アルフォンソ・キュアロン

2013年12月16日

「ゼロ・グラビティ」をめぐる冒険

2013年12月14日 ユナイテッド・シネマとしまえん「ゼロ・グラビティ IMAX 3D」を観た。

今日のエントリーは、わたしがどのように「 ゼロ・グラビティ 」を観たか、と言う一映画ファンの妄想じみたお話。

と、言うのも本作「ゼロ・グラビティ」は、どうみても様々な作品への暗喩に満ちている、と思えてならないのだ。

まずは、冒頭。
やけに平板じみた地球。その地球はどうみてもマットペイントに見えた。
そして、画面の右上端に登場し、中央に流れてくるスペースシャトル。

これはどう見ても「 2001年宇宙の旅」のマットペイントで描かれた地球と人工衛星の再現に見えてならない。
尤も、わたしの席が最前列に近かったせいで、地球が平板っぽく見えたのかも知れないけど、冒頭の地球だけは妙に平板っぽい印象を受けた。

この冒頭の地球。
CGI全盛の時代になぜマットペイントっぽい地球をわざわざ出すのか。
これは同考えても、本作の制作者たちが敬愛する先人たち、スタンリー・キューブリックやダグラス・トランブルらへのオマージュに他ならない。

ところで、「2001年宇宙の旅」つながりで言うと、国際宇宙ステーション(ISS)内に浮いているペンは、「2001年宇宙の旅」のヘイウッド・フロイド博士のペンに造形が似ているような気がした。

また、その流れで言うと、サンドラ・ブロック演じるライアン・ストーンと別れ、一人になった直後のジョージ・クルーニー演じるマット・コワルスキーのセリフにびっくりする。

My GOD,

まさか! 

My GOD, It's full of stars.

が来るか、と思ったらガンジス川だってよ。

でも、MY GOD, の後の数秒の間には、多くの映画ファンの頭の中には、It's full of stars. と言うセリフが、再生されてたと思う。

あと、晴れときどきデブリ、とか言うセリフがあったけど「くもりときどきミートボール」はワーナーですか。ソニーですね。

ところで、サンドラ・ブロック演じるライアン・ストーン博士だけど、Stoneと言うラスト・ネームに引っかかるよね。

これは、どう考えても、重力に惹かれる名前だよね。

で重力の話。

本作の原題は「Gravity」
邦題はなぜか「ゼロ・グラビティ」になってしまった。
公開前は、トゥースレスが大人の事情でトゥースになってしまったように、全く逆の意味じゃん、と言う程度の思いしかなかったのだが、本作を観ると、この「Gravity」と言うタイトルの意味が非常に重いことに気が付く。

「ゼロ・グラビティ」と言う邦題を付けた奴は映画観ていないのか、それとも映画から「GRAVITY」の意味をつかみ取れない奴なのか。

例えるならば、本作のタイトル「GRAVITY」は、ヘレン・ケラーが、水を、水と言う言葉Waterを認知した瞬間のように、ストーン博士はGravityを感じているのだ。

そして不思議なことに本作「ゼロ・グラビティ」では、「GRAVITY」と言うタイトルと言うか文字が2回画面に登場するのだ。

1回目は映画のタイトルではなく、先ほどの例えのように、つまりヘレン・ケラーにとってのWATERのように、観客に衝撃を与える言わば字幕として「GRAVITY」の文字が登場する。そして2回目は本作のタイトル「GRAVITY」として、映倫マークと一緒に画面に登場するのだ。

気付けよ、配給会社の人よ。

ところで、ストーン博士が「GRAVITY」を感じる場所はどう見ても「猿の惑星」でチャールトン・ヘストンが落っこちたところでしょ。

本来ならばしばらく浮いているはずのカプセルが水浸しになるのも「猿の惑星」へのオマージュでしょ。

カプセルのシークエンスでは地上の明かりが電気の灯りではなく、炎のように見えたのは気のせいかな、本気で「猿の惑星」をやろうとしたのか、と思ったけど、無線で、大気圏突入を確認した、とか言ってるので、これは妄想でしたね。

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この地上の灯りは電気の灯りじゃなくて炎の灯りのよう。

ところで、ストーン博士が、国際宇宙ステーション(ISS)で着替える宇宙服には、ロシア語と英語で、L・デミトフのネームタグが付いていた。

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この宇宙服にロシア語と英語でL・デミトフのネームタグが付いている。

L・デミトフってあなた、トム・ロブ・スミスの「チャイルド44」シリーズの主人公の名前じゃないですか。

「チャイルド44」の映画化にアルフォンソ・キュアロンは関係しているのかな、と思っちゃう。

ついでに、国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙服を脱ぐストーン博士は「エイリアン」のリプリーを絶対意識してるよね。

で、今回気付いたんだけど、ジョージ・クルーニーのクルーニーって、Clooneyなのね。

マービン・ザ・マーシャン スペースシャトルエクスプローラー号に、ワーナーの「ルーニー・チューンズ」("Looney Tunes")のキャラクターのマービン・ザ・マーシャンが、「アビス」のときのガーフィールドみたいに出てきてたけど、ClooneyからCをとったらLooneyで、もうひとつeをとったらLoonyで、Lunaticみたいで面白いよね。

まあマービン・ザ・マーシャンって火星人なんだけどね。

で、再登場するマット・コワルスキーのシーンで、ストーン博士が赤い靴を見つけた話をするんだけど、これは「オズの魔法使」のルビーの靴の暗喩。

赤い靴を見つけた、と言うことは、我が家に帰る方法を見つけた、と言う意味。

そう考えた場合、冒頭からほら話を続けているマット・コワルスキーは、どう考えてもオズの大魔王の役柄を振られており、ドロシーをカンザスへ、つまりストーンを地球へ戻す手助けをしている訳。

これは興味深いよね。

まあ今日はここまで。

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