「007 スカイフォール」をめぐる冒険 その1
2012年12月1日 ユナイテッド・シネマとしまえんで「007 スカイフォール IMAX」を観た。
わたしは熱心な「007」ファンではない。
しかしながら比較的熱心な映画ファンなので、「007」シリーズは全作観ているし、一般知識として「007」の事をいろいろと知っている。
一番好きなアクション・シーンは「007 ムーンレイカー」のオープニング・アクションだが、作品としては「女王陛下の007」と「007 カジノ・ロワイヤル」以降のダニエル・クレイグ版が好きである。
さて、そんな中わたしは「007 スカイフォール」を観た訳である。
期待の新作だった事もあり、「スカイフォール」のオープニング・アクションでわたしは既に涙を流していた。
多くのオールドファンはオープニング・タイトルが始まった瞬間に感極まっていたようなのだが、わたしは一足先に行かせていただいていた。
オープニング・アクションは、カーチェイス、バイクチェイス、トレインチェイスと盛沢山で、掴みはOKだった。
しかしながら、バイクチェイスについては「ブラックレイン」や「さらば愛しきルパンよ」の、トレインチェイスのシークエンスにはゲーム「アンチャーテッド」シリーズの影響を感じ、少し残念な印象を受けた。
尤も「アンチャーテッド」シリーズは「007」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズの影響を受けているので、一回り回ってはいるものの、「アンチャーテッド」の影が見えるのは残念である。
これは「007 カジノ・ロワイヤル」や「007 慰めの報酬」で、「ボーン」シリーズかよ、と思えるようなアクション・シーンの構成が批判されたことも記憶に新しい。
やはり「007」シリーズは世界に先駆ける最先端のアクションを期待してしまう。
また、イヴ役のナオミ・ハリスが最高にキュートで堪らなかった。
役回り的には所謂ボンド・ガールではないのだが、「スカイフォール」で、と言うか「007」シリーズ中で一番魅力的に見えた女性はナオミ・ハリスだと思う。
そんなイヴの台詞「Agent Down」でオープニング・アクションは終了し、オープニング・タイトルが始まる。
驚いたのは、本編カットが直接オープニング・タイトルに繋がる構成である。
つまり、水の底からいきなり手が出てきてボンドの足を掴んだところに驚愕したのだ。
誰もが言うように、「スカイフォール」のオープニング・タイトルは素晴しい。
「これだよ! これ、これが007だよ!」と言う具合である。
舞台はイギリスMI-6へ。
ジュディ・デンチ演じるMは、他のMと比較すると外出の頻度も高いし、海外にも出張したりする。
今回のMも外出するのだが、そのおかげ、でもないけど、難を逃れる。
こんな調子だといつまで経ってもラストに辿り着かないので、少し話をすすめる。
Where the hell have you been?
Enjoying death. 007 reporting for duty.
でボンド再登場。
心理テストのシーンは「時計じかけのオレンジ」ですか?
「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号」ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー
Qと出会うのは、ウィリアム・ターナーの「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号」の前。
ところで、ターナーの「解体のため錨泊地に向かう戦艦テメレール号」は、最新鋭の戦艦だったテメレール号が、様々な任務の後、最終的に任を解かれ破棄されるために曳航されている姿を描いている。
映画を観終わった後は、MI-6やボンドの生家のことを暗喩しているのかな、と思っていたのだが、戦艦と言うか艦船の代名詞は "She" なので、Mの暗喩なのかな、と思っている。
または、大きくなり過ぎた「007」シリーズの暗喩なのか、と。
若いQの気持ちの表れである、老兵は去れ、だけではないと思います。
Qとの出会いは非常に印象的で、素晴しいシーンだと思うが、LEDが光るワルサーPPKはいかがなものかと思う。
舞台は上海へ。
パトリス(オラ・ラパス)が狙撃した男の正面には「扇子を持つ女」が。銃弾が当たったんじゃないかと心配になりました。
しかももしかしたら劣化ウラン弾かも知れないし。
ところで、この「扇子を持つ女」は2010年に実際にパリ市立近代美術館から盗まれているんですね。
つまり、シルヴァ(ハビエル・バルデム)一味は絵画を強奪し転売をも行っている、と言う印象を観客に与えることを制作サイドは狙っている、と言う事。
これは巧いですね。
舞台はマカオへ。
小舟に乗ってカジノに入るシーンは堪りません。
イヴとの絡みも格好良いですよね。
さて、セヴリン(ベレニス・マーロウ)とのシーン。
一番良かったのは、カジノのバーのバーテンダーがシェイクしてカクテル・グラスにマティーニを注ぎ、ボンドにサーヴするシーン。
ボンドは「Perfect!」とバーテンダーに声をかける。
この台詞は素晴しい。
つまり、「スカイフォール」本編では描いていないが、ボンドはバーテンダーに、マティーニの作り方をオーダーしていた、と言う事なのですよ。
これは嬉しいシーンでした。
舞台はデッド・シティへ。
一応、デッド・シティは長崎県端島(軍艦島)をモデルにしているのですが、セット自体は日本というよりは、中国のようですね。
「007」シリーズでは珍しく、ボンドガールが物語の中盤で退場します。
またアクション・シーンのラストに、軍用ヘリがたくさんやってきますが、これも「007」シリーズでは珍しいですね。大抵の危機はボンドが自力で乗り切りますから。
ところで、ボンドが拘束されているシーンですが、予告編を観る限りは、シルヴァとの絡みがもっと長いと思っていたのですが、非常にあっさりとしていて残念でしたね。
「スカイフォール」より シルヴァに拘束されるボンド
また、ボンドが拘束されていた部屋の両脇に並んでいたのは、サーバやネットワーク機器ではなく、森田芳光の「家族ゲーム」に登場した、ローラーコースターの玩具のような印象を受けましたよ。
つづく
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コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。
投稿: 添え状の書き方 | 2013年3月30日 14時44分