KRAFTWERK『3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8』をめぐる冒険
2013年5月15日 赤坂BLITZで開催されたKRAFTWERK「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」DAY 7「The Mix」に参加した。
今回のクラフトワークの来日公演は、ニューヨーク MoMAやデュッセルドルフ、ロンドンで大絶賛を浴びたアルバム8枚を日替わりで演奏するツアー「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」。
ライヴで再現される8枚のアルバムは「アウトバーン」、「放射能」、「ヨーロッパ特急」、「人間解体」、「コンピューター・ワールド」、「テクノ・ポップ」、「The Mix」、「ツール・ド・フランス」。
わたしは「アウトバーン」から、セルフカバーのベスト盤「The Mix」までを聴いていたので、どのアルバムの回に行くか迷ったのだが、折角ならばいろいろなアルバムの曲を演奏することになる「The Mix」の回に参加することにした。
そもそもコンサートと言うのもは、多くの場合、語弊はあるが新しいアルバム(所謂新譜)のプロモーションを兼ねて開催されるケースがほとんどで、そのセットリストは、前半はリリースされたばかりの新譜に収録されている楽曲を中心に演奏し、後半はかつてのヒット曲を中心に演奏するケースが多い。
そんな状況のため、わたしたちはコンサートに参加する際、予習と称して新譜を何度もなんども聴いて、新譜に収録されている楽曲を覚えた上でコンサートに参加することが多い。
この予習については、釈然としない部分が多いが、その辺りの話は割愛する。
しかしながら今回のクラフトワークの「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」は、かつてのディスコグラフィを再現するコンサートであるため、所謂予習は不要である、と言うか、現在まで何十回も下手をすると何百回も聴いたアルバムの楽曲を演奏する訳だから、予習をしなければならないコンサートと比較して感情移入の度合いが著しい。
例えるならば、楽曲のメロディやヴォーカルを覚えているどころではなく、楽曲のフレーズやリフ、ベースの動きや、ドラムのパターン等々、あらゆる音の連なりを完全に把握している状態である。
個人的な経験では、こんな感じのコンサートに参加したのは初めての経験である。
好きでもないバンドのコンサートで知らない楽曲を聴かされたり、新譜の予習が不十分で、イマイチ気分が盛り上がらない、とか言う経験をしたことがある人も多いと思うが、今回の「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」についてはそんなことはあり得ない。
何故なら、もう何十回何百回も聴いたアルバムの楽曲を演奏するのだから。
コンサートの形式は「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」と言うことであるから、ステージの後方に3D映像を投影し、3Dメガネをかけ、ステージ上のクラフトワークの4人のメンバーと3D映像を楽しみながら、楽曲を聴く、と言うものである。
KRAFTWERK「3-D CONCERTS 1 2 3 4 5 6 7 8」DAY 7「The Mix」の3Dメガネとケース
3Dメガネは、クラフトワークのイメージから、赤と青のセロファンの3Dメガネだったら面白いな、と思っていたのだが、偏光レンズを利用した通常の3D映画で使われる3Dメガネであった。(おそらくRealDシステムだと思う)
また興味深かったのは、ここ最近の海外アーティストのコンサートでもほぼ同様だと思うのだが、携帯電話やスマートフォンでのコンサート中の撮影が許可されていたこと。
3Dメガネをかけた観客が嬉々としてスマートフォンでステージ上のメンバーや3D映像を撮影する様子は、クラフトワークにぴったりだった印象を受けた。
このコンサート中の撮影許可については、盗撮された画像がSNSやWEBにアップされるのならば、撮影を許可して、個人にSNSでプロモーションしてもらった方が良いのではないか、と言う観点なんだろうと想像している。
FUKUSHIMAが登場した「放射能」("RADIOACTIVITY")
また、クラフトワークには「放射能」("RADIOACTIVITY")と言う楽曲があるのだが、その歌詞にFUKUSHIMAが登場していた。
この「放射能」の発表は1975年だが、1980年代以降のクラフトワークのライヴでは、"RADIOACTIVITY"の歌詞の直前に"STOP"と言う歌詞が挿入されているが、今回も"STOP"が挿入された歌詞で演奏されていた。
また、2012年以降は、歌詞に前述のように"FUKUSHIMA"が挿入されている。
該当部分はこんな感じ。
Tschernobyl
Harrisburgh
Sellafield
Hiroshima
Tschernobyl
Harrisburgh
Sellafield Fukushima
チェルノブイリ ハリスバーグ セラフィールド ヒロシマ
チェルノブイリ ハリスバーグ セラフィールド フクシマ
会場も"FUKUSHIMA"で盛り上がり、わたしは胸が熱くなった。
3D映像を普通のスマートフォンで撮影しているため「ヨーロッパ特急」("Trans-Europe Express")の画像が2重に撮影されている。
あと、クラフトワークのコンセプト自体がそうなのだが、ライヴ中メンバーはほどんど動かず、コンソールの前に直立している。
2時間なら2時間ほとんど動かず、水も飲まず、汗も拭かずに演奏を続けるのは、凄いな、と思った。
今思えば「The Mix」だけでなく、8日間全部行きたかったな、と言う印象。
それだけ楽しいライヴでしたよ。
わたしが持っているのは青い方のジャケット。
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