アイザック・アシモフ

2012年2月 1日

「歴史上最も危険な小説」とは?

2012年1月26日に、Flavorwire「歴史上最も危険な小説」(The Most Dangerous Novels of All Time)を発表した。

The Most Dangerous Novels of All Time

この記事が言うところの「歴史上最も危険な小説」(The Most Dangerous Novels of All Time)とは、様々な事件の引金となったと言われている小説、犯罪者がその小説に影響を受けてその犯罪を犯したと言われている小説、犯罪者が愛読していた小説を指す。

それでは、この記事が言うところの「歴史上最も危険な小説」(The Most Dangerous Novels of All Time)を紹介しよう。

「悪魔の詩」 サルマン・ラシュディ著


「ハイスクール・パニック」 スティーヴン・キング著
(リチャード・バックマン名義)


「密偵」 ジョセフ・コンラッド著


「ライ麦畑でつかまえて」 J・D・サリンジャー著
(「キャッチャー・イン・ザ・ライ」)


「アンクル・トムの小屋」 ハリエット・ピーチャー・ストウ著


「Turner Diaries」 ウィリアム・ルーサー・ピアース著
(アンドリュー・マクドナルド名義)

「ツァラストラはこう言った」 ニーチェ著


「時計じかけのオレンジ」 アントニー・バージェス著


「コレクター」 ジョン・ファウルズ著


「ファウンデーション」シリーズ アイザック・アシモフ著


いかがだろうか。

それぞれの作品がどのような理由で危険なのかは、それぞれの作品についてのコメントを参照願いたい。(ヒントを後述します)

ところで、わたしの基本的なスタンスとしては、小説や映画、特にホラー作品や犯罪作品の影響で犯罪を犯した、と言う短絡的な思考には賛同しかねるが、その反面、小説や映画が人の人生に影響を与えている、と言う点については首肯せざるを得ない。

今回紹介した記事では、様々な犯罪を犯した人がこれらの小説の影響を受けていたり、愛読していたり、と言う事が書かれているが、耳半分に聞いておくのが丁度良いのではないか、と思う。

ヒント

サルマン・ラシュディ
Michael Carneal
スクール・シューティング
Heath High School shooting
ユナボマー
セオドア・カジンスキー
マーク・デイヴィッド・チャップマン
ジョン・レノン
ロバート・ジョン・バルド
レベッカ・シェーファー
ティモシー・ジェームズ・マクベイ
オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件
アドルフ・ヒトラー
Operation Miranda
オウム真理教

関心がある方は調べてみて下さい。

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2012年1月10日

「ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」

「ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」 「ご同輩、あなたはついていらっしゃる」

例によっていつもの通り、有楽町の三省堂書店文庫コーナーを物色していたら、見慣れない表紙のバーティ&ジーヴズ(ジーヴス)シリーズが平積みされているのを発見した。

なんとジーヴズシリーズが文庫になっている!

驚きつつ手に取ってみると、本書「ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」は、文春文庫から2011年5月に第一刷が刊行され、現在までに第五刷まで版を重ねている、と言うことがわかった。

どうやら売れているらしいぞ。

ところで、わたしの記憶が正しければ、P・G・ウッドハウスのジーヴズシリーズは最近だと文芸春秋と国書刊行会からそれぞれハードカバーで刊行されているはずである。

もしかすると、このままジーヴズシリーズが文春文庫で全部揃うんじゃねぇの、と言う希望的観測のもと、わたしは平積みの「ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」を購入することにした。

さらにところで、いきなり私見で恐縮だが、ミステリー界には愛すべき執事が3人いる。

1人はアイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズのヘンリー、そしてもう1人は本シリーズ、P・G・ウッドハウスのジーヴズシリーズのわれらがジーヴズである。

もちろん日本にも、最近メキメキと名をあげている執事がいる。
そう、その通り。東川篤哉の「謎解きはディナーの後で」の影山である。

ここでわたしは文藝春秋のもくろみが、本書をわざわざ2011年5月に刊行した戦略的事由に思い当たる。

やるな、文藝春秋め、ジーヴズを「謎解きはディナーの後で」にぶつけて来たな!

そして、ようやく本書「ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻」の帯に踊るキャッチコピーの周到なミスデレクションが見えてくるのだ。

「機略と手際」。これが紳士に仕える私のモットーです。
"スーパー執事"ジーヴズが活躍する小説傑作選!
「ご主人とは馬のようなもので、調教が肝心なのです」

いかがだろう、お気付きだろうか?

ジーヴズがスーパー執事!?

と言うのは、細かい話で恐縮だが、本文ではジーヴズを"従僕"だと紹介しているのに、帯では"スーパー執事"と表記している。

つまりジーヴズは"従僕"ではなく"執事"である、とミスデレクションしているのだ。

おそるべし文藝春秋。

ところでところで、このジーヴズシリーズは、トニー・リングのあとがき『「ジーヴズの事件簿」刊行によせて』によると、本シリーズは、ローマ時代、ひょっとするとそれ以前に端を発する"賢明な奴隷と間抜けな主人"を描いた小説のバリエーションであるらしい。

いかがだろう、日本のぽっと出の執事を描いた作品を読むのも良いが、その執事に影響を与えているであろうジーヴズシリーズを読んでみるのも面白いのではないかな、と思う。

本エントリー冒頭の一節「ご同輩、あなたはついていらっしゃる」は、1990年代前半に放送されたテレビシリーズ「ジーヴズ&ウースター」でジーヴズを演じたスティーヴン・フライがウッドハウスの短篇集「おや、どうした!ーよりぬきP・G・ウッドハウス」の序文冒頭で語った一節。

なお、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズのヘンリーは執事ではなく給仕です。念の為。


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