いや、むしろ作品の質も量もより豊かになっているのに。

 そんな現状に一石を投じ、ひとりでも多くの方々に翻訳ミステリーを手に取ってもらう一助になればと思い、このたび『翻訳ミステリー大賞』を 創設しました(発起人=小鷹信光、深町眞理子、白石朗、越前敏弥、田口俊樹)。年間ベストを選ぶこの手の賞はすでにいくつもありますが、現在活躍中の翻訳 者にかぎっての投票で選ばれるところが本賞の特長です。つまり、翻訳者が自ら選ぶ翻訳大賞というわけです。(以下略)

このように、翻訳もの業界の多くの方々の熱い思いのこもった賞なのです。
この賞をより一層盛り上げるためにも、翻訳もの好きとしてはこれを放っておく事は出来ません!

豊作と云われた今年の翻訳ミステリ世界。
激戦(多分そのはず…)の中で、第一次、第二次選考に残った5作品は次の通りです。

【アンダー・ザ・ドーム(上下)】

■著者 スティーヴン・キング
■訳者 白石 朗
■出版社 文藝春秋
■価格 各¥2,762(税抜き)

【二流小説家】

■著者 デイヴィッド・ゴードン
■訳者 青木千鶴
■出版社 早川書房(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
■価格 ¥1,900(税抜き)

【犯罪】

■著者 フェルディナント・フォン・シーラッハ
■訳者 酒寄進一
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,800(税抜き)

【夜の真義を】

■著者 マイケル・コックス
■訳者 越前敏弥
■出版社 文藝春秋
■価格 ¥2,619(税抜き)

【忘れられた花園(上下)】

■著者 ケイト・モートン
■訳者 青木純子
■出版社 東京創元社
■価格 ¥1,700(税抜き)

以上、勿論、順不同。 

私が、キング命だからと云って最初に書いた訳じゃありませんよ… 単に五十音順っていうだけなんです。

まさに、どの作品も【凄い】物語ばかり… 皆様は、これらの作品をもう読みましたか? 
私は偶然(?)全ての候補作を読んでいるので、由なし事も含め5作品全てについてこのブログで一作ずつご紹介して行きたいと思います。(不定期…)

因みに、第三回【翻訳ミステリー大賞】の全ての候補作品については、翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトのこちらで確認することが出来ます。
興味深い資料なので、是非ご覧下さい。

あ、そうそう! 過去の受賞作品は…

★第一回 翻訳ミステリ大賞 ドン・ウィンズロウ/東江一紀「犬の力」
★第二回 翻訳ミステリ大賞 ジェラルディン・ブルックス/森嶋マリ「古書の来歴」

第一回の時に行われた授賞式&コンベンションの際はお泊まりで大変に楽しい時間を過ごしました。 第二回は3/11の震災の影響もあって、コンベンションは行われなかったものの公開トークイベントとしてUSTで公開中継されましたっけ…

こうやって、歴史は刻まれるんですね…(しみじみ)
とまれ、今年のコンベンションも楽しみです!

@unyue
@honyakmonsky 



  



 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月 8日

「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」第二弾「第六ポンプ」発売!

2011年12月、SF好きには堪らない叢書がスタートしました。
あの往年の銀背の復活だ〜!

その名も「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」

最近、リニューアルして若々しくなったポケット・ミステリと同じサイズ感とこなしで装丁された、小粋なポケット版。 そして、ちょっとレトロでお洒落な小口の茶色が目印… この小口の塗装は、何と、一冊一冊、人の手で塗られているとの事… だからこそ、あの暖かい風合いの色むらが出るんですよ!

…とは云っても、私にとってはハヤカワのSFと云えば青背なんですけれど…

今回の新叢書は、往年のSFファンからアニメやマンガに親しんでいる若者まで、幅広い年代へ向けての「センス・オブ・ワンダー」のプレゼンテーション、と云う事で、実際に、第一回目の配本は少年少女向けの冒険小説「リヴァイアサン」からのスタートとなっています。

【リヴァイアサン ークジラと蒸気機関ー】

■著者 スコット・ウエスターフェルド
■訳者 小林 美幸
■出版社 早川書房(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
■価格 ¥1,680

この「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の記念すべき一冊目となる「リヴァイアサン ークジラと蒸気機関ー」は、最近、トレンドセッターの間で話題の「スチームパンク」的テーマの冒険小説です。
歴史改変(っつーか、平行宇宙?)ものでもあり、産業革命を経て機械工学を尊ぶドイツなど【クランカー】と呼ばれる陣営と、イギリスを中心とした遺伝子工学を発達させ、バイオテクノロジーで作り出した獣を動力として使う【ダーウィニスト】が一触即発の状態にある世界が舞台となっています。 こちらの世界で云う所の第一次世界大戦前夜… ですね。 その中で出逢う少年と少女を中心にした冒険エンターテインメントなのです。

しかも、何と、この「リヴァイアサン」は三部作の第一作目!
まだまだ、物語の入り口に立ったばかりなのです!

勿論、同じ「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の中で第二作、第三作も登場する予定です。
気になる二作目「ベヒモス」の配本は2012年6月、三作目の「ゴリアテ」は2012年12月の配本予定となっています。 丁度一年を掛けての完結! と云う事で、この叢書の記念碑的な作品となる事は間違いないのではないでしょうか。

そして!

来たる2012年2月9日には、待望の「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の第二回目が配本となります。

気になるタイトルは、何と… 昨年の話題作「ねじまき少女」(エミコ!)のパオロ・バチガルピの第一短篇集「第六ポンプ」が満を持しての登場です!
「ねじまき少女」と世界観を同じにする「カロリーマン」他、初訳5篇を含む全10作品が収録されています。

【第六ポンプ】

■著者 パオロ・バチガルピ
■訳者 中原 尚哉/金子 浩
■出版社 早川書房(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
■価格 ¥1,680

【ねじまき少女(上下)】

■著者 パオロ・バチガルピ
■訳者 田中一江
■出版社 早川書房(ハヤカワSF文庫)
■価格 各¥882

これは、生本屋に走るしかないですね!

新☆ハヤカワ・SF・シリーズでは、この後も、「火星夜想曲(絶版)」イアン・マクドナルド「航路(絶版)」「ドゥームズ・デイ・ブック」コニー・ウィリス「都市と都市」が記憶に新しいチャイナ・ミエヴィル「奇術師」「双生児」クリストファー・プリーストなど、超豪華ラインナップ!

せっかく、今、この叢書がスタートした同じ空間にいると云う事は、ラインナップをコンプリートしないでは気が済まないように思えて来ちゃいます… 




ところで…

あなたは、【銀背】【青背】を何と発音していましたか?
私は「ぎんぜ」「あおぜ」だったのですが、多くの方が「ぎんせ」「あおせ」と読んでいた! と「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の発売を機に、SF世界が一時騒然となりました。 こんな話題で楽しめたのも、新しい叢書が出来たお陰さま… これからも話題を振りまくキャッチーな作品を沢山読ませてくれるに違いありません!

そんなこんなで、この「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」、応援して行きたいです!

@unyue
@honyakmonsky 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月 3日

「クリスマスに少女は還る」

■著者 キャロル・オコンネル
■訳者 務台 夏子
■出版社 創元社(創元推理文庫)
■価格 ¥1,260(税込み)

突然だが、私は「幼児誘拐/虐待もの」が余り好きではない。
痛々しくて読んでいられなくなるし、何よりも後味が悪い事が多いのが嫌なのである。
何故、そういう風に感じるようになったかと云うと… 忘れもしない、ジョナサン・ケラーマンの「大きな枝が折れる時」を読んだこと… それこそがトラウマの原因なのだ。 お話は面白かったんだけれど、何しろ後味が異様に悪く… 何で読んでしまったんだろうと珍しく後悔までしたりして。

とにかく、それ以来、幼児誘拐ものにはなかなか手が出なくなり、同じテーマであるらしいことのみ伝聞で推定してしまっていた「クリスマスに少女は還る」にも全く食指が動かなかったのだ。 
だって、題名からしておどろおどろしいし(「還る」って云う漢字が何だかとっても禍々しく感じられませんか? この漢字が選ばれているのには理由があるのは今は解るけれど)如何にも幼児(しかも女児!)が理不尽なとんでもなく酷い目に遭いそうな気がして全然読む気になれななかったんだもん!

時は流れ、昨年のこと… 「クリスマスに少女は還る」と同じ作者の「愛おしい骨」が話題になり、ちょっと読んでみようかな… という気持ちになった。 しかし、勿論、「クリスマスに少女は還る」を読まずして「愛おしい骨」は読めないではないか! 仕方なく(←済みません! でもこの時は本当にこう云う気持ちだったんです!)「クリスマスに少女は還る」「愛おしい骨」を購入してはみたものの、やはり、どうしても読む気になれない。 そんなこんなで、結局「愛おしい骨」もろともにひっそりと未読の暗黒の塔の中に埋もれさせてしまった… の、だが…
ところが、ひと月程前だったか、Twitter上で同好の士とお喋りしていてたまたま「クリスマスに少女は還る」の話になったのだ。 その時に、とても熱心にこの本について語り、まぎれもない【愛】を感じておられる方が何人かいらっしゃる事に気づいた。 しかも、悲惨とか暗いとか後味が悪いとか、そういうネガティブな感想では全くなく、寧ろ、明るさ元気さを思わせる話しっぷり…

もしかして、私って何か誤解しているのかも?

疑ってみて正解!
私の予断は完全に誤りであった。

この「クリスマスに少女は還る」は、二人の女の子の友情と努力と諦めない気持ちに彩られた希望のある非常にポジティブなお話だったのだ!

このお話は、ある小さな町で起こる少女誘拐事件が発端になる。
捜査官として誘拐された少女を追う刑事は、実はかつて自分の双子の妹が誘拐され殺された過去を持つ。 時期も同じクリスマスの前… 同一犯の犯行か? しかし、過去の事件では既に犯人が逮捕がされているのだ。

このような背景の下、この物語は、刑事の胸に去来する複雑な思いと過去の誘拐事件の隠された真相、そして、誘拐された少女たちの脱出するため生き延びるためのバイタリティ溢れる試行錯誤の様、というふたつの大きな動きが軸になって構成されている。

誰が誘拐犯なのか… という興味やクリスマスが近づく緊張感もさることながら、このお話の主軸は【少女たちの冒険】にある。

普段から仲の良い、ホラー映画好きで一筋縄ではいかない破天荒な性格の少女サディーと地元の名士の令嬢グウェン… その二人が力を合わせ閉じ込められた場所から逃れようと知恵を絞り勇気を振り絞る。 時に絶望しながらも雄々しく逆境に立ち向かう二人。 特に、ホラーマニアの少女サディーの活躍によって、暗く閉塞感溢れる状況の中でも読者として軽妙さや助かるかもしれないと云う希望を感じることが出来るのがいい。

そして、最後に明かされる衝撃の事実。

ラストシーンは、あのキングの傑作「デッドゾーン」を思わせる静謐さと感動で涙を押しとどめる事が出来ないだろう。

(この後、若干内容に触れます)

この物語を読んで思い出すのは、オースン・スコット・カードの「消えた少年たち」ある。
「消えた少年たち」はカードの宗教観(カードは敬虔なモルモン教徒)が前面に出過ぎていて、正直に云って読み辛い部分も多いのだが、ストーリーの大筋と最後の最後で告げられる【真実】による衝撃たるや爆弾ものである。 それが「クリスマスに少女は還る」に通じる所があるのかな… と思っちゃった訳である。

お… それから、ディーン・クーンツの「オッド・トーマスの霊感」なんかも…

まあ、そんな事はどうでもいいんだけれど。

それでは、本日のまとめ。食わず嫌いは程々にしよう! でした。
(告白。「愛おしい骨」は、まだ積んでます…)

@unyue
@honyakmonsky 



| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年2月 1日

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」 第二夜

■著者 ジョナサン・サフラン・フォア
■訳者 近藤 隆文
■出版社 NHK出版
■価格 ¥2,300(税抜き)

さて、それでは「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」に関しての二回目…

前回は、この本に対する熱い思いの丈を伝えたのみだったのですが、今回は、ちょっとした細かいところについて…

まず、この本を手に取った時に真っ先に気付くこと。

それは… 小口に現れている色の違うページの存在です。
チョイとばかりパラリと捲ってみましょう。 そうすると、どうやらそこここに写真が使われていることが判る筈です。

読み進んでゆくと次第にこの写真群の存在意義が大きくなっていきます。

最初に現れる写真はドアノブ… 鍵が閉まっている、開いている、閉められたドアの意味するものは? ドアノブは同じもの違うものも含め何度か登場しますが、多分に象徴的な意味を持っていると思います。

また、序盤にある多色カラー刷りのページも目を引きます。 これは、丁寧な仕事! 
以前、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」など二色刷りのものは見たことがありましたが、これは、四色刷り(そう?)、凄い!

-----

【はてしない物語】(絶版)

■著者 ミハエル・エンデ
■訳者 上田 真而子、 佐藤 真理子

-----

さらに読み進むと、次第に、写真によるビジュアルからのインパクトが非常に強く感じられはじめることでしょう。
ストーリーの重さが実感されてくるタイミングと相俟って、読み続けることが苦しくなってくるのです。
更に、ページを繰る事で、本の最後の部分にどうも連続した写真が十数ページに渡って存在することに気付くでしょう… 

これが、曲者。

私はこれに気付いた事で、余計に、読み進むのが=この最後の写真の部分に到達してしまうことが恐ろしくなりました。
何を知ることになるんだろう… と。

この挿入されている写真が本のストーリーの一部となり、一体となって相乗効果を上げ、心に迫る登場人物の心情をよりくっきりと描き出しているのは特筆すべき事だと思います。

そして、写真の挿入だけではなく、所謂、タイポグラフィが効果的に使われています。

このお話は三人の視点から描かれており、それぞれに特徴のある文字組がなされていて、それぞれの語り手の性格や心情、立ち位置をとてもよく表現していると思います。

特に、【父親の父親】のパートが白眉です。

こういったタイポグラフィの工夫で面白い効果を出している本として真っ先に思い付くのは、ダニエレブスキーの「紙葉の家」ですが、「紙葉の家」は、どちらかというと外連身がいっぱい… と云いますか、異様さを効果的に演出するための手段としての役割が大きいと思います。 そういう意味では、云ってしまえば作意が目立つ印象です。

-----

【紙葉の家】(絶版)



■著者 マーク・Z・ダニエレブスキー
■訳者 嶋田 洋一

-----

しかし、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」では、とても自然に物語の一部となっているのが素晴らしいのです。

未読ですが、少し前に話題になったサルバドール・プラセンシアの「紙の民」はどうやら「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」に近いイメージのページデザインがされているようです。
積んでいるので、早く読まなきゃ!

-----

【紙の民】

■著者 サルバドール・プラセンシア
■訳者 藤井 光
■出版社 白水社
■価格 ¥3,400(税抜き)

-----

(この先、若干、内容に触れます。)

物語の語り手の一人である少年オスカーには、有名人に頻繁に手紙を送る癖があります。

彼がしつこく手紙を送る相手の中に、彼に対して定形で返事を送ってくる人物がいます。 その遣り取りが積み重なった後のカタルシスが凄い…

そもそも、このお話って【積み重ねる】事がテーマだと思うのです。
先に挙げているタイポグラフィの中にも、それを象徴する表現がありますし…

積み重ねた先にある、悟りといったものがとても明快なのが感動を呼ぶんだと。

最後に、個人的にちょっと気になるところを。

語り手のひとり、オスカー君の「なんぞ?」と、四文字言葉の代わりの「シッイタケ」、何だか解らないけれど卑猥語の代わりの「ナメタガレイ」…

「なんぞ?」に関しては、「GANTZ」を思い出しちゃって居心地が悪いだけなんですが、「シッイタケ」と「ナメタガレイ」については… もっと素直に元の言葉が想像できるものだったらな… と感じました。

まあ、そんな細かいことはどうだっていいくらい素晴らしい本なのでどうでもいいようなものなのですけれど。


最後にひとこと。

読む前に私を怖がらせたこの本の最後にある連続写真ですが…
その部分を決して先に見ないようにしてください。

すべての物語を読んだ後、その写真を見ることによって、あなたは至福の時を味わうことになるからです。

@unyue
@honyakmonsky


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年1月30日

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

■著者 ジョナサン・サフラン・フォア
■訳者 近藤隆文
■出版社 NHK出版
■定価 ¥2,300(税抜き)

わたしは、この本を読む前に全く予備知識を持たなかった。

単に、あの「エブリシング・イズ・イルミネイテッド」のジョナサン・サフラン・フォアの新作が出たから、こりゃ読まなきゃと思ったのである。

だから、わたしは、ダメージを受けてしまった。

どういうテーマで書かれた作品か、モチーフは何か、何も知らなかったわたしは、語られる物語への覚悟が足りなかった。

この本を読むには、一定の覚悟が必要である。

モチーフは9/11。
そして、ドレスデンの空爆とユダヤ人への迫害。
ヒロシマ。

父と子。
あるようでいて、ないもの。
絶対的な別れ。
探索。

覚悟が足りなかったわたしには、この本をいつものようにぐいぐいと読み進むことが出来なかった。
途中で何度も読み進めなくなって立ち止まった。

しかし、次第に積み重なる物語の重みが逆にわたしにこの本を読み進む力を与えてくれた。

別れなんて生易しいものではない。
再生なんて言葉で簡単に括れるものでもない。

そして、昇華する心。

多くを語るより、自らの目で確かめて欲しいです。

この「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」ですが、いよいよ、2月18日に映画化作品が公開されるようです。

わたしは、それほど原作物の映画を好まない方なのですが、予告編を見てみたら実に良さそうなんですよね…
子役の少年の姿がイメージにぴったり… 本の内容を思い出して切ない気分になっちゃいそうな予告編です。

公式サイトに予告編がありましたので、是非ご覧ください。

映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」
監督 スティーヴン・ダルドリー
出演 トム・ハンクス/サンドラ・ブロック/トーマス・ホーン

公式HP/予告編もあります。

また、冒頭にも紹介したジョナサン・サフラン・フォアの「エブリシング・イズ・イルミネイテッド」も、イライジャ・ホビット・ウッド主演で映画化されています。 こちらも探求の物語です。 残念ながら原作は重版未定になっているようですが、この機会に是非、文庫で復刊して欲しいものです。

映画「僕の大事なコレクション」

監督 リーヴ・シュレイバー
出演 イライジャ・ウッド/ユージン・ハッツ

実は、この作品には細かいところで色々と書きたいこともあるのですが、ここで、そんな細かいことを書いても仕様がない… と思いまして、今回は遠慮しました。その辺りは第二弾で書きますので、お楽しみに!

@unyue
@honyakmonsky


 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

A・E・ヴァン・ヴォークト C・S・ルイス E・E・スミス E・L・ジェームズ F・スコット・フィッツジェラルド Gary L. Stewart H・G・ウェルズ J・D・サリンジャー J・G・バラード J・K・ローリング J・R・R・トールキン Matthew De Abaitua P・D・ジェームズ P・G・ウッドハウス S・J・ボルトン S・S・ヴァン・ダイン ■SF ■コメディ ■ノンフィクション ■ファンタジー ■ホラー ■ミステリー ■児童書 ■冒険小説 ■叙事詩 ■幻想 ■文芸 ■漫画 ■美術 ■詩歌 ●tkr ●unyue 「ピパの唄」 はじめに アイザック・アシモフ アイラ・レヴィン アガサ・クリスティ アゴタ・クリストフ アニメーション アラン・グレン アルフォンス・ドーテ アルフレッド・ウーリー アルフレッド・ベスター アンソニー・ドーア アンソニー・バージェス アンディ・ウィアー アントニイ・バークリー アンネ・フランク アン・ライス アーサー・C・クラーク アーサー・コナン・ドイル アーナルデュル・インドリダソン アーネスト・ヘミングウェイ イアン・フレミング イアン・マクドナルド イーユン・リー ウィリアム・ギブスン ウィリアム・シェイクスピア ウィリアム・ピーター・ブラッティ ウィリアム・ボイド ウィリアム・リンク ウォルター・ウェイジャー ウラジミール・ソローキン エドガー・アラン・ポー エドガー・ライス・バローズ エドワード・D・ホック エド・ファルコ エマ・ドナヒュー エミリー・ブロンテ エラリー・クイーン エリザベス・ビショップ エリック・シーガル エルモア・レナード オースン・スコット・カード カズオ・イシグロ カレル・チャペック カート・ヴォネガット カート・ヴォネガット・ジュニア ガレス・L・パウエル キャロル・オコンネル ギャビン・ライアル ギレルモ・デル・トロ クリストファー・プリースト グレアム・グリーン ケイト・アトキンソン ケイト・モートン ケン・キージー コニー・ウィリス コーマック・マッカーシー サルバドール・プラセンシア シャルル・ボードレール シャーロット・ブロンテ ジェイムズ・P・ホーガン ジェイムズ・エルロイ ジェイン・オースティン ジェニファー・イーガン ジェフリー・ディーヴァー ジェフ・キニー ジェラルディン ・ブルックス ジェームズ・クラベル ジェームズ・パターソン ジェームズ・マクティーグ ジム・トンプスン ジャック・ケッチャム ジャック・フィニィ ジャック・フットレル ジャネット・イバノビッチ ジュディ・ダットン ジュール・ヴェルヌ ジョイス・キャロル・オーツ ジョナサン・キャロル ジョナサン・サフラン・フォア ジョナサン・フランゼン ジョン・クリストファー ジョン・グリシャム ジョン・スコルジー ジョン・スラデック ジョン・ル・カレ ジョン・W・キャンベル・ジュニア ジョージ・A・エフィンガー ジョージ・オーウェル ジョージ・ルーカス ジョーゼフ・キャンベル ジョーン・G・ロビンソン ジョー・ヒル ジル・マーフィ ジーン・ヘグランド スコット・ウエスターフェルド スコット・スミス スコット・トゥロー スタンリー・キューブリック スティーグ・ラーソン スティーヴン・キング スティーヴ・ハミルトン スーザン・D・ムスタファ スーザン・オーリアン スーザン・コリンズ スーザン・ヒル セス・グレアム=スミス ダグラス・アダムス ダシール・ハメット ダニエル・キイス ダニエル・スティール ダフネ・デュ・モーリア ダンテ・アリギエーリ ダン・ブラウン チャイナ・ミエヴィル チャック・ホーガン チャールズ・M・シュルツ チャールズ・ディケンズ テオ・オブレヒト テレビムービー ディミトリ・フェルフルスト ディーン・クーンツ デイヴィッド・ゴードン デイヴィッド・ピース デイヴィッド・ホックニー デイヴィッド・ミッチェル デニス・ルヘイン デヴィッド・セルツァー トマス・H・クック トマス・ハリス トマス・ピンチョン トム・クランシー トム・ロブ・スミス トーベ・ヤンソン トーマス・マン ドナルド・E・ウェストレイク ドン・ウィンズロウ ナーダシュ・ペーテル ニール・スティーヴンスン ネビル・シュート ネレ・ノイハウス ノーマン・メイラー ノーラ・ロバーツ ハリイ・ケメルマン ハワード・フィリップス・ラヴクラフト ハンナ・ジェイミスン ハーマン・メルヴィル バルガス=リョサ バーナード・マラマッド パオロ・バチガルピ パトリシア・ハイスミス ビバリー・クリアリー ビル・S・バリンジャー ピエール・ブール フィリップ・K・ディック フィリップ・プルマン フィリップ・ロス フェルディナント・フォン・シーラッハ フランク・ハーバート フランツ・カフカ フリオ・リャマサーレス フリードリヒ・ニーチェ フレデリック・フォーサイス フレドリック・ブラウン ブライアン・セルズニック ブラム・ストーカー ホンヤクモンスキー ホンヤクモンスキーの憂鬱 ポール・オースター マイクル・コナリー マイケル・クライトン マイケル・コックス マザー・グース マックス・バリー マックス・ブルックス マック・レナルズ マリオ・バルガス=リョサ マリオ・プーゾ マーセル・セロー マーティン・スコセッシ メアリー・シェリー モーパッサン ヤン・マーテル ユッシ・エーズラ・オールスン ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト ライオネル・シュライバー ライマン・フランク・ボーム ライヤード・キップリング ラジオ ラッキー・マッキー ラムジー・キャンベル リチャード・スターク リチャード・バック リチャード・マシスン リチャード・レビンソン リー・チャイルド ルイス・キャロル ルシアン・ネイハム レイモンド・チャンドラー レイ・ブラッドベリ レオ・ペルッツ レビュー ロアルド・ダール ロバート・A・ハインライン ロバート・B・パーカー ロバート・ブラウニング ロバート・ラドラム ロベルト・ポラーニョ ローレンス・ブロック ヴィクトル・ユーゴー 吾妻ひでお 図書館 手塚治虫 文学賞 映画 村上春樹 栗本薫 池井戸潤 湊かなえ 瀬名秀明 竹本泉 米澤穂信 翻訳作品の影響 舞台 董啓章 読書会 貫井徳郎 越前敏弥 黒史郎