「裏切りのサーカス」公式サイトオープン!
本作「裏切りのサーカス」は、ジョン・ル・カレのスパイ小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化作品で、映画の原題は「Tinker Tailor Soldier Spy」、原作小説の原題は「Tinker, Tailor, Soldier, Spy」である。
そのような状況下において、映画の邦題が 「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」ではなく「裏切りのサーカス」になることが公表されるとすぐにWEB上ではその邦題について賛否両論の議論が交わされた。
その論旨としては、原作を知らないであろう観客に対し「裏切りのサーカス」、つまり「サーカス」と言う言葉から派生するミスデレクションを問題視する声が多かった。
因みにこの「サーカス」とは、動物を使った芸や人間の曲芸などを見せる「サーカス」の意味ではなく、英国諜報部の通称である。これは英国諜報部の所在地がケンブリッジ・サーカスだったことに由来する。
これは、CIA本部を通称「ラングレー」と呼ぶのと同じようなものである。
ところで、冒頭で紹介した、映画「裏切りのサーカス」公式サイトをよくよく見ていくと、次のような表記がある。
原作:「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」ジョン・ル・カレ著(ハヤカワ文庫刊)
ここで考えなければならないのは、ハヤカワ文庫NVの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」は、現在絶版状態(版元在庫なし、店頭在庫のみ)であるらしいこと。
そんな状況において映画が公開された場合、原作を絶版状態のままにしておくことは一般的に考えられず、おそらくだが、映画「裏切りのサーカス」の公開と同時期に「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画タイアップ版が出版されるのではないか、と思われていた。
そして、その映画タイアップ版のタイトルが「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」のまま再版されるのか、それとも「裏切りのサーカス」と言うタイトルに改題されて出版されるのかが、注目されていた。
公式サイトにある「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」と言う表記はおそらく「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の単純な誤りだと思うが、もしこの表記が正しければ、おそらくは「裏切りのサーカス」ではなく「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」と言うタイトルで映画タイアップ版が出版されるのだろう、と推測することができる。
はたしてどうなるのか、見守って行きたいと思う。
因みにわたしの「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」はこんな表紙ね。
以下、2012年2月4日追記。
2012年4月21日に日本公開される映画「裏切りのサーカス」の原作「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の新訳が早川書房から出版される事が、早川書房公式アカウント(@Hayakawashobo)によってアナウンスされた。
曰く、
映画「裏切りのサーカス」原作のジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」、名翻訳家・村上博基さんによる新訳版が3月下旬に刊行予定です。刊行が近づいたらハヤカワ・オンラインやメールマガジン等でもお知らせしますので、もう少しお待ちくださいね。
とのこと。
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
■著者:ジョン・ル・カレ
■翻訳:村上博基
■出版:早川書房(ハヤカワ文庫)
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コメント
原作は新訳版がハヤカワから出版予定だそうです。
どこで見たのかな…ツイッターだったかどうだか、忘れましたが。
旧訳は悪評なので、これを機会にと出し直すという事なのかも知れませんね。
投稿: Horka | 2012年1月30日 01時10分
いつもお世話になっています。
わたしもツイッターで見たのですが、わたしが見たツイートは、出版関係者ではなく、普通の人が普通につぶやいていただけだったので、ソースとしては弱いかな、と。
そのうち情報か出てくると思って期待しています。
投稿: tkr | 2012年1月30日 14時19分
久しぶりに「スクールボーイ閣下」を
読み返してます。
村上博基さんの訳は素晴らしいですね。
「ティンカー…」の新訳楽しみです。
投稿: | 2012年2月20日 02時35分